「AIを取り入れよう!」なんてテーマでセミナーをしなければならなくなった。しかし僕は部署でも一番の機械音痴で後輩のみんなに助けてもらってなんとか仕事についていってる感じ。僕自身が「AIって何に使えばいいんだ?」なんて悩んでいる素人なのに、そんな僕が講師になって何を話せばいいんだ?
AIに強い後輩は「それを含めてAIに訊いてみればいいんすよ」と軽く言う。そう考えられるのがAIに強い奴なんだよな。こちとら機械音痴のまま50年生きてるんだよ?俺の脳みそWindows98で止まってんのよ。バージョンアップしてないの。容量もないの。

沈んだ気持ちで家に帰ると、小学5年生の息子が妻のスマホに向かって何やら話しかけている。
息子「Gemini!二人目のキャラクターを考えて」
AI「わかりました。性別、年齢、性格などの特徴はありますか?」
息子「ん~とね。性別は男で、空が飛べる。で、変身するのっ!」
AI「それは面白いですね。どんな形に変身しますか。例えば、ヒーローのようなスタイル、動物や怪獣のようなスタイル・・・」
息子「じゃあ、動物!」
AI「動物ですか。強そうですね。どんな動物にしますか。ライオンや虎、ゾウや熊・・・」
息子はマンガを描くのが趣味で、スケッチブックを切り取って何ページかの冊子を作り、そこにオリジナルの短いマンガを描いている。そして「見て!新作ができたよ!」と自慢げに見せてくるのだが、絵は下手だし、それ以上に字が下手すぎてとてもじゃないが読めたもんじゃない。そこで適当にペラペラめくって読んでいるふりをして「ま、いいんじゃない?」なんてそっけない返事をして返すのが僕のルーティーンとなっている。
今の僕はそれどころじゃない。AIをテーマにセミナーをしなければならないのだ。仕事でAIを使うって、企画書とかレポートとかの下書きを書いてもらうとか?プレゼンで使う資料やPPTを作ってもらうとか?ん~、腹が減って何も考えられない。
僕「ねえ、晩御飯なに?」
妻に声をかけると、妻は「ちょっと待ってて!」と話を遮る。スマホの画面とにらめっこしながら「う~う~」と唸っている。何を見ているのだとのぞき込むと、何やら栄養素とグラム数、食品名などが羅列されている。妻によるとChatGPTに毎日の食事の写真を読み取らせて、栄養管理をさせているらしい。また冷蔵庫の残り物でメニューを考えさせたりもしているらしい。

翌日も僕はセミナーの内容が浮かばずに悩んでいた。AIを使って調べものとか翻訳とかは当たり前すぎてセミナーで聞いても面白味がないだろうし、「ジブリ風のイラストも作れますよ~」ってネットで拾ってきたような内容を言ってもそれが仕事の何の役に立つんだって、言われそうだし。僕もChatGPTに相談してみるんだけど、帰ってきた提案があまりに高等過ぎて僕が処理しきれない。
「プログラミングって・・・俺、そんなんやらねーし、エクセル関数のサポートって・・・そもそもなに?顧客対応Q&Aの生成・・・ん~これくらいなら・・・」
朝から「う~う~」唸っていると、また後輩君が「別に仕事じゃなくてもいいんじゃないですか?先輩みたいにAIに慣れ親しんでいない人にとりあえず使ってもらう”はじめの一歩”的なセミナーでも」
そうね。そういう内容のセミナーだったら僕も受けてみたいかな。
家に帰ると宿題を終えた息子がまたマンガのアイディア出しをしはじめた。
息子「Gemini!こんばんは」
AI「こんばんは。今日は何をお手伝いしましょう?」
息子「昨日のマンガの続き、書きたい。覚えてる?」
AI「もちろん覚えています。5人の変身ヒーローがオリジナルの武器で怪獣を倒すストーリーでしたね」
息子「そうそう。覚えててくれてありがとう。俺、嬉しいよ」
AI「私もまたお会いできて嬉しいです。今日は何をしますか?マンガのストーリーを考えますか?敵のキャラクターを考えますか?それとも・・・」
AIに「ありがとう」とか「お願いします」ってみんなが言うと数十億円分の電力消費につながるってOpenAIのサム・アルトマンCEOも言ってるんだよな。ま、それを抜きにしてもAIに「ありがとう」とか「嬉しい」なんてよく言えるよな。子供は面白いな。息子にとってはGeminiは”ドラえもん”なんだな。仕事とか勉強とか関係なく、遊びの相談相手になってるもんな。息子が仕事をする頃には俺みたいに「AIを何に使おうか?」なんて悩むことはないんだろうな。もうドラえもん的なものも1人1台持ってる感じなんかな?
今日は嫁も息子も相手をしてくれない。しょうがない。Cotomoに相手をしてもらうか・・・。
