先日、『ザワつく金曜日』(テレビ朝日系列)を見ていたら「40代~60代に訊いた“好きな夏歌”ランキング」なるものを発表していた。
んでTUBEの「あー夏休み」が1位になったんだけど、なんとなく違和感が残った。僕も50代なので、「夏と言えばTUBE」「TUBEと言えば夏歌」で育ってきた。だからTUBEの歌が1位になってもいいんだけど、それでもTUBEの夏の名曲1位って「あー夏休み」か?40代~60代にとって夏の名曲1位って「あー夏休み」か?

ちなみに僕は特にTUBEのファンというわけではないが、それでも小・中・高とTUBEの曲を毎年夏に聴いてきたように気がする。『ベストセラー・サマー』『シーズン・イン・ザ・サン』『Summer Dream』『Dance with you』『Beach Time』なんかは「ザ・ベストテン」「夜のヒットスタジオ」なんかの歌番組やテレビCMでもよく聴いていた。雑誌『明星』の付録「Young Song(ヤンソン)」なんかで歌詞を見ながら自分でもよく歌っていたな。毎年夏になるとTUBEの曲が流れてきて、「ああ、もうそんな季節か」「今年も夏が来たな!」という感じがした。もう「冷やし中華始めました」くらいの夏の風物詩だった。
ただ夏のイメージが付きすぎて冬に出すシングルが売れなかった。さらに「またTUBEは夏の曲か」とちょっとマンネリ感を感じていたころに出した曲が『あー夏休み』だったように記憶している。

TUBE前田亘輝、「あー夏休み」の替え歌熱唱!「初めて替え歌に挑戦」 「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」新テレビCM「晴れ空マエダくん」編 (youtube.com)
正直、今年のTUBEの曲が『あー夏休み』だと知った時は失笑した。「ネタ切れか?」「コミックソングか?」「さすがにベタすぎだろう、このタイトル」なんて思った。それまで“波”“ビーチ”“太陽”“サマー”とテンションが上がるワードで曲を仕上げていたのに『あー夏休み』って!宿題が終わらないまま新学期を迎える小学生か!って感じで思い切りバカにしたものだ。案の定、『あー夏休み』はオリコン最高位10位、CD売り上げも20万枚ほどだったので、本来なら“TUBEの代表曲”“日本の夏の代表曲”になるべきものではなかった。
ただ、その後に発売されたTUBEの曲は揃いも揃って名曲ばかりだった。僕は後にベストアルバム(『TUBEestⅡ』)を買ってヘビーローテーションをすることになるのだが、『さよならイエスタデイ』『ガラスのメモリーズ』『夏を待ちきれなくて』『夏を抱きしめて』『恋してムーチョ』『ゆずれない夏』『あの夏を探して』…。
この頃のTUBEは潔かった。5月と7月の2回、1年に2曲夏歌を出した。「夏は稼ぎ時!」「開き直って“夏”で売る!」という感じがした。で、どれもTUBEらしい、夏を感じさせる曲に仕上がっていた。もともとボーカルの前田さんの声質や歌い方が夏に合っていたこともあったのだろうが、TUBEの曲を聴くと自然に夏を感じてしまうくらい、当時の日本人は“パブロフの犬”状態だった。
個人的に“TUBEの名曲”“日本の夏歌”を選ぶなら、『さよならイエスタデイ』か『ガラスのメモリーズ』を選ぶだろう。
ガラスのメモリーズ〜さよならイエスタデイ〜あー夏休み 2005 // TUBE [歌詞] (youtube.com)

さよならイェスタデイ 細川たかし (youtube.com)
ではなぜ、40代~60代が選ぶ“夏の名曲”が「あー夏休み」となったのか。
それはやはりタイトルのインパクトの勝利だろう。ベタすぎるほどベタで、ちょっとコミカルで、ロックなのに日本の祭りっぽくて、老若男女取っつきやすいタイトルだからこそ、人々の脳裏に刻まれたのだろう。
おそらくモノホンのTUBEファンは「あー夏休み」を特別視しない。が、TUBEファンがTUBEファン以外にTUBEの曲を紹介するなら「『あー夏休み』って曲知らない?」と訊いてしまうかもしれない。音楽番組がTUBEを紹介するときもやっぱり「TUBEの皆さんに歌っていただきましょう!曲はお馴染み!『あー夏休み』です!」とやってしまうかもしれない。
シブがき隊の名曲は個人的には『Zokkon命』『飛んで火にいる夏の令嬢』『月光淑女』だと思うが、一般的には『スシ食いねェ』か『NAI NAI16』。
https://www.youtube.com/watch?v=rPO6BC1aLcE&list=RDrPO6BC1aLcE&start_radio=1
https://www.youtube.com/watch?v=-W0TqJZEC-Y
名曲が必ずしも人の記憶に刻み込まれるとは限らない。やはり曲のインパクトって大事なんだな。
