社長「会長!大変です!ついに私たちの店でも食中毒が発生しました!」
会長「なに!それは大変だ・・・。で?状況は?」
社長「私どもの新商品”ビンテージ・ユッケ”を食べたお客さんが集団で食中毒を起こしまして、幼児がすでに二人亡くなっているそうです・・・。」
会長「なんだ?その”ビンテージ・ユッケ”というのは?」
社長「なんか、その~・・・”食い物は腐りかけが美味い”というコンセプトの元、少しピリピリくるくらいの生肉をユッケにしたものです。」
会長「・・・・・だれが考えたん?」
社長「さあ~・・・・・・なんか店長会議で採用になったらしくて・・・・」
会長「君も承知していたんだろう?」
社長「え~・・・まあ、私もいつの間にか印鑑を押していたようで・・・」
会長「とにかく問題が大きくなる前に会見を開こう」
社長「会長も出ていただけるんで?」
会長「バカな!君の仕事だよ」
社長「(涙)・・・ですよね・・・」
会長「ま、謝罪会見を上手く乗り切って、ちゃんと被害者に謝罪して示談をとりまとめればなんとかなる」
社長「は、はい。」
会長「が、謝罪の仕方が悪いと取り返しがつかなくなるぞ」
社長「と?申しますと?」
会長「最近は世間の目も厳しくなってるからな。東電のやつらみたいな謝罪の仕方では逆に反感を買う。いいか?とにかく誠心誠意、謝罪をするんだ。」
社長「わかりました」
社長「いや、あの・・・す、すみません」
記者E「それで謝ってるつもりですか!」
社長「(むきっ!)」
記者F「肉の卸売り業者は”生肉用の肉は卸していない”と言っていますが?」
社長「それは!厚生省の規定では、生食用の牛肉はここ3年流通していないことになっています。だから全ての焼き肉屋ではユッケは出せないはずですよ?」
記者G「お?逆ギレですか?」
社長「そ、そんなんじゃありません!厚生省がもっとちゃんと、基準を厳しくしないと、いけないということです。」
ザワザワザワザワ・・・
(後日)
会長「見たよ。記者会見」
社長「そうですか?どうでしたか?なかなか男らしかったでしょう?」
会長「・・・・」
社長「バカなことをいう記者がいたんでね、ビシっと言ってやりましたよ。」
会長「バカか・・・」
社長「っへ?」
会長「最悪だよ!一番やっちゃいけないやつだよ!」
社長「と、言いますと?」
会長「謝罪会見なんだよ!とにかく低頭に、申し訳ない気持ちを全面に出せ!」
社長「そ、そうですか?」
会長「当たり前だ!逆ギレしてどうすんだよ!」
社長「だって・・・あのバカ卸業者が裏切ったんですもん・・・」
会長「だってもクソもないわ!店のイメージ台無しだよ!」
社長「す、すみません・・・」
会長「とにかく・・・次はもっと申し訳なさそうにしろ!なんだったら泣け!」
社長「え・・・あの~僕、『タイタニック』観てもなかなかったんですけど?」
会長「知るか!演技でもいいから泣け!んで土下座しろ!」
社長「え~~~土下座はイヤだな~・・・」
会長「ごちゃごちゃ言うな!やれ!バカたれ!」
社長「は、はひ!」
社長「ぅわたしたちのせいで・・・・・大変申し訳ありませんでした・・・・・」
陰で観ている会長「(よしよし、その調子・・・・)」
社長「こ、このとおりです・・・許しくだせぇ・・・」
記者「ん?なんか時代劇みたいだな・・・・」
社長「二度とこのようなことはもう・・・・」
記者「・・・・・」
社長「・・・・・ありがとうございました・・・・」
記者「いやいや、演歌歌手の歌い終わりやないんだから」
社長「本当にもう!このようなことは!(土下座をする)」
会長「(おいおい・・・やりすぎるなよ)」
社長「うわ~ん!もうしませんからぁ~(泣)」
記者「・・・・・・」
社長「絶対に!大丈夫ですからぁ~~!うぇ~~ん!許してぇ~~~~」
記者「・・・・・・」
会長「お前のなにが悪いかわかるか?」
社長「え~と・・・・育ち?」
会長「っざけんな!バカ息子!」
社長「そ、そんなバカ親~」
会長「誰がバカ親だ。まったく、お前に任せたのが間違いだったよ!」
社長「ちょ、ちょっと待ってよパパ!」
会長「パパって言うな!会長だ!」
社長「会長!僕にもう一度チャンスを!」
会長「・・・・・・どうすんだよ?」
社長「そうですね・・・怒ってダメ、泣いてダメだったんで・・・・笑ってみますか?」
会長「お前、辞任しろ。弟の雄二に社長任せるから」
社長「あ!待って!え~と、え~と・・・・・・・・・・あ!そうだ!あれだ!」
会長「ん?」
社長「会長、雄二と一緒に協力してください」
会長「・・・・・・・・・・・」