10月10日
僕が小さい頃はこの日が「体育の日」だった。
最近ではハッピーマンデー法で第二月曜日辺りが休みになったけど、やはり昔からの習慣で「お、10月10日か、体育の日だな」と思ってしまう。
と、同時に、学生時代の悲しい思い出を思い出す。
まずは中学3年生の秋の運動会
当時は今よりずっと体重が軽く、スリムだったし、
足も速く、運動神経も抜群だったので、運動会は僕にとって檜舞台だった。
運動会は楽しくて仕方がなかったし、正直、有頂天になっていた。
あの瞬間までは。
クラス対抗リレーも終わり、興奮冷めやらぬ中で始まったフォークダンス。
今思えば、なぜ運動会で踊るのかわからなかったフォークダンスだが、
正直、フォークダンスは得意中の得意だった。
他の友だちは一年も経つと踊りを忘れてしまうのだが、僕はオクラホマミキサーも、マイムマイムも完璧にマスターしていたし、中学生にしては優雅に踊っていた。
そしてオクラホマミキサーも終盤を迎えようとして瞬間、次に僕と踊る女子が僕を見るなりこう言ったのである。
「え~!あんたなんかと踊れな~い!」
その女はその前の年に同じクラスであったが、口うるさく、空気の読めない女で僕とは犬猿の仲だった。
3年生になってクラスも変わったし、あれから時間もたってたし、僕としてはこれといって意識はなかったのだが、その女はけっこうな声で言ったのである。
「え~!あんたなんかと踊れな~い!」
その後、どうなったのか、全く記憶に残っていない。
ただ、有頂天だった僕は、天狗の鼻をへし折られ、一気に地獄に叩き落されたのであった・・・。
その3年後。
僕は高校3年生になっていた。
そしてまた運動会の最後に、フォークダンスを踊っていた。
高校に入って目立たない存在になっていた僕は、とても慎ましく踊っていた。
高校1年生の時に仲の悪かったSという女と踊ることになった時、
僕は中三の時の様な惨劇が起こるのではないかと警戒したが、
Sは少しうつむきながら口元を緩めた。
僕もつられて、照れ笑いを浮かべた。
なんか「雪解け」というか、「あの頃はお互い、青かったな~。だから意地を張り合っていたもんだよな~」という思いが2人の間に生まれた気がした。
そう。
僕は好きな女の子にはあえて意地悪をして気を引こうとする、昔ながらの不器用な男の子だった。
だからこそ好きな女子によく嫌われていた。
小学校、中学校、高校と、
なんとも素直になれない青春時代を過ごしていた。
「よし、これからは素直に生きよう!自分の思いは素直に伝えよう。もうこうなったら運動会の後、告っちゃおうかな~」
なんて思っていたら、次の相手は小・中・高と同じ学校で、しかも小学校の時好きだった相手だった。
僕はドキドキした・・・
そしてどんな顔をしたらいいもんかと、迷ってしまった。
すると、その女の子は僕の顔を見るなり、こういった。
「嫌がんなよ!」
え?え?なに?どういうこと?
嫌がってませんけど!
むしろ、ドキドキしてますけど!
が、時すでに遅し。
その女子は、僕の嬉しさを噛み殺そうとして出した複雑な表情を
「この女となんか、フォークダンス踊りたくねーなー」の表情にとったのである。
そういえば、運悪く、僕は小学校の時、その女子に意地悪をしていたのである。
好きだからゆえに・・・・・
結局、その女子は僕と手をつないでくれず、僕は途方にくれたのであった・・・。
あれから18年・・・・・・
世の中には、”キモイ”と呼ばれる奴なんて、星の数だけいるが、
人生で2回、「フォークダンスを女子に拒否られた男」ってどれくらいいるんだろう?
思い出すたびに、涙が流れてしかたがない。
ちょっぴり痛い、運動会の思い出であった・・・・・・
ああ、秋って、哀しいね・・・・・・