俺よ、男前たれ

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プロレスとは

 ちょっと前に話題になった実業家のひろゆき氏とプロレスラーのTAKAみちのく氏による”プロレス論争”

 ひろゆき氏はX(旧Twitter)で「番組で『目玉焼きは醤油派』と全員が言うと成立しないので、本心と異なる過激なソース派を主張してその場にいない視聴者の代弁をする演者は居ます。その後に『過激発言で炎上』とか見かけると、プロレスのわからない人が増えてるんだなぁ、、と思うおいらです」と投稿。

 それに対しTAKAみちのく氏が「あなたはプロレスやったことありますか?ないですよね?俺達は身体張って命懸けでプロレスしてます。怪我しないよう毎日トレーニングもしてます。俺の天職をバカにするような発言はやめてもらえますか?」と噛みつき、ネット民を巻き込んだ論争に。

 僕は個人的にはTAKAみちのくさんがちょっと大人げないというか、「ムキになって怒ると”コンプレックスに感じている”と思われちゃうんじゃないか」と心配している。

ともあれ、議論はお互い論点がずれまくったまま沈静化してしまった。

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/04/22/kiji/20240422s00041000559000c.html

ポイントは「~はプロレスだ」「プロレスになる」という言い方の意味の捉え方だろう。

TAKAみちのく氏はおそらく「~はプロレスだ」は悪い意味で捉えている。つまり”八百長”や”やらせ”の比喩という否定的な意味で使われていると解釈したので「バカにされた!」と感じたのであろう。確かに昔はそのような使われ方がほとんどだったし、それがそのままプロレスのマイナスの評価だったように思う。

ただここ数年、”プロレス”の意味合いは変わってきているように思う。僕も昭和からずっとプロレスを観てきたし、色々な人が「プロレスだ」と言ってきたのを聞いてきた。

例えば『ゴッドタン』(テレビ東京系列)で劇団ひとりさんがフルーツポンチ村上さんに対し「(キングコング)西野とはいいプロレスになるのよ。でもお前は何にもない」と村上さんの絡みづらさを批判したことがある。ここでの”プロレス”は「打てば響く関係」「攻防が展開し、盛り上がる」「技を受けてくれるし、反対に攻撃してくれる」「自分も光るし相手も光る」といった意味合いで使われており、バラエティ番組における芸人さんとの絡みは”プロレス的である”ことが良しとされている。

「プロレスだ」という表現は言い換えれば”エンターテイメントだ”の意味に変わりつつある。”見ている人を楽しませるための演出”といってもいい。ここには”インチキ”や”やらせ”といった否定的なニュアンスはない。

また”信頼関係があるもの同士のぶつかり合い”という意味もあるかもしれない。事前の打ち合わせもなくいきなり激しくぶつかるが、終わってみれば後腐れなし。これも”プロレス”をしている。

実は仕事でもそんな場面がある。

例えば議論を活性化させたりブレインストーミングのためにわざと対案を出したり、突拍子もないアイディアを出したりすることがある。ガリガリ君の新作を考える会議で「バナナはどうか」「リンゴはどうか」というアイディアを出す奴ばかりだと発展しない。例えアホだと思われても「ナポリタン味なんてどう?」とか「コーンポタージュ味食ってみたい」なんて発言する人が必要だ。もちろん反対する人がいてもいい。発案者だって別にその案がベストだと思っているわけではないが、これで議論が白熱して盛り上がってくれたらと思ってやっている。気の利く上司はたまにこういう”プロレス”を仕掛ける。「いや~、さすがにそれは無理じゃないですかね~」という奴より「いいですよ。やってみますか?でも失敗したら課長が飯奢ってくださいね。成功したら・・・お祝いに飯奢ってくださいね」なんていう奴がいたほうがいいプロレスになる。

他人に干渉しない、他人に興味を持たない、他人と真剣に向き合うことを避ける傾向がある現在、”プロレスができる人””プロレスができる関係”って、これからの時代に必要なスキルなのかもしれないよ、TAKAさん。

https://times.abema.tv/articles/-/7021880

ちなみに僕は今回の論争で「ストローマン論争」という言葉を初めて知った。「ストローマン論法」とは”拡大解釈して相手の主張を否定したり、会話の流れを無視して一部の意見だけを切り取って攻撃したりする話し方”(【No.123】藁人形論法 | カスタマーサービス用語 | クレームナビ (claimnavi.com)

のことだそうで、ひろゆき氏がよく揶揄されるのだそうだ。

ストローマン・・・昔、中西学選手とタッグを組んでた、フライパンを折り曲げるあの人のことじゃなかったんだな。

写真:プロレスキャスター・元井美貴「中西選手のモンスターモーニング 実はバランスが取れていた」 | 東スポWEB