韓国にはGWがない。
よって5月3日(月)は、ジュンちゃんは朝から会社に行かなければならない。
そこで僕はジュンちゃんが仕事をしている9時から12時、13時から18時の間、一人で時間をつぶすことになった。
ま、正直ソウル観光にはあまり興味がないので、最悪ずっと喫茶店でブログのネタでも書きながら時間をつぶせばいい。
まずはソウルの中心にあるジュンちゃんの会社まで地下鉄で一緒に行き、そこから観光がスタート。
実は一人で観光をさせることを申し訳なく思ったジュンちゃんは2~3週間かけて、ソウルの見所をピックアップし、地図に書き込んでくれていた。
さすがに一つぐらいは観光せねばと、とりあえず文化と芸術の保護区、仁寺洞(インサドン)へ向かった。
ソウルの街を一人でテクテク歩く。ソウルの中心は高層ビルが建ち並び、東京となんら変わりない。
おなじみのマックやケンタッキーなどのファーストフードの店もあれば、コンビニもある。スタバのハングルには笑ったけど
日本で言えばカタカナで書いてあるようなものか・・・
僕は以前はよくベトナム、マレーシア、タイなど、東南アジアの国を一人で旅していたが、最近は新しい国へは行かず、おなじみの国の、おなじみの宿を拠点に、カフェで本を読んだり、昼からビールをあおって昼寝したりと、観光らしい観光をしないでいた。が、久しぶりに知らない国の知らない街を歩いてみると、なかなかおもしろい。
ソウルは日本人が世界一”異国を感じない国”であるが、それでもちょっとした違いがうれしい。
まずソウルは自転車に乗っている人がほとんどいない。
これはまずソウル市内に小さな山が凸凹と出ていて坂が多いことと、自動車保有率が高いからかもしれない。
また、一軒家が少なく、みなマンション(韓国では”アパート”と呼ぶらしい)住まい。
だから東京以上にビルが立ち並んでいる感じがする。
それから食べ歩きをしている人がいない。
アジアの国でものを食べながら歩いている若者がいたら、それは日本人・・・かもしれない。
その代わり、コンビニの中でカップラーメンの立ち食いをしている若者発見。わざわざ外を向いて食べていた。
少し歩くと目的地の仁寺洞(インサドン)に到着。
仁寺洞(インサドン)はメインストリートである石畳の両脇やそこから伸びる小道に、お土産屋、ギャラリー、伝統茶の喫茶店などが並ぶ、なかなかおしゃれな地区である。
が、GWとあって、日本人がえらく多い。
あちこちから日本人グループの話し声が聞こえてくる。
また、店の呼び込みもまた日本語ばかり。
GWの韓国の観光地は完全に日本人仕様になっている。
ここは本当に外国なのか?
まずはここを一通り歩いてみる。
「う~む・・・これは・・・・ね・・・・女の子とかは・・・好きかもしれないね。」
現に、かわいい小物や、おしゃれな工芸品、レトロな感じの韓定食の店、シックな感じのギャラリーと、乙女心をくすぐるアイテムがあふれている。
が、おっさんの僕の心はくすぐられず、そうしたところはすべて素通り。
僕が最初に立ち止まったのは、この人の看板の前であった。
現在、韓国で最も有名な日本人、IKKO(マジ)。B.Bクリームなるものを広めたそうな。
仁寺洞のエリアをくまなく歩いた後、僕は一軒の伝統喫茶に入った。
客は僕一人。
とりあえずメニューを見るが、なにが旨いのかわからない。
なんか、伝統茶といってもお茶の葉を使っているわけではなく、木の実(果実)の蜂蜜付けって感じらしい。
よくわからないまま、メニューの一番上に書いてあったナツメのお茶を注文。
すると店の店主が「あ~~、それ、日本人の口に合わない・・・」というようなことを言った。ならなんで日本語メニューに載ってんだ?
う~む、参った。それならばとカリンのお茶を注文。
これが大当たりだった。
甘酸っぱくてなかなかうまい。日本人の口にも合う。
店員さんのアドバイスに従って正解だった・・・。
一服ついた後、ぼんやりと喫茶店の窓から外を見下ろしてみた。
喫茶店の前には「竜の髭」というお菓子を売っている店が2軒並んでいる。
「竜の髭」とは昔の王様が好んで食べたお菓子で、僕もお土産に買ったのだが、特別おいしくはない上に、東京にある大きなコリアンタウン新大久保でも売っている。
が、その作り方が感動ものなのである。
まず、蜂蜜を石鹸ぐらいの大きさに堅く凝固させたものに穴を開ける。そしてそれを伸ばして一つの輪を作る。
その一つの輪をねじって二つの輪にし、それをまた伸ばす。今度はその二つの輪をねじって4つの輪にし、それをまた伸ばしてねじる。
これを繰り返すと4本、8本、16本、32本、64本、128本、256本、512本、1024本、2048本、4096本、8192本、そして16384本となり、最後には絹の糸のように極細のさらさらな状態になる。
それを適当な大きさに切って中に砕いたアーモンドなどを入れたものである。
この作り方を目の前で見せられた日にはなんとも買わずにいられない。
あまりの見事な手さばきに、歩いている人たちが皆、足を止めるのである。
また、仁寺洞にはこの「竜の髭」を作って売っている店が5軒ほどあるが、そのどの店もパフォーマンスを工夫している。
ある店は「竜の髭」を伸ばしながら「まずは一本、続けて二本、さらに4本、お次は8本♪」と歌いながら実演。一人が実演をしていると横にいるもう一人が販売をしながら合いの手を入れてくる。
別の店は実演しながら「はい、ここでシャッターチャンス、ブレないようにちゃんと撮ってくださいよ~」とふって客を引きつける。
日本人客が集まればすべて日本語で、欧米の客なら英語での説明と、自由自在。
とにかく「竜の髭」の実演販売は一見の価値ありなのだ。
が、二軒並んだ「龍の髭」の店は、哀しいくらい差がついていた。
その理由は、向かって右の店が丸顔でめがねのおじさんのコミカルな実演
左の店が若いイケメンの実演だったからだ。
後で見てみたが、しゃべりでは右の店のおじさんも負けてはない。
が、日本人観光客(特に多い女性達)が求めているものは、こちらなんだろうな、と思わずにはいられなかった。
さて、お昼をジュンちゃんと食べた後、僕はまた一人で観光に向かった。
この日は博物館やら、古いお寺やらがほとんど閉まっているらしいので、とりあえず南大門市場へと歩いてみた。
ここは東京で言う上野のアメ横みたいなものか?
とにかく人がいっぱい、お店もいっぱい。
これはおばちゃんたちはたまらないだろうな。
キムチとか韓国海苔とか大量に買いたくなるな。
が、買い物に全く興味がない僕は、相変わらず足を止めない。
人がいっぱい!おそらく半分は日本人だと思う。
こういう中に入っていくのは好き。
カラフルなお焼き
その後、地下鉄に乗って東大門にも行ってみたのであるが、やっぱり同じ。
ま、街を歩いたり、人を見たりするのは好きだし、食べ歩きは楽しいからいいんだけど・・・。
確か東大門
昔ながらのビニールシート屋台が残っている。
が、実は意外なところで僕は楽しんだのであった。
(つづく)