(前回のあらすじ:雷に打たれたアキラは天使見習いのネギコに「生き返る前に特殊な才能に目覚めさせてやる」と言われる。しかしその才能はお金にならない程度のものでなければならないという。”お金にはならないが、あれば人生に幸せを感じれられる才能”とは何か・・・)
ネギコ:”歌唱力”以外でしたら、絵を描く才能なんてどうです?
アキラ:絵ですか?それって・・・どうなんだろう?社会人になって絵を描く機会もそうそうないしなぁ・・・。
ネギコ:でも例えば旅先で写生とかスケッチをしていると現地の人とか観光客が周りを取り囲んで「ブラボー!上手ねぇ~」なんて褒めてくれて、「その絵、ぜひ私に譲ってくださらない?」なんて言われたり「私の似顔絵を描いてくれないか」なんて頼まれたり・・・。
アキラ:ああなるほど。そういうのはいいかもしれませんねえ。
ネギコ:旅先の景色の写真なんてネットにたくさん転がってますけど、絵に残すって乙ですよねぇ。
アキラ:う~む、確かに。
ネギコ:あとプレバトの光宗薫さん、田中道子さん、辻元舞さんみたいに絵が描けたら幸せだと思いません?
アキラ:あ~、いいっすね~。僕昔から榎木孝明さんみたいに絵が描けたらいいだろうなあって思ってたんですよ。
ネギコ:あ~、連休とか電車に乗ってちょっと遠出して、絵を描いて帰ってくるって、めちゃめちゃ素敵な休日の過ごし方じゃないですか!
ネギコ:じゃあ、これにしちゃいますか?
アキラ:あ、ちょっと待ってください。もちろんこれでもいいんだけど、他にもっといいのもあるかもしれないしなぁ。
ネギコ:他には・・・例えば字が上手いとか?
アキラ:ん~、でも最近、字書かないしなぁ。
ネギコ:確かに最近は直筆で書くとしても名前と住所くらいか。あと他人に字を見られるのは結婚式、葬式くらいですかね。
アキラ:書道はちょっと憧れましたけどね。あと日ペンの美子ちゃんとか。
ネギコ:誰です?
アキラ:あ、なんでもないです。
ネギコ:そういえば職場で席を外している間に電話かなんか来てて、誰かがデスクに貼ってくれたメモがきれいな字だとちょっと感心しません?
アキラ:あ!確かに!
ネギコ:逆に大人が字汚いとちょっと恥ずかしいんですよね。
アキラ:わかるぅ~。字が下手なのバレたくないからいちいちPCで作ったりしてね。
ネギコ:じゃ、これにします?
アキラ:ん~~~、待ってください。1つだけですよね?これじゃないような・・・。
ネギコ:思い切って、”SEXがめちゃめちゃ上手い”ってのはどうですか?
アキラ:え!そんなことも可能なんですか?それにします!
ネギコ:すごいですよ。一度でもあなたとベッドを共にしたら女性が離れられなくなります。
アキラ:めっちゃいい!それめっちゃいい!お金にならなくても全然いいですね。
ネギコ:寝る女性、寝る女性、み~んなあなたの虜!向こうからおねだりされまくります!
アキラ:うぉ~すげぇ!これです!僕が欲しかったのは。
ネギコ:意中の女性がいたらもう一発です。あなたがどんなにブサイクでも陰キャで仕事が出来なくて金がなくても、一度あなたとシたらイチコロです。もう釣った魚にエサをやる必要はありません!
アキラ:・・・天使見習いのくせにちょいちょい言葉遣いが悪いんだよな・・・。でも、本当にいいんですか?その能力を手に入れた途端、寿命が短くなるなんてこと言い出すんじゃ・・・。
ネギコ:そんなこと言いませんよ。安心してください。これであなたの人生はバラ色に!そして私もポイントゲットで正社員、もとい正天使に!
アキラ:そうですね!ちなみに、どうやってエッチに持ち込むんです?
ネギコ:・・・それは自分でしないといけません。
アキラ:え?自分で誘うんですか?
ネギコ:そうですね。まずデートに誘って、いい雰囲気になって・・・
アキラ:デートに誘えなかったらどうするんですか?
ネギコ:・・・無理やりってのはあまりお勧めしませんねぇ。
アキラ:・・・他のに変えてもいいですか?
アキラ:ああ、いいんですけど、そろそろ決めていただかないと、あなた普通に病院に連れていかれて蘇生してしまいますね。そうなると私も何もできなくなっちゃうんで。
アキラ:まじ?早く決めないと。えっと、他にないかな?
ネギコ:例えば”短眠”とかどうです?ショートスリーパー。寝なくて済む分、いろいろなことができますよ。趣味に仕事に勉強に・・・
アキラ:俺寝るの好きなんですよね。起きててもやることなくてYoutube観る時間が増えるだけのような・・・。仕事とか勉強とか・・・やりたくないしなぁ。
ネギコ:お酒が強くなるってのも意外に人気なんですよ。友だちとか取引先とかにウケが良くてですね、海外でもバーで外国人と友達になったりして・・・
アキラ:あ~、でもお金かかりそうですね。俺一緒に飲む友達もいないし・・・
ネギコ:性格が几帳面になったり、整理収納上手になったり、キレイ好きになるってのは?
アキラ:ん~、それで人生が幸せになるイメージがつかない・・・
ネギコ:味覚が優れて、食材とか調味料とか一発で当てられちゃうみたいな才能?
アキラ:なんか味を楽しむより分析したり文句をつけたりするようになりそう・・・
ネギコ:ポジティブ思考になるのは?
アキラ:バカっぽい
ネギコ:孤独に強いってのは?
アキラ:今もそれなりにそんな感じだし
ネギコ:文章が上手いってのは?
アキラ:ブログ書いて終わりでしょ?
ネギコ:・・・はぁ・・・もういいですか?私も時間ないんで。いつまでもあなたに付き合うより他の人に雷落としたほうがタイパが良さそう・・・
アキラ:え!待って、あとちょっとだけ待ってください。
ネギコ:いや、もう色々ムリ。なんかもうあんたのネガティブ思考じゃ何やっても幸せになれなさそうなんで。
アキラ:待って!えっと、じゃあ、えっと・・・
ネギコ:もう行きますよ。
アキラ:ならば!大きなイチモツをください!
ネギコ:・・・OK