久米:いや~めっきり寒くなりましたね。
筑紫:…そうね…。
久米:どうしたの筑紫君!元気出していこうよ。M-1の一回戦なんだから。
筑紫:……
久米:もう秋ですよ!
筑紫:人生のね。
久米:そういうことを言わない!えーと、筑紫君、秋と言ったら何かな?
筑紫:……木枯らし
久米:(小さい声で)台本通りやれや!
筑紫:…八代亜紀
久米:先にオチ言ってどうすんねん!ほら!あの~
筑紫:スポーツの秋
久米:え?ああ、食欲の秋
筑紫:芸術の秋、そして
久米:そして?え?俺がボケるの?えっと…ほしのあき!
筑紫:すっかり寒くなりましたね……
久米:やかましいわ!ちゃんと練習通りやらんかい!
筑紫:でも秋は寂しいから嫌いなんですよ。ああ、自殺したい……
久米:そんなこといいなさんな。なにがあったか知らんけど、世の中にはもっと不幸な人がいるんだから。
筑紫:そうだね。たかだか癌を宣告されたぐらいでしょげちゃいけないよね。世界には学校にも行けない子供達もいるのにね。
久米:いや、あの……
筑紫:僕なんてあと二ヵ月くらいは生きられるのに弱音を吐いちゃいけないよね。
久米:いや、悪かったよ。元気出せよ。せめてこの三分くらいは。
筑紫:……
久米:人生悪いことがあったらいいことがあるよ。
筑紫:そうね…寂しい秋もいつかは終わるもんね。
久米:その通り!ね、秋が終われば
筑紫:冬が来る……
久米:あ、ごめん…あの、冬が終われば?
筑紫:あの世逝き
久米:筑紫く~ん!!
筑紫:だって医者が冬は越せないだろうって
久米:そんなことないって!冬が終われば春が来るって!
筑紫:久米にも?
久米:ん?まあね。
筑紫:老いらくの春
久米:うるさいわ!
筑紫:北国の春
久米:なんでやねん!
筑紫:松山千春!
久米:ええかげんにしなさい!
筑紫:え~と……春
久米:なんじゃそれ!終わるタイミング逃してからに!アホボケカス死ぬ!
筑紫:ま、二ヵ月後に
久米:もうええわ!
追記
翌年、R-1予選会場に久米君の姿があった。久米君の腕には黒い布が巻き付いていましたとさ。
興ざめ興ざめ