36歳にもなって、小便のネタを2つ書こうと思っております。
それは今朝のこと
小雨のぱらつく肌寒い朝だった。
僕は自分の小便の臭いにむせていた。
「うおっ!小がくせー!!」
おしっこの臭いがきついと、僕はいつも「小学生は小がくせー(臭い)」という親父ギャグをかましてしまう。
いつもは小用の最中、観音菩薩のようや優しいまなざしでわが息子の行く末を見守る僕なのだが、
この日はあまりの湯気の豊富さに、思わず映画『マトリックス』でネオが銃弾をよけるように
しかし、上体は反らしても、息子のレーザービームは下を向いていなければならない。
一人暮らしのおっさんの朝は、なんとも滑稽なのである。
さて、今日も今日とて、僕はスーツに身を包み、仕事へ向かう。
職場について、手洗いうがい
ついでに小用をしようと息子を引っ張り出したところで「あ、手を洗う前におしっこをすれば良かった・・・」と気づく。
が後悔先に立たず
二度手間になるが、また手を洗えばいい。
そう思って臨戦態勢に入ろうとすると、後ろから音もなく人が入ってきて、大便器のある個室に入っていった。
「あ、まずい・・・」
僕はとっさにそう思った。
僕は他の人の音を聞くのが苦手なのである。
自分の音を聞かれるのも嫌だが、他の人の「ブリブリッ!」という音を聞くのも苦手なのである。
できればその場からすぐにでも逃げ出したい。
しかし僕はすでに息子を引っ張り出して臨戦態勢に入っているのである。
もう逃げ場がないのである。
できることなら耳を塞ぎたい。
がしかし、左手はしっかりパンツのゴムを引っ張り下げ、右手もしっかり息子をホールドしている。
ならばもう水を流して音を消すしかないのであるが、
不運なことに、今僕が立っている小便器は、自動で水が流れるやつなのである。
女性はもしかしたら知らないかもしれないが、最近の男性用の小便器は、センサーがついていて、
人が前に立つと小さな赤ランプがつき、その後、人がいなくなると水が流れる仕組みになっている。
つまり、最近の男性用小便器は水を流すボタンすらついていないのである。
僕の後方、トイレの個室のほうではベルトを外す「カチャカチャ」という音が聞こえる。
おそらくあと20秒後には放屁、または大便がボトボトと落ちる音が聞こえてくるはずである。
その前までに小便が終われば僕は彼の音を聞かずに逃げることができるのであるが、
今朝は気温が低かったので息子が縮こまってしまい、なかなか言うことを聞いてくれない。
となると、なんとか水を流すしかない。
僕はとりえず、上体を反らしてみた。
いわゆる『マトリックス尿法』または『イナバウワー尿法』である。
しかし、センサーはまったく反応しない。
しかたなく、2~3歩下がってみた。
これでもセンサーは反応しない。
しかも、2~3歩下がってしまうと、小便自体が便器からはみ出るばかりか、横からちんこ丸見えなのである。
今度は体を横に曲げてみた。
センサーは小便器の上にあるので、上体だけでも左右にずらせば流れるのではないか。
僕はボクシングの内藤大輔のディフェンスのように、左右に小刻みにスウェーしてみたが
これでもセンサーはうんともすんとも言ってくれない。
個室のウンコ君は意外に苦戦しているようだ。
こちらもいまだに「う~ん」とも「スー」とも言わない。
今の状態のトイレを上から眺めたらなかなかシュールな絵になると思う。
個室でふんばる男と、小便器の前でスウェーする男。
30代の独身男性はかくも楽しい。
そこで僕は最終手段をとることにした。
ほんの一瞬だけ小便を我慢し、隣りの小便器に移る!
これなら確実に水は流れる。
がしかし、小便を止めることができなかったらエライことになる。
僕は大人なのに、トイレの壁に真一文字に小便を放つことになってしまう。
大人失格である。
「いくぞ・・・」
僕が意を決したその瞬間!
なんと個室のほうから「ジャッワ~~~~!!!」と水を流す音がしたのである。
「え?あ!いまだ!」
僕は個室の流水音にあわせて小便を一気に放出した。
「なんだ?あのウンコマン、結局出なかったのか?」
それはそれで不幸な話である。
が、もしかしたら個室の御仁もこのトイレの静寂に耐えられなかったのかもしれない。
個室の外で、なにやら不審な動きをしている気配を察して、不安になって水を流したのかもしれない。
結局、彼が個室から出てくる前に、僕は小用を終え、手を洗うことになった。
手を洗いながら、僕は思った。
「・・・・・第三者が入ってこなくて良かった・・・・」
こんな小便の話を長々と、楽しそうに語る36歳
そりゃ彼女もできんわ・・・・・・・