俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

アダルトビデオの効率性

 
 僕はドラマや小説、映画といったものをほとんど目にしない。非現実的な世界に感心がないというのもあるが、一番の理由は時間がもったいないと思うからだ。

 テレビの連続ドラマは1時間弱。それが大体12週間だ。ドラマを見ている1時間は何もできない。
仕事も中断。風呂にも入れないし、料理もできない。せいぜい飯を食うことが出来るくらい。
それが12週間も続く。連続したストーリーなので途中を見過ごしたり、途中から見たりしては楽しさが半減してしまう。そしてそんな長いドラマを見たあと何が残るかと言えば、何も残らない。
 学生ならば友達との話題という目的にもなろうが、社会人ではドラマを見なかったからって仲間はずれにはならない。フィクションなんだからドラマによって現実社会を見直すことにはならないし、ドラマのような恋愛を夢見て元気がでるほど僕は子どもではない。結局ドラマを見ている時間は無駄な時間ということになり、その間は、仕事をしたり、家事をしていたほうが時間が有効に使えるというわけだ。
 
 一方わたしは歌番組やバラエティーはよく見る。それらは見ていてテンションが高くなって元気がでる。時間の有効性でいえば歌番組は一曲ずつ、バラエティーはワン・コーナーずつ区切って見ても十分楽しめる。ちょっと息抜きしたいときにパッと見られる。実に便利である。

 話は変わって、僕は大のアダルトビデオファンである。一週間借りて、一週間後に返すときにまた借りる。それを繰り返している。

 僕が通っているビデオ屋は一週間レンタルが330円である。いつも2本ずつ借りていたので出費は毎週660円。まあ、タバコを吸うよりは安上がりだ。

 そのビデオ屋は毎月第2週と第4週の火曜日に「一本200円サービス」というのをやっている。一週間レンタル一本200円は相当安い。いつものようにAVを2本借りても400円だから、260円も浮くことになる。(*2000年代までの話)

 僕はいつも浮いた分で映画でも借りて見ようと思うのだが、気付くとAVを3本借りて店を出ている。それは映画のビデオを手に取る直前に僕のスーパーコンピューターが回転し、この映画を見ることによる時間とお金のロス、それと引き換えに僕が得るものとの差を計算。結局映画を借りるよりAVを借りたほうが”得”という答えが出るのだ。

 もう少し具体的に述べよう。例えば僕が映画「タイタニック」を借りたとする。タイタニックを見るのに大体2時間はかかる。ビデオなので一気に見なくてもいいのだが、やはり最初から最後まで通して見た方が面白いだろう。世界的にヒットした映画だから、きっと面白いだろうし、知っていて損にもならない。ひょっとしたら泣けるかもしれない。

 しかし、それだけである。僕に明日を生き抜く勇気や活力を与えてはくれない。娯楽に求める僕の価値基準はこれに尽きると思う。嫌なことを忘れ、心の底からすっきりできる。それができないものは娯楽じゃない。タイタニックは1回見れば十分。2回目はなけない。

 

でもAVは何度でもぬける。

 そう、そこなのだ。僕がアダルトビデオを借りたとしよう。僕は毎晩それを見るだろう。一日目は最初から最後まで通して見る。二日目以降は面白いところだけを選んで見るので時間の無駄がない。ビデオの鑑賞後は心も体もすっきり。明日もまた頑張ろうと思う。これさえあれば、一生女が出来なくたって生きていけると思うときさえある。当たりのビデオなら一本のビデオで毎日何度でも楽しむことができる。

 1週間200円で3回も見られない(楽しめない)映画と、同じ値段で何度も楽しめて心と体をリフレッシュする効能を持つアダルトビデオ。どちらを借りれば得か、もうお分かりだろう。

さあ、今夜もいってみようか?