俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

夫の言い分、妻の言い分

【夫の言い分】


我が嫁は猫舌ゆえに、

ほかほかごはんや熱々の味噌汁に価値をおかない。

コーヒーやお茶も湯気が十分に消えてから飲むし、

鍋物を食べるときも、一度ご飯の上に載せて十分に汁気を切ってから食べる。


一方僕は、「飯は熱いうちが旨い」をポリシーとする男だ。

なんだったら、「熱けりゃ何だって旨い」とさえ思う。

油ぎれの悪い天ぷらも、肉の臭みを取り忘れた餃子も

揚げたて焼きたてはそれなりに旨かったりする。


だから僕は出来立てが好きだ。

炊き立てのご飯、焼きたてのパン、蒸し立てのシューマイ、揚げたての唐揚げ、ゆで立ての枝豆、作りたての味噌汁・・・

口の皮がめくれるほど熱いものをハフハフ言いながらほおばるのが好きなのだ。


しかし嫁はそれに重きを置かない。

だから味噌汁をよそい、ご飯をよそったあとに、のんきにサラダなんかを作り始めたりする。

「ご飯と味噌汁とサラダか・・・なんか寂しい食事だな」と思っていると、おもむろに

「あと15分で魚が焼けるから!」なんて言ったりする。

= ならご飯をよそうなよ!味噌汁も鍋に入れとけよ! =

と思うのだが、作っていただいている手前、そんなことを言うこともできず、おとなしく食べている。

これで、いいのだ・・・



【妻の言い分】

夫は考えすぎる傾向があるゆえ、あらゆる行動が遅い。

料理を作る際にもまず手順をゆっくり考えるので、台所で直立不動になる時間が多いし、食べ終わった皿を重ねる際にも、大きい皿から順に全てをうまく重ねようとするから危っかしいったらありゃしない。

週末、夫に掃除と布団干しを頼むとまず頭の中で一番いい順番を考える。

夫は考えに考えた末にまず朝食を食べ、少し休み、朝のトイレを済まし、歯を磨き、そしてやっと布団を干そうとする。

そのころにはたいてい11時頃にはなっているので私は声を荒げる。

一方、私は考えるよりまず行動するたちである。

気づいたら即行動。

部屋に埃がたまったらすぐ掃除、マンガを読みたくなったらすぐマンガ、おなかがすいたらスニッカーズ、ほしいものならすぐゲット。

だから私はぐずぐずしている人が嫌いだ。

食べ終わったら皿がたくさんあるなら、2~3回に分けて運べばいいのに、「どうすれば1回で運べるか」とあれこれ考えるのは時間の無駄だし

カレーのルーとご飯を、どれくらいの配分でまぜていけば最後までバランスよく食べられるかを考えながら食べるなんて、愚の骨頂だ。

カレールーが足りなくなったら足せばいい。たくさん作ってあるのだから。

そのほかにも「11時頃出かけよう」と言っておきながら、いざ出かけようとすると「あと3分あるだろ!」とムキになったり、

ユニクロでたかが靴下を買うのにさんざん迷ったあげく「今日はまだいいや」とお金をケチったり

エッチで自分がイキそうになっても「まだ5分しか経ってないから」と途中で動きを止めたり・・・

そんな夫を見ていると心の中でつい

= 「動けよ!考えてばかりいないで、まずやれよ!」 =

と思うのだが、しびれを切らして私が先に全部やってしまうと夫のためにならないので、しばらく放っておくことにする。

これでいいのだ・・・。