俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

”オジサン”を受け入れたら・・・

2024年9月3日放送の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系列)を観ていて、色々思うところがあった。9月3日放送分では「世代間ギャップに悩んでいる有名人」が集まってそれぞれの思いを語っていた。Z世代からは村重杏奈さん、山之内すずさん、大西流星さんらが年上世代への本音を語り、年上世代の出川哲郎さん、佐藤仁美さん、望月理恵さんらを驚かせた。

面白かったのはその間の世代の男性陣(ウエンツ瑛士風間俊介花村想太)の反応で、彼らは揃いも揃って「”自分もオジサンだ”と自虐的に言ってはいるが実はそれを認めたくない」という思いを抱えている。

あ~、わかる。僕もそうだった。

昨年50代に突入してすっかり解放された僕は、彼らに深く同情するのであった。

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男性が”オジサン”を自覚するようになるにはいくつかのきっかけがある。

例えば結婚して子供が生まれ、子供の友達が家に遊びに来るようになれば”オジサン”と呼ばれるのも当たり前だし、自分のことを指すときも”オジサンがやってあげよう”なんていうことになる。例え自分が20代でも、子供の親という自覚があれば自分のことを”お兄ちゃんがやってあげる”なんてふうには言わない。

甥っ子・姪っ子を相手にする場合も以前はそうだったのだが、最近はちょっと気を使うようになったのか、自分の子供に「~おじさん」「~おばさん」とあえて使わせない動きも出てきたようだ。確かに僕も息子には僕の兄弟のことを「(下の名前)さん」で呼ばせている(が、兄も弟も僕の息子と対等に遊んでくれるので息子に呼び捨てされている)。

ただ不思議なことに、自分の甥っ子・姪っ子には”オジサン”と呼ばれてもすんなり受け入れるのに、独身アラサーぐらいだと知らない子供に「オジサン!」と呼ばれることには抵抗があるのだ。道で「オジサン、ハンカチ落としたよ」と言われてもおそらくすぐには自分のことだと思わないし、「ん?”オジサン”?」なんて一瞬戸惑ってしまい、「ああ、どうも」なんてその知らない子に丁寧語で答えてしまったりする。まだオジサンの自覚がないのだ。

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問題は35歳~45歳くらいの独身男性、つまりウエンツ瑛士(38歳)・風間俊介(41歳)・花村想太Da-iCE 34歳)の世代だ。この世代が一番”オジサンをこじらせる”。

まずこのくらいになると少しずつ体に変化が出てくる。見た目も白髪が出てきたり、腹が出てきたりするし、疲れが取れなかったり忘れ物が増えたりおならがよく出るようになったりする。だから「いや~、もう俺もオジサンだよ」なんて自虐的に言ったりすることがある。

が、実際は(独身アラフォーなら)全然”オジサン”を受け入れられていない。

「結婚して生活感が出てしまっている同年代の友達に比べたら、自分はまだファッションにも気を遣っているしイマドキの流行も抑えている。下の世代の気持ちもわかるし、話題にもついて行ける。性欲も体力も好奇心もバリバリ!後輩ともよく遊んだり飲んだりしている!少なくとも自分はまだ”オジサン”とは見られていないはず!」なんて思っている。

で、面倒なのは独身でいる間は10年くらいこの状態が続く。つまり”オジサンをこじらせる”。「まだいける、まだいける」なんて45歳くらいまで思い続ける。それが独身男性という生き物だ。

もちろん学生さんから見たら35~45歳は立派なオジサンなのだが、普通の社会人は彼らと直接関わる機会があまりないのでこの勘違いはかなり長引く。

先の『踊る!さんま御殿!!』でも「(自分の事を)オジサンと思っている」と言っていたはずの花村さん(34歳)」が16歳の女性タレントに「俺っておじさん?」と聞いて「はい」と即答されて撃沈されていた。実は「そんなことないですよ!」待ちだったようで、「マジで!?」と言わんばかりに目を見開いてびっくりしていた。同じく風間さん(41)が大西さん(26歳)に「そんなに変わらないよね?」と聞いて「いや、全然違いますよ!」と完全否定されていた。

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でも花村君、ウエンツ君、風間君に言いたい。

年を重ねるごとに「まだいける」という抵抗の気持ちの割合より「もうオジサンだ」というあきらめの気持ちのほうが強くなり、50を過ぎれば自然に楽になる。だから大丈夫。

今僕は名実ともに、心身ともにオジサンになり、解放されている。「LINEに絵文字を使ったり赤いビックリマークをつけるのは”オジサン構文”!」と言われても「オジサンはLINEの文章が長い!」と言われても「まあ、本当にオジサンだからね」でスルー出来る。「その服、色合いも組み合わせもダサい。オジサンっぽい」とバカにされても「やってることが非効率、昭和の考え!」とdisられても「「まあ、その通りだからね~、ごめんね~」でスルー出来る。

変に若い人に合わせようとしなくなるし、好かれようともしなくなる。「世代が違うから」、「ま、仕事以外ではお互い交わることもないし」なんて変に納得しながら「お互いの平和のためにそれぞれでやりましょう」で着地する。

不思議なことに僕の父親世代(団塊の世代)と違って「最近の若いモンは!」みたいな若者に対する怒りや不満は全くない。僕ら令和の50代は居酒屋でおじさん仲間と「最近の子はすごいねぇ~」「令和っていう感じだねぇ~」「いや~、俺たち理不尽に慣れちゃって気づかなかったねぇ~」「なんも言い返せなかったよぉ~」なんて若い世代に感心したり自虐したりしている。僕らも若い世代が苦手で、あんまり交わりたくないのだ。

これがいいことなのかどうかはわからないけれど、とにかく”おじさん”を受け入れると下ネタも言えるしダジャレも言える、おならも出せるし体の不調ネタで2時間飲める。つまりのところ”解放”される

オジサン(という名の魚)