俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

眉村ちあきと即興ソング

眉村ちあき、というシンガーソングライター兼アイドル兼社長の子がいる。
僕が彼女のことを初めて知ったのは2018年6月と9月放送の『ゴットタン』(テレビ東京系)だ。
6月の放送で「どんなテーマでも即興で名曲が作れる」ということで、”ゲロ”をテーマに曲を作っていたのだが、その時はこれといってすごいとは思わなかった。
これまで同じような特技を披露していたアーティストを何人か知っていたので、その時は「アイドル上がりにしては自分で曲が作れるなんて、ちゃんとしてるな」と思ったくらいだ。
それが9月の放送を観た後、僕の評価は急変した。
眉村ちあきがスナックのママという設定で悩みを打ち明けにきた芸人さんたちを即興ソングで励ますという放送だった。
”チャラ男”キャラで売り出したかったのに”根が真面目”というのが番組でバラされ、キャラがブレてしまったコンビ・EXIT。
自分では笑いを取りたいのに、いつのまにかイジられキャラになったのが我慢ならないというフルーツポンチ・村上
女優を目指して芸能界入りしたものの、演技も歌も踊りも何一つ満足にできず、『ゴッド・タン』でいじられ続けているタレント・本郷杏
彼らに向けて眉村ちあきが作った曲が「大丈夫」。
Youtube上で動画が削除されてしまっていた)
この曲を聞いた途端、僕も「なんちゅー才能なんだ・・・」と言葉を失い、しばらくこの曲が頭の中でリフレイン。
Youtubeに上がってからはくり返し、くり返し再生しながら「う~ん・・・すごいな・・・」と感心しきっているのである。
この曲は本人でも会心の作だったようで、自身のコンサートでも何度か歌っているようである。
番組放送時は即興で一番だけを作って披露していたが、その後コンサートで2番を作ったらしい。
ただ、あの時の放送のノリで作った1番に比べて、2番はやや感動が薄れている気がする。
実はこれが即興のおもしろいところである。

 

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昔、日本テレビ系列で『誰も知らない泣ける歌』という番組が放送されていて、そこにアルケミストというアーティストが出演していた。
アルケミストは観客から出された3つのワードを取り入れた曲を即興で作るという特技があり、それを披露したのだが、そのクオリティの高さに本当にびっくりした。
Youtubeを探してもその時の曲は見つからないので、みなさんにご覧いただけないのが残念だが、その時に出されたお題は「卒業(式)」「たまねぎ」「涙の美輪明宏」の3つ。そしてアルケミストが即興で作った曲が以下の通り
 卒業しても 卒業できない 
 ああ 僕は 大きな未来と
 大きな君への気持ちの 間で揺れる 小さな僕だ
 ああ、これは玉ねぎ切って 流れる涙なんかじゃない
 ああ、これは ああこれは
 君を思って泣いた涙だよ
 君の眼から 黒い涙が出てる 笑える
 ああ 美輪明宏
 涙の美輪明宏みたいって
 ごまかして 僕も泣いた
すごいな。
即興で3つの言葉を入れつつ、ストーリーを作る。
それだけでも難しいのに、ちゃんと伴奏に合わせて歌いながら、質の高い曲に仕上げる。
本当にすごいアーティストだと思う。
その後、何度か別の番組で即興曲を披露するのを見たのだが、どれもクオリティが高くて驚いたのを覚えている。
しかし、おもしろいことにCD化された彼らの曲は思うほどヒットしていないのである。
正直、即興で作った曲は「こっちの表現のほうが良かったかも」「ちょっと”ああ~”とか”おお~”でごまかしたかな」なんて粗が見つかる部分もある。にも関わらず、勢いのままに即興で作った時のほうがインパクトのある作品になる場合がある。

 

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玉置浩二さんがKinki Kidsに作った「むくのはね」という曲もそうだったな。
新堂本兄弟』(フジテレビ系)で番組中にギター一本で作った曲は、まだ歌詞もなく、粗削りではあるが、めちゃくちゃカッコよかった。
しかし その後完成した曲「むくのはね」は、最初に原曲を聞いたときほどのインパクトがなかったのは摩訶不思議。

KinKi Kidsへ 玉置浩二 むくのはね(原点〜完成)2012 10 - YouTube

 

そういえば僕の好きなイラストレーターの永沢まことさんも、旅先でスケッチをするときは下書きなどせず、いきなりペンで輪郭をはっきり書く、失敗できないので一本一本を真剣に書く、勢いに任せて書いた方が線が生き生きする、というようなことを言っていたな。
もちろん、推敲を重ねた作品が全部悪いわけではないし、流れに任せてさらさらと書いた作品はえてして質が悪い。
ただ即興の爆発力もあなどれないのだ。

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僕は心配性なところがあるので、ブログを1つ書くのに何度も何度も推敲して1時間半くらいはかけるタイプなのだが、確かにそれで劇的に質が良くなった、ということもない。せいぜい誤字脱字が見つかるくらいだ。
推敲なし、見直しなしで、勢いだけで書いてもいいなら半分の時間で書けるから、ブログも楽に毎日更新できるのにな。
ま、見苦しい駄文がさらにひどくなるだけだろうけど。