ある日、バスに乗って窓の外をぼーっと眺めていたら急に頭の中に斉藤由貴の曲が流れてきた。斉藤由貴の曲と言えば普通は『夢の中へ』か『卒業』なんだろうけど、その時に流れたのは『砂の城』『青空のかけら』だった。で、おもむろにスマホを取り出しYouTubeで斉藤由貴の歌唱動画を検索。あったあった、こんな曲。『土曜日のたまねぎ』『May』『さよなら』・・・。
んでいくつか動画を観ているうちに、見事に今の僕にハマったのが『情熱』という曲だった。知っている人はいるだろうか?

話は変わるが、僕が好きな音楽番組『EIGHT JAM』(テレビ朝日系列)。最近のミュージシャンの紹介はもちろん、すごいクラシックの演奏家、振り付け師の工夫、音楽Pののこだわりの機材・部屋など、音楽にかかわる色々な情報を教えてくれる。この番組で以前、語られたのが「俳優が歌う役者ソング」というジャンルだ。ゲストの菅田将暉や上白石萌音らが”アーティストが歌う歌とはまた違った魅力や俳優ならではの表現・こだわり”を語っていた。
確かに昔の俳優さんはよく歌っていたな。宮沢りえも沢口靖子も歌っていた。個人的に好きな歌う俳優さんは西田敏行さんや中村雅俊さん、薬師丸ひろ子さんなんだけど、そういえば斉藤由貴さんの歌もなかなか味があったな。
斉藤由貴さんは中森明菜さん、小泉今日子さん、松本伊代さんら代表的な80年代のアイドルとはちょっと世代も違うし、明るくはしゃぐ感じもしなかった。なんか一人で寂しげな感じがあった。Wikiにも「子供の頃は神経質かつ引っ込み思案で学校に友達が少なかったが、家で鏡に映した自分と、時には物語の登場人物と見立てて話すと不思議にうまく喋れていたことが後の俳優業につながる」(斉藤由貴 - Wikipedia)と書いてあるが、まさしくそんな感じの子だった。
で、歌うと独特の雰囲気があったな。なんか”ため息交じり”に歌う感じが実に良かった。時に優しく温かく、時に寂しく悲しく、そして時に芯が通ったきれいな声で歌っていた。今思えば歌の主人公の女性を憑依させて女優として演じていたのだと思う。まさに”女優歌手”の真骨頂だったのだろう。
で件の『情熱』なのだが、これがもう・・・すごいのだ。
もうイッちゃってる。入り込んでいる。女優ならではの表現力。こんなの聞かされたらシーンとしちゃう。何も言えなくなる。
おそらく歌唱力では令和の天才たち(YOASOBIとかADO、あいみょんなど)には到底かなわないが、逆に彼女らも斉藤由貴のようには歌えない。今、あのような表現力で歌う人はいない。令和の人気女優さん達でも無理だろうな(そもそも歌わないし…)。上白石姉妹でも生粋の人見知りには敵うまい。
おそろしや斉藤由貴。とその情熱・・・
