俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

訪韓日記その3「明洞(ミョンドン)」

(あらすじ:僕は韓国人婚約者のジュンちゃんに会いに、はじめての訪韓を果たしたのであった。)

二日目。ぼくらはソウルの渋谷・原宿とも言える明洞(ミョンドン)に来ていた。

日曜日とあって、ものすごい人!人!人!

特に若い人が実に多い。

が、僕の苦手なギャルやギャル男がいない。

また、グループで歩く、邪魔な奴らも少ない気がする。

だから歩いていて気持ちがいいのだ。

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ここでまず僕らは、お昼御飯を食べることにした。

お昼はジュンちゃんがあらかじめ予約しておいてくれた韓定食のお店に行くことになっていた。

韓定食とは、野菜や魚、肉などの惣菜がずらりと並んだ定食のことで、本格的なものになるとかなり高額。

3000円~1万円はするらしい。

今回の訪韓では、ホテル代から交通費、飲食代まで、全てジュンちゃんもちなので、僕は負担をかけないように「別に韓定食でなくても、そのへんの屋台でいいよ」と言ったのであるが、ジュンちゃんの「韓国に来たなら食文化を知るためにも一度は食べておいたほうがいい。高いからそう何度も食べられないし」という説得で食べることになったのだ。

が、実はジュンちゃん、今回の韓定食代は社費で落とせるようにしたらしい。

ジュンちゃんは旅行会社勤務なので“日本人旅行客にお勧めできるお店の取材”という名目で、会社の費用で韓定食が食べられることになったのだ。ツイてる。

さて、ミョンドンの裏通りにあるとある韓定食屋に入る。

受付で「予約したものですけど」と告げると、名前を聞くこともなく、座敷に通された。なかなか内装もオシャレだし、期待大だ。

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しかし、この店は人気店である上に、昼時でかなり忙しいらしく、なかなか注文を取りに来ない。

やっとのことで通りがかりのおばちゃんに一番安い韓定食を注文(会社から『社費で落としてもいいが、一番安いのにしろ』と言われたらしい)。

すると勢いよく、いろいろな小皿が運ばれてきた。

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キムチ、小魚、ほうれん草などのナムルはもちろん、

マグロと大根の煮物、チャーシュー(これをちょっと酸っぱい白菜の漬物で巻いて食べる)、牛肉の叩き(ネギを巻いて食べる)、野菜と白身魚の揚げ物、ハンバーグ、ちょっと匂いのキツイ味噌汁、、、

味は可もなく、不可もなく、まあまあといった具合だが、目の前のジュンちゃんがどんどん不機嫌になっていく。

なんだ?どうしたんだ?

オレ、なんか怒らせるようなことしたか?

さっきメインストリートで化粧品のコンパニオンのお姉ちゃんに見とれていたのがバレたのか?

一通り食べ終わると「この店、最低!」と言って、ジュンちゃんは立ち上がり、会計を済ませ、スタスタと出て行ってしまった。

「こんな店、二度と来るかぁ!」「あとであのオバちゃんにクレームの電話入れてやる!」

そんな捨て台詞さえ吐いていた。

どういうことなんだろう?

ジュンちゃん曰く、この店は客に対する礼儀がなっていない上に、僕たちは思いっきり“ナメられていた”らしいのだ。

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まず、「予約を入れた」と告げたのに、名前を確認しなかったこと。予約席ではなく、適当な空いている席に座らされたこと。

次にお茶やおしぼりがなかなか出されず、そのことを告げると「この定食にはおしぼりはついていない」などと言い訳とともに出されたこと。

高い韓定食を頼んだ客を優先し、一番安い韓定食を頼んだ僕らへのサービスを後回しにしたこと。

見た目が若い僕らを、給仕のおばさんが「なんだ、こんな若造が無理をして」という上から目線で接してきたこと。

そして会計の時、カードで支払ったら態度が露骨に変わったこと、などなど。

とにかく気の強いジュンちゃんはナメられたことが何より悔しかったらしい。

韓国は儒教の教えが残っていて、上下関係が厳しい。

だから、おばちゃん店員と若い客との間では微妙な関係のズレが生じるらしい。

日本では「お客様は神様」であるが、韓国ではそれがすんなりとはいかない。

その後、至るところで感じたことだが、やはり店員の笑顔、接客の丁寧さという点で、日本は本当に素晴らしいと思う。これはジュンちゃんも認めるところである。


僕「まあまあ、ジュンちゃん、落ち着いて。若く見られたんだからいいじゃない。僕はそんなに気にしてないから」

ジュン「っつーか、あんたもナメられたの!」

僕「え?いつの間に!」

ジュン「あんた、おばさんが舐めた態度とっててもヘラヘラしてるし!十分ナメらててたのよ!それがチョー悔しい!」

僕「くそっ!あのクソババア!文句言ってやる!」

ジュン「何て言うつもりよ?」

僕「マシッソヨ!!」

ジュン「それは”おいしい!”という意味だバカァ!」


なんとかお怒りのジュンちゃんをなだめ、明洞(ミョンドン)のメインストリートでお買い物。

ここでジュンちゃんは僕と両親にいろいろなものを買ってくれた。

まずはソウル版のユニクロみたいな店に入店。

ジュンちゃんが前から「あなたに絶対に似合うと目をつけていた」というカーディガンとシャツを買ってくれた。

次に、父の日、花の日のプレゼントとしてカーネーション柄のバッチ(ちなみに韓国は父の日、母の人分かれておらず、『両親の日』という日が一日あるそうだ)。

さらに近くにあるロッテデパートに移動し、僕が前から買おうと思っていた電器シェーバーを買ってくれた。これは結構な買い物。

最後に、ロッテデパートの地下で、先日71歳の誕生日を迎えた父に朝鮮人参のサプリメントを購入。

とにかく今回の旅行中、ホテル代、食事代、交通費、プレゼントと、ジュンちゃんは大盤振る舞いなのだ。

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最後に僕らはまた明洞のメインストリートに戻ってフラフラと散策することにした。

本当、デパートにしろ、ショップにしろ、渋谷か原宿を歩いているみたいな錯角に陥りそうになる。

歩いている人もほとんど日本人と変わらないというか、普通にあちこちから日本語の呼び込みが聞えてくるし、日本語のPOP広告もよく目に付く。

が、やはり韓国だな、と思わせたのが露店。

正直、男性の僕はショッピングにはさほど興味がないし、人ごみの多いところは大の苦手(事実、この直後、僕は頭痛に見舞われフラフラに。スタバでバファリンを飲むことに)。

むしろこういう食べ物の露店を見て回っていたほうが好きなのだ。

今は昼飯の韓定食で腹がいっぱいだし、夕食にごちそうが待っているので手が出せないのだが、韓国にいる間に食べてみたいものだ・・・(つづく)

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           とうもろこしやフライドポテトのほかに、焼き銀杏、タコ燻製、イカ燻製など渋いものも・・・

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                      こちらは魚のすり身揚げ。

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フランクフルトのようにチリソースとマスタードをつけて食べる。日本のさつま揚げよりやわらかくてもちもちしてて旨い。

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         こうした屋台の食べ物は食べ歩きではなく、その場で立ち食いをするのが流儀。旨そうだ。