俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

日清の「どん兵衛」の物申す

そばかうどんか、と言われたら

僕は間違いなく「そば」である。

立ち食いソバでも迷わず「そば」を注文するし、

自分で茹でて食べるのもそばのほうが多い。


が、ことカップ麺に関して言えば、断然「うどん」である。

カップ麺のうどんは、本物の生のうどんとはまた違った魅力がある。

讃岐うどんはもちろん巧いけれど、それでも夜中に急にカップのうどんが食べたくなったりする。

本物よりも薄くてビロビロした感じがまたいい!

赤いきつね」(東洋水産)や「ごんぶと」(日清食品)など、カップのうどんは数あれど

やはりキング・オブ・カップうどんは日清の「どん兵衛」だろう。

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子どもの頃から、僕はいったいどれくらい「どん兵衛」を平らげてきただろう。

お昼に、おやつに、夕食前に、夜食に

自分でもあきれるくらい「どん兵衛」を食べ続けてきた。

小学校の頃は、お揚げで汁をチューチュー吸うのが大好きで、吸っては汁に浸し、吸っては汁に浸しを繰り返して汁を飲み干したこともある。


やり方は、まず蓋を開け、その上に油揚げを載せる。

そして麺を全て平らげたらお祭りのスタートだ。

冷めてしまった油揚げをスープに戻すと、油揚げがちょっとうれしそうな顔をする。

ちょうど冬に温泉にはいった爺さんのような心境なんだろう。

そして出汁がたっぷり染みた油揚げを口の中に入れ、口蓋と舌で「じゅっ」と圧迫すると、

甘辛い汁が口の中に広がって、なんとも言えず、うまかった。

そして汁っ気が抜けて、固くなった油揚げをまた汁に浸すと、まるでスポンジが水を吸うように見る見るうちに油揚げがふっくらと復活してくる。

そこでまた口に入れて、「じゅん、じゅわ~~」っとつゆを吸うのである。

が、この食べ方は母親に「汚い」と怒られ、以降、我が家で禁止となってしまった・・・・。


高校を卒業以来、ずっと一人暮らしをしているが、部屋にはいつも「どん兵衛」があって、いつでも食べられるように常備していた。

ここ数年は近所の100円ローソンで買ってくることが多いのだが、実は最近ちょっと気になるニュースを聞いた。

ここ数年、どん兵衛がリニューアルしているというのだ。

Wikipediaによると

「レギュラー版は2008年11月25日発売のリニューアル版より麺1本あたりの長さが従来の2倍の長さになり、若干太めのサイズになった。」

「特殊製法による”べっぴんうどん”に変更。」

「その他の”どん兵衛”のレギュラー版、および特盛版カップうどんシリーズも順次”べっぴんうどん”に変更される。」

「さらに2009年9月28日発売のリニューアル版の”うどん どん兵衛”シリーズより麺のコシや太さを更に改良させた”フトロング製法”(現在特許申請準備中)を用いた”ぶっとうどん”に順次変更される。」

というのだ。

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僕はCMで、SMAPの中居君がこの「ぶっとうどん」を旨そうに食っている姿をみて、「あ~食いたい!」と思ってしまった。

が、100円ローソンでは通常の平打ち麺のやつしか売っていない。

そこで、お昼はわざわざファミリーマートまで行って新しい「どん兵衛」を買ってきたのである。

うふふ・・・ちょっとドキドキ


まず蓋を開けて驚いた。

スープが粉末じゃなくて液体なのだ。

こりゃ~期待できる!

七味唐辛子もなぜか青い袋に入っていて、よくわかんないけど特別そうだ。


さっそくお湯を入れて5分

そして蓋を開け、いよいよ「ぶっとうどん」を試すときが来た。

麺を持ち上げてみると、思っていたほど太くない

なんか、「ごんぶと」みたいなのをイメージしていたので拍子抜けだ。

ま、とりあえずやけどをしないように「ふーふー」して、豪快に吸い上げた。


「う~ん。(くちゃくちゃ)ん~~~(くちょくちょ)。ん?ん~。ん?」

時間がちょっと早すぎたか?

ところどころ、麺が固い。

太くしたのはいいが、中まで柔らかくなっていないのである。


一旦麺を中断し、つゆと油揚げを楽しむ。

あ~~、つゆ旨い!旨くなってる!やっぱ液体スープいいよ!あ~クセになるな・・・・

油揚げも相変わらず旨い!関東出身の僕としては、もう少し下品な味付けの方がいいんだけど

それでもふっくらして旨い!

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さて、改めて、麺にとりかかろう。

「ぶっとうどん」を豪快に箸で持ち上げて、一気に吸い上げる!


おうっ!しるが顔に撥ねた!

くちゃくちゃくちゃ・・・・ん~~~、やっぱりところどころ固いような・・・

そもそも歯ごたえが・・・・あんまり魅力的じゃない?

なんか以前の平打ち麺のほうが良かったような・・・・


僕はテレビ東京の「カンブリア宮殿」やTBSの「がっちりマンデー」で日清の企業努力を見ている。

だから、どん兵衛の開発努力も、思いを馳せると頭が下がる思いなのである。

きっと太い乾麺をいかにしてやわらかくするのか、

どん兵衛」チームは研究に研究を重ね、やっと新しい製法を生み出したんだと思う。


が、それでもあえて言わせてもらおう。


これ、失敗です!



太いうどんなら、「ごんぶと」がある。

ごんぶとを食べるくらいなら、立ち食いソバでうどんを食べる。

本物に近づけるということも、時には大切なことかもしれない。

しかし、それがその人・物の魅力を失うものであってはならない。

どん兵衛」の魅力は平打ちの、のどごしの良い、つるつるの麺にあった。

本物のうどんとは違うもの

だからこそ「どん兵衛」には価値が生まれた。


それが「本物のうどんに近づけたい。麺を太くしたい」という思い違いにとらわれ、本質を見失ってしまった。

麺は太くなったが、ところどころ固く、歯ごたえがボソボソ

より本物のうどんに形が近づいた分、逆に本物と比較されることになってしまい

結局は「本物より数段落ちる」という評価を受けることになった。



人は「意外に評価されている自分」になかなか気づかないものである。

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今後、全ての「どん兵衛うどん」シリーズの麺が「ぶっとうどん」に替えられるという。


はあ・・・・今のうち、すでに出回っている平打ち麺の「どん兵衛」を買い占めようか・・・