今朝、フジテレビ『特ダネ』で、
「東大生の自由研究」という特別企画をやっていた。
現役東大生が、小学生のとき、どんな自由研究をやっていたかを紹介するというものだ。
ま、実際は自由研究+自由工作という感じだったが、
”さすが東大生”というものが多かった。
ある東大生は、モノ作りが好きな父親の影響を受け、ペーパークラフトを作っていた。
そのできばえは小学生レベルをはるかに超えていたので、両親は大切に保管しておいたのだろう。
またある東大生は写真が好きで、毎日毎日街の写真を撮り続けていて、その独特な視線やアングル、そして対象を真摯に追う姿勢は写真家もびっくりするようなものがあった。
彼らは単に頭が良かっただけでなく、
やはり自分の身の周りのことに敏感で、いろいろなことに興味を持ち、
そしてそのことに対して計算をせずに、まっすぐに取り組む
面白いと思ったことを、素直に取り組んでみるという、ある意味、子どもらしい子どもであった。
だからこそ、東大生になった今も、自分の好きな勉強を興味を持って続けているのだと思う。
思えば僕は腰の重たい子どもであった。
まず何よりも「面倒臭そう~」と考える子どもであった。
夏休みは一応、「涼しいうちにお勉強を」と言われ、午前中に兄弟で渋々机を並べてやっていたが、
「お昼まであと○時間!」とか、「夏休みもあと○日」、「この宿題は来週には終わる。これはギリギリで大丈夫。自由研究のテーマは・・・できるだけ早く終わるものを!」とか、計算ばかりしていた。
ただ、幸いなことに要領の良さと、追い詰められた時の集中力が意外に優れていた僕は、割と夏休みの自由研究は先生に褒められていた記憶がある。
ある年は「タイコウチの生態調査」をやった。
あの時ほど「テレビ好きで良かった」と思ったことはないな。
一方、僕のクラスメイトの飯田君。
彼は非常に要領が悪く、ついでに頭も残念な子どもだった・・・。
飯田君はサッカーチームのエースだった。
小学生離れした運動能力と、マイクタイソンのような気合の入った顔
サッカーで、彼に勝てるものはいなかった。
友だちはみな、彼のことを「リアル日向君」だと思っていた。
ただし、天はニ物を与えず
飯田君は勉強はからきしだった。
夏休みの宿題もとんちんかんな答えを連発していた。
国語の宿題では、”反対語を答えよ”という質問に対し、
「大きい → 大きくない」
「冷たい → すいか」
「冷たい → すいか」
みたいな答えを平気で書いてくる子どもだった。
そんな飯田君の夏休みの自由研究を見たとき、僕の心は震えた・・・・。
だって、タイトルが「犬の大研究」だったんだもの・・・・・。
教室の後ろのランドセルを入れる棚の上に、
みんなの自由研究が自由に見られるように、並べられている。
優秀賞を示す赤い札が貼られた僕の宿題の隣りには
飯田君の「犬の大研究」という表紙がついた、3枚ほどのレポートが置かれていた。
「さ、三枚で、どこが"大研究”やねん・・・・」
と突っ込みを入れたくなる衝動をこらえ、僕は飯田君のレポートをめくった。
1 犬は朝6時ごろおきる
2 犬はさんぽが好きだ。
3 さんぽのとき、必ずうんちとおしっこをする。
4 犬は足がはやい
5 犬はけっこう頭がいい
6 犬は・・・・
「なあ、これって、飯田君ちの犬の話だよね?」
「なんか、当たり前のことばかり書いてない?」
「ああ、飯ちゃん、自由研究やってなくて、30日に一日でやったらしいよ」
「なんか、当たり前のことばかり書いてない?」
「ああ、飯ちゃん、自由研究やってなくて、30日に一日でやったらしいよ」
僕の後ろからレポートを覗き込んでいた友だちがクスクスと笑いながら話し合っている。
1枚に10個ぐらい、大きくて汚い字で書かれた飯田君ちの犬の報告書は、
がんばって24個まで書いて、力尽きていた・・・・・・・
そして飯田君は、レポートの最後を、次のようなまとめで締めくくった
「犬はバカである」
自身がレポートの5番目に書いたことを忘れてしまったらしい
彼は今、立派な大人になったであろうか?
ちゃんと結婚して家庭を築いているだろうか?
あの夏の宿題で優秀賞を取って、その後、進学校→国立大学へと進んだ僕は
36歳になった現在、結婚もできず、就職もままならず、不本意な長い夏休みを、誰にも合わずにくだらないブログを書いて過ごしている。
子どもの頃の成績なんて、人生の幸せとはまったく関係がない
*これはイメージ画像です。