来年50歳になるおじさんは今日”タイパ”なる言葉を知った。
”タイパ”とはタイム・パフォーマンスの略で、要は「時間に見合う内容」を求める傾向のことらしい。
Youtubeは倍速で見たり、一番視聴者が多いシーンまで飛ばしてみる。
映画も倍速、ドラマも倍速
TikTokも数秒で面白そうかどうかを判断し、ダメなら即次の動画へスキップしてしまうので作り手も大変。少しも飽きさせないようにいろんな要素を詰め込みまくる。
音楽のサブスクも早めにサビを持ってこないとどんどんスキップされてしまうので前奏は短くするかいきなりサビから始めるなどなど社会も”タイパ”のいいものを提供する流れに。
若い人ほど”タイパ”のいいコンテンツを好む傾向があるそうなのだが・・・。
まったくZ世代って奴はァ!
映画を早送りするなんて作品に対する冒とくだ!監督や役者がセリフの間や演技にどれほど神経を注いているのかわからんのかぁ!それがしいてはコンテンツの質の低下につながることがわからんのかぁ!
と言いたいところだが、おじさんはそれを強く言えない。
なぜならおじさんはずっとそうやってアダルトコンテンツを見続けてきたからだ。
30年前からずっと。
イントロの女優さんの映像、インタビューはほとんど観たことがないので、女優さんの趣味や経歴、初体験の思い出や好きな体位などは一切分からない。ストーリー物でもなんとなく設定がわかればOK。これらは僕にとって”必要のない情報”だ。
Aメロ(前戯)は最初はなんとなく観てみるのだが、長くなりそうならスキップ(倍速再生ができるサイトなら2倍速)。20代のころは加藤鷹師匠から「前戯の大切さ」を学び、教習ビデオのように何度も食い入るように観たものだが、そのうち「AVはテキストにならない」ということを知り、フィクションとして観るようになり、やがて最初から全部観るのが面倒になった。僕ぐらいの歳になるともう一から恋愛をして、というようなこともないし「前戯を丁寧にしないと女性に嫌われる」ということも考えなくなる。
Bメロ(口技、指技、胸技)も・・・最近はスキップするようになってしまった。タイパもここまで来ると”作り手殺し”。体を張りつつプロのテクニックを披露する女優さん、男優さん、監督さんや製作者の方には本当に申し訳ないのだが、もう夜は眠いし明日の仕事のために早く寝なきゃいけないし、こちとら嫁にバレないように手短に済まさなきゃならないしで、とにかくゆっくりは観ていられない。
結局サビ(挿入)から再生することになるのだが、ひどい時にはここでも何度かスキップをしてしまう。体位の入れ替えの7秒をスキップし、ソファーからベッドまでの移動時間6秒をスキップし、激しいピストン後の男優さんの息継ぎ5秒をスキップする。長々と腰を動かしている男優さんには「早よ終われや」悪態をつき「あ、これで終わりか」と思ったら男優さんが果てる前に観るのを止めてしまう。僕にはチェックしなければならないタイトルが他にもたくさんあるのだ。1つの作品にそうそう時間をかけていられない。
Z世代の動画早送りも「余暇を楽しむ」というより「情報を仕入れる」ことが主な目的になりつつあるようだが、なんだか僕のAV視聴もそれに近くなってきたな。
でも現実世界でもこんな”タイパのいいエッチ”が求められるようになったら味気ないだろうなあ。
お店では下半身裸の風俗嬢が足を開いて待っていて、客はひたすら腰を動かし10分でフィニッシュ。客は入店から30分でお会計をして帰れるので会社の昼休みや外回りのついでに利用できるし、嬢は1日に何人も客をさばけるので”タイパがいい”。
若いカップルはウーバーイーツで夕食をささっと済ませ、一緒にゲームをしたり写真を加工したりSNSをアップしたり。そんで寝る前にささっと15分ほどでエッチを済ませてあとはまったりインスタやTikTok等をチェックして寝る。
ま、そんな時代でもいいんじゃない?おじさんにはもう関係ないけどね。