今回の訪韓に際し、僕がもっとも緊張していたこと。
それはジュンちゃんの一族と会うことである。
これが今回の訪韓のメインイベントと言ってもいい。
”我が一族の娘が結婚を前提に付き合っている日本人男性がいる。そしてその男が5月のはじめに韓国にやってくる”
ジュンちゃん一族はどんな男が来るのか、非常に楽しみにしているという。
しかも、ジュンちゃんのお母さんと弟は、数週間前から集合場所としてふさわしい焼き肉屋を探しているという。
う~む。これは楽しみなような、不安なような・・・。
僕の手元にあるマンガ『美味しんぼ 韓国編』によると、韓国は大変な儒教国で、一族の長老の前ではたばこも吸えないし、お酒を飲むときも目上の人に3度ほど勧められてから。しかも飲むときは口元を隠しながら横を向いて飲まなければならないという。
ジュンちゃんはお父さんがもういないので、直接ジュンちゃんのお父さんに「お、お嬢さんを僕にください!」なんてことはしなくて済む。(これは緊張するだろうなぁ・・・)
だが、一族のリーダーである叔父さんが僕の訪韓を非常に楽しみにしているという。
絶対に粗相があってはならない。
僕の粗相が今回の結婚はおろか、日本人の評判すら左右しかねない。
僕は緊張しつつ、焼き肉屋に向かった。
焼き肉屋のドアを開け、奥の座敷を見るとなんと一族10人が一斉に僕を凝視。
僕は一瞬にして固まった。
これはなかなかの・・・・修羅場だ。
*参考イメージ
長テーブルの真ん中、お義母さんの隣且つ叔父さんの前の席に座らされる僕。
まずは乾杯をするのだが、その前に一族のみなさんにお酒を注ぐのが僕の役目だという。
ジュンちゃんから「順番通りにね」と耳打ちされる。
つまり、一族の中にはれっきとした序列があり、その順番通りにお酒を注がなければならないのだ。
基本的には年長者、そして男性が優遇されるのだが・・・。
ちなみに今回の出席者は以下の通り。
A ジュンちゃんのおばあちゃん
B ジュンちゃんの叔父さん(長男)の妻
C ジュンちゃんのお母さん(次男の妻)
D ジュンちゃん
E ジュンちゃんの弟
F ジュンちゃんの妹
G 叔父さん(三男)
H 叔父さん(三男)の妻
I 叔父さん(四男)
J 叔父さん(四男)の妻
K 叔父さん(四男)の娘
そして僕である。
さあ、この中で僕はどの順番でお酒を注がなければならないでしょうか?
それでは
正解は
1 おばあちゃん(一族の長老なので別格)
2 叔父さん(三男)(長男、次男がいないので、この中では一番年長の男性)
3 長男の妻
4 お義母さん(次男の妻)
5 三男の妻
6 四男
7 四男の妻
2 叔父さん(三男)(長男、次男がいないので、この中では一番年長の男性)
3 長男の妻
4 お義母さん(次男の妻)
5 三男の妻
6 四男
7 四男の妻
でした。(子供世代は注がなくてもいいらしい)
では、この宴の支払いは誰になるでしょう?
韓国で「あゆみ」として活躍していた頃の現・ICONIQ。ジュンちゃんから「整形のくせに!」と小阪由佳ばりの非難を浴びせられている。
さて、正解です。
三男?
NO!
長男の妻?
NO!
祖母!
NO!
僕?
そんなバカな!
ジュンちゃん?
そりゃあんまりだ!
割り勘?
あるわけない!
というわけで正解は、”ジュンちゃんの弟”でした。
なぜなら、今回の宴は、ジュンちゃん家が婿殿を紹介するために一族を招待したので、ジュンちゃん家の男性一位である長男が支払うのでした。
う~む、奥が深い・・・。
しかし難しい話は別にして、焼き肉はものすごくうまかった!
あらかじめ漬けダレに漬けておいた厚さ2センチはあろうかという、ステーキ肉を網で焼く。
そしてそれをはさみでサイコロ状に切って、野菜で巻き、コチュジャンなどを付けて食べる!
いや、うまい!実にやわらかい!タレがいい味出してる!
サンチュで巻いて食べるのもいいが、千枚漬けのように漬けた薄い大根で巻くと実にうまい!
さらに、焼いた骨についた肉を歯でこそげとるのだが、この骨付きの肉(というか、肉付きの骨)がまたうまい!
骨にしゃぶりつくなんて犬みたいだけど、でも本当にじゅわ~と脂と肉汁が染み出て旨いんだ。
肉は多少焼きすぎてもタレに漬けてあるので、いつまでもやわらかくて旨い。
日本式の焼肉とは違うけど、美味でしたな。
そして焼き肉を食べた後は冷麺!
これがまたすこぶる旨い!
焼き肉にサービスについてくる冷麺。
僕は辛くない方の水冷麺を頼んだのだが、ちょっと酸っぱくて、日本で食べたことのある冷麺より噛み切りやすくて実に気持ちいい歯ごたえ。
これ、夏に毎日食べたいな。
さっぱりしてるし、それでいて歯ごたえもあって、満腹感もある。
暑い夏の盛り、昼飯に合い、おやつに合い、夜食に合う。
あ~旨い・・・。
さて、僕がアホみたいにバクバク食べている間、叔父さんは僕のことをじっくりと見ていたらしい。
そして
「あんたは何でもよく食べる。顔も優しそうだ。体も痩せていないし、太りすぎてもいない。よし、合格!」
と告げた。
「へ?合格ですか?」
「おう。好き嫌いせずに何でもよく食べる。そういう奴に悪い奴はいない!」
こうして僕は焼き肉をドカ喰いしている間に、見事お披露目の儀を果たしていたのであった。
う~む、お土産の「東京バナナ」が効いたかな?
(つづく)