俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

訪韓日記「韓国ミュージカル」

今回の訪韓で僕が楽しみにしていたこと。

それはミュージカルを見ることである。

韓国で有名なミュージカルを3本

彼女に予約してもらって観たのだが、どれも実にすばらしかった。


まず最初に観たのが「NANTA]

このミュージカルは1997年からロングラン公演を続けており、今や世界37ヶ国、231都市で公演を行なったという韓国を代表するミュージカルである。

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アメリカのミュージカル「STOMP」のように、あらゆるものを打楽器に変えるパフォーマンスなのだが、

それだけにあらず、歌あり、大道芸あり、笑いあり、観客を呼び込んでのゲームありの実に内容の濃いミュージカルだった。

基本、セリフがないので、韓国語がわからなくても楽しめる。

事実、会場は子供たちの屈託のない笑いで包まれている。

お笑いができて、人をうならせるような芸があるってのは本当にすばらしい。

だからこそ、子供でも楽しめ、大人もうならせる。

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登場人物は主に4人。

そのたった4人で、1時間半の間、ほぼ動きっぱなし。

4人が4人とも、太鼓を打つ技術、歌を歌う技術、そしてお皿をフリスビーのように投げて取る技術などを持っている。

ものすごい体力。ものすごい多芸。そして演技力。

笑顔が最高に素敵。


1時間半をたった4人でパフォーマンスするので、自然と4人に感情移入してしまう。

この4人のキャラクターは、公演の度に変わる(つまり、4人のチームがいくつかある)。

また別の日にいったら、別のチームのパフォーマンスが観られるだろう。

ああ、もう一回みたい

そう思わせるミュージカルだった。

「NANTA」

お勧めです!


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その次に観たのが、これまたロングラン公演を続けている「JUMP」

道家の家にやってきた泥棒との格闘を描いたドタバタ・アクション・コメディであり、これもヨーロッパやアジア各国で公演され、アメリカには専用劇場もあるという。

そしてチャールズ皇太子やブラッドピットも観たそうな。

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僕も少林寺拳法を習っていたから、こういう格闘系のものは大好き。

正直、武術的な動きは中国のものにはかなわないが、アクロバット的な動きはすばらしい。

バック転、バック宙、ひねりを加えた回転など、体操選手のような動きで舞台を飛び回る。

日本だと「マッスルミュージカル」に近いかな?

格闘一家のおじいさん、お父さん、お母さん、おじさん、娘、娘婿、そして泥棒二人

「NATA」同様、個性的なキャラクターに魅了される。

子供たちは大騒ぎ。

その子供たちの歓声や笑い声がまたいいBGMとなり、僕もまた楽しくなってしまった。

すごいな。

男として、単純に体が強い、身体能力が高いことには尊敬の念を抱いてしまう。

俺も体を絞らなければ。

ああいうふうにかっこよくなりたい。

男として生まれたからには。


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最後に観たのは「Drwowing Show」

宇宙からやってきたちょっと人見知りな4人が絵を通じて地球人とコミュニケーションを取ろうという設定だが、見物はその場で描かれる絵のパフォーマンス。

ダンスやコメディなどを織り交ぜながら、その場で次々と絵を描いていうのだが、そのスピードと確かな画力、その絵が描かれていく過程の見せ方に、感嘆しっぱなし。

なかなか説明が難しいのだが、とにかく初めて観るパフォーマンスだったな。

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最初は「興味ないけど付き合いで」と言っていた彼女も、始まったとたん大笑いと感心を繰り返していた。

どの絵もただうまいだけではなく、その見せ方が絶妙。

ある時は、水面に絵の具を垂らして絵を描くのだが、それを小型カメラで部分的に映していく。少しずつ形になっていくたびに観客は感嘆の声を上げるのだが、そこからさらに2段階、3段階と予想を覆していく。

まずカメラが引いて、全体像が浮かび上がったところで鮮やかなマーブル模様が浮かんでびっくり。

その上に大小、大きさの違う紙をおいて、紙に模様を映していくパフォーマンスに「なるほど!」

模様を写し取った紙をさらに重ねて一枚の「花瓶と花」の作品ができあがってさらにびっくり。

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別のパフォーマンスでは網棚に絵を描いていく。そこに小さなライトを当て、後ろの壁に映していく。

ライトを当てた場所しか絵は浮かび上がらないので、またしても観客は全体像を観ることができない。

暗い劇場の中で、小さなライトに映し出されたところだけを観客は観ていくのだが、実に神秘的な雰囲気が会場を包み込む。

まるで真っ暗なピラミッドの中を、頼りない小さなライトをたよりに入っていくような、そして壁に描かれた壁画をちょっとずつ観ていくような、

なんとも息がつまるような緊張感。

そしてできあがった絵は将軍と南大門の絵。

その見事なできに感心していると、またしても描き手は観客の予想を超えていく。

南大門の屋根がぐちゃぐちゃにしてしまったかと思ったら赤い塗料を吹き付け、まるで南大門が燃え上がっているように。

さらに将軍の目のあたりに青い塗料を垂らすと、まるで将軍が泣いているように。

○年に放火で燃やされてしまった南大門を将軍が悲しんでいるようなストーリーが鮮やかに描き出された。

こんな感じで、観客はパフォーマーにおもしろいように操られ、気づくと手が腫れるほど拍手をしていた。

いや~。おもしろかった。


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今回観た、3つの舞台は、

ノンバーバルで行われること、アジアのテイストを含んでいること、観客を感心させる技術を持つ、という共通点がある。

だからこそ、国籍を問わず楽しめ、世界に通じるステージになっているのではないか。


ちなみに、僕の彼女は一緒に観た「Drawing Show」以外は観たことがないらしい。

ミュージカルのチケットはやはり割高らしく、彼女曰く「別に興味ないし、ミュージカル観るくらいなら映画をたくさん観た方がまし」とのこと。

ミュージカルのチケットは3000円前後だから、日本の物価からしたら妥当かやや安いくらいなんだけどね。

劇団四季の「ライオンキング」は上は8000円ぐらいするしね。

とにかく、今回の韓国ミュージカル、大満足でした!