俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

彼氏研修その1「産婦人科へ行って避妊薬をもらおう」の巻

(あらすじ:36歳にして初めて彼女ができた起夫は、女性との付き合い方をまるで知らない彼氏童貞。よって経験豊富な?韓国人彼女ジュンを教官と仰ぎ、立派な彼氏になるためのイロハを教わっている。)


ジュン「今日の彼氏研修は”産婦人科に行って避妊薬をもらってくる”です」

起夫「え?産婦人科ですか?」

ジュン「そうです。」

起夫「ぼく、行ったことないんですけど」

ジュン「そうでしょうね」

起夫「な、なんで産婦人科に行くんですか。いつもちゃんとゴムはしてますけど」

ジュン「来週、温泉に行くでしょう?その日にちょうどアレが始まりそうなんです。アレが始まると温泉に入れなくなるんです。」

起夫「へ~。そうなんですか」

ジュン「だから避妊薬を飲んでアレを遅らせるんです」

起夫「そんなことできるんですか?」

ジュン「できるんです。女の子はよくやりますよ」

起夫「でも体に悪いんじゃ・・・」

ジュン「あまり頻繁にやると良くないでしょうね」

起夫「・・・じゃあ無理に飲まなくても・・・。温泉に入れなくても、二人で一緒にいられればいいじゃないですか。」

ジュン「でも生理が始まるとHもできなくなりますよ!」

起夫「え!!そりゃ大変だ。急いで行かなきゃ!」

ジュン「・・・・おんどれはそれが目的かい・・・。」


とある産婦人科病院の前

起夫「あ~緊張してきた・・・」

ジュン「・・・なんで?」

起夫「だって二人で産婦人科に入ったら完全に夫婦に見られるじゃないですか・・・」

ジュン「・・・・イヤなの?」

起夫「いや、そういうわけじゃないんですけど・・・なんか、避妊薬をもらいに行くって、『コンドームは使いたくないけど子供もほしくないワガママな夫』みたいに見られないかな?」

ジュン「・・・考えすぎです。行きますよ」

起夫「あ、待って教官!」


ドアを開けて入る二人

起夫「・・・なんか、一瞬、みんなに見られましたけど」

ジュン「ま、ちらっと見る人もいるでしょう」

起夫「・・・なんか、ニヤリとされましたよ。『一緒に産婦人科に来てくれるなんて優しいご主人ね』みたいに思われたのかも・・・」

ジュン「別にいいじゃない、それなら」

起夫「(待合室の妊婦達に)おい!なに見とんじゃ!コラ!別にハラませたわけじゃねーぞ!温泉でHするために薬もらいに来ただけじゃボケ!」

ジュン「余計なこと言わなくていいから!大人しくそこ座ってなさい!」

起夫「は~い!」


(名前を呼ばれ、診察室に入っていくジュン)

医者「え~と、避妊薬がほしいということですが?」

ジュン「はい。あの、来週温泉に行くので、少し遅らせたいんです」

(待合室の起夫)

起夫「・・・・・・・会話、丸聞こえなんですけど・・・。どんだけプライバシーがないんじゃこの病院は?」

(診察室)

医者「えっと、前回の生理はいつからいつまで?」

ジュン「えっと、2月○日から△日までです。」

起夫「(ふ~ん。そんなのちゃんと覚えているもんなんだ・・・)」

医者「いつも規則正しいほう?」

起夫「(いや、不規則ですよ~。夜更かしはするし、お菓子とアイスばっかり食べてご飯を食べないこともありますよ)」

ジュン「はい。ずれても前後1日ぐらいで、毎月だいたい同じ日に始まります」

起夫「(???何の話?)」

医者「ちょっと来るのが遅かったかな。今から薬を飲み続けても完全には止まらないかもしれませんよ。出血量はかなり減りますが。温泉に入るのは様子を見てからかな。」

起夫「(???何の話?来るのが遅い?血が止まらない?)」

ジュン「わかりました。それで結構です」

(数分後、診察が終わり出てくるジュン)

ジュン「なんとか温泉入れそう」

起夫「え?でもお医者さんは”手遅れ”だって言ってなかった?」

ジュン「そうは言ってないでしょ?」

起夫「だって、血が止まらないって。ねえ教官?死んじゃうの?教官はもうすぐ死んじゃうの?ねえ、余命は何分?」

ジュン「・・・・・。次の彼氏研修は『女性の生理について』です。徹底的に覚えてもらいます」

起夫「お、押忍。・・・頑張ります」

ジュン「じゃ、お会計よろしく」

起夫「はあ・・・・え?一粒500円?!高っ!」

(つづく)