今日は12月31日。いよいよ、今年もあと1日
どうせならわかりやすい日がいいということで、我々の結婚記念日は本日、12月31日にすることにした。
ソウルの旅行会社に勤める彼女は今日が仕事納め
ちょうど昼休みにお使いで外に出る用事があるというので、ついでに市役所に寄って婚姻届けを出すことになった。
午前中、彼女がオフィスで仕事をしている間、僕はいつものように向かいのカフェで暇つぶし。
彼女のパソコンに「お気に入り登録」されている「結婚して良かったなあと思う瞬間」などを読んで心の整理をしていた。
(↓どのスレッドも思わず結婚したくなる幸せなものばかりでお勧め!)
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お昼になり、彼女とキムチチャーハンを食べて市役所に向かったのだが、大晦日だというのに、意外に市役所は混んでいる。
しかも、婚姻届けの部署は大行列
「結婚記念日は覚えやすい日に」と考える韓国人女性は多いようだ。
ちなみに僕の彼女ジュンちゃん(仮名)は
「あんたが韓国に来るのがもうちょっと早かったら12月3日にしようと思ってた。または、来るのがもうちょっと遅かったら1月23日にしようと思ってたんだ。」
「・・・・・・して、そのこころは?」
「1・2・3って、覚えやすくない?」
こころへんの乙女心がわからない僕は、とりあえず待合いのソファーに座って市役所の中を見回した。
雰囲気は日本の市役所と変わらない。受付の順番を示すカードがあり、様々な申請書類がある。
婚姻届けは彼女が事前に入手し、ある程度書いておいてくれた。結婚の証人はお義母さんと叔父さんがなってくれ、サインと印鑑ももらってある。
僕はパスポートと印鑑、結婚具備証明書(簡単にいうと独身証明)を用意したので、それを提出したら手続き終了。二人は晴れて夫婦となり、僕は既婚者、妻帯者となる。
う~む・・・・意外に簡単なもんだな。(まあ、本当に大変なのは彼女のVISAを取ることなのだろうが)
二人でソファーに座って待っていると、欧米人男性と韓国人女性のカップルも2組見られた。
1組は彼女が流ちょうな英語で彼氏に手続きの説明をしている。
マイク(仮名)君は欧米人にしては背が低く、顔も田舎っぽいが、いかにも人が良さそうだ。
二人は実にスムーズに手続きを済まし、晴れて夫婦となった。
満足そうに、意気揚々と市役所を去っている二人。
マイク(仮名)君は欧米人にしては背が低く、顔も田舎っぽいが、いかにも人が良さそうだ。
二人は実にスムーズに手続きを済まし、晴れて夫婦となった。
満足そうに、意気揚々と市役所を去っている二人。
が、問題はもう一組だ。
男性の方は、背も高く、顔もハンサム、ファッションもスタイリッシュでおしゃれだ。
ジュンちゃんが書類を書きながらこっそり盗み見した情報ではアイルランド人らしい。
顔がちょっとレオナルド・デュカプリオに似ている。
しかし、レオ君のお相手が、なんとも不釣り合いな不細工な女なのだ。
ずんぐりムックリした体型、細い目、開いた鼻、そしてグレーのパーカー以外は全身ピンクというメルヘンなファッション。
ピンクのマフラー、ピンクのスカート、ピンクのレギンス、ピンクの靴、キャラクターの顔が横に伸びたような靴下・・・・
ピンクのマフラー、ピンクのスカート、ピンクのレギンス、ピンクの靴、キャラクターの顔が横に伸びたような靴下・・・・
僕は彼女を勝手に”ブー子”と名付けた。
それにしてもなんでこの二人が夫婦になろうとしているのか、大きなお世話ながら考えずにはいられなかった。
僕らの前のソファーに座っていたブー子とレオ君。
最初は仲良さそうに話していたが、書類のチェックをしているうちに、だんだん様子がおかしくなってきた。
どうやら、書類の書き方で、意見が合わないようで、女が拗ねたような態度をとっている。
僕「ジュンちゃん・・・ブー子は何て言ってるの?」
ジュン「男のほうに謝ってよ~って・・・・・・。あの女性格悪そう・・・」
ちなみにブー子とレオ君は韓国語で、僕とジュンちゃんは日本語で話している。
ジュン「服のセンスも悪いし、わがままそうだし、なんでこんな女と結婚するんだろう?」
僕「ん~~、ブー子のうちが金持ちとか?」
ジュン「そうかもね」
そうこうしているうちに、ブー子達の順番が回ってきた。
ブー子が必要書類を持って窓口に向かう・・・・・・・・・・・・・・・が、なかなか受理されない。
書類が足りなかったが、書き方が間違えていたのか、はたまた記入もれか?
ブー子は「それ見たことか」という感じで、レオ君を責め立てた。
その声は、周りに余裕で聞こえるほどの大声で、周りの人もなんとなく気になっている。
レオ君は「大きな声を出すのはやめてくれよ」という感じで苦笑いしている。
ジュン「この女・・・・いつもこんな感じだね」
僕「そうね。女のわがままをレオ君がいつも許してあげてる感じかな?」
ジュン「この女、甘やかされて育ったね」
僕「やっぱり金持ちのお嬢様かね?」
ジュン「とにかく嫌な女だ。あたしが男ならこんな女と絶対結婚しない」
レオ君はブー子の機嫌を取りながらも、書類については妥協ができないようだ。
「大丈夫だよ。ね、これで」といいながらブー子をなだめているが、ブー子はどうしても許せない。
ブー子はソファーと窓口を往復しながら、ついにイライラが頂点に達したようだ。
と市役所中に響くような大声で叫びだした。
周りの人たちの会話が止まり、視線がブー子に集まった。
が、ブー子は一向にかまわず、窓口の女性になにやらがなり立てている。
僕「あ!ジュンちゃん、大変、レオ君が書類を置いて出て言っちゃった」
ジュン「ふふふ。愛想を尽かしたね」
僕「ブー子は?ブー子は?」
ジュン「気づいてないね。」
僕「ブー子が振り返ったとき、レオ君がいなくなってるわけでしょう?その時のブー子のリアクションは?めっちゃ楽しみなんですけど!!」
ジュン「大声で泣き叫ぶね」
一方、僕の隣に座っていたおじさんは、レオ君のことが気になって、入り口まで見に行ってしまう始末。
婚姻届けを出しに来て喧嘩って・・・・こういうのって、結構あるのだろうか?
僕「どうする?どうする?」
ジュン「あたしは友達に、背びれ尾ひれをつけておもしろおかしく話す」
僕「じゃ、じゃあ、僕はブログに書く!」
ジュン「女の子が好きな話のタネになったね」
僕「オレ、日本で『どうなってるの?』に投稿しようかな?」
そうこうしているうちに、ブー子がソファーに帰ってきた。
レオ君がいないことには気づいたが、取り立ててリアクションは見せない。
トイレにでも行ってると思ったのだろうか。
ブー子はまだ書類を受理されていないようだ。
ジュンちゃんは僕らの婚姻届けを出しながらも窓口のおばちゃんに「さっきのカップル、何かあったんですか?」と聞いたらしい。
さすがに教えてくれなかったが、窓口の人もニヤニヤしていた。
とにかく、2010年12月31日午後2時、僕らは夫婦になった。
ジュン「どう?なんか(気持ちが)変わった?」
僕「・・・・・正直、ブー子とレオ君の印象のほうが強くて・・・・」
ジュン「・・・・・・うん、まあね・・・・・」
無事、全ての手続きを終え、二人で市役所から出ると、なんと市役所前にレオ&ブー子が立っていた。
レオ君はてっきりどこかへ行ってしまったと思ったが、外でブー子を待っていたようだ。
ブー子がレオ君の服を引っ張って、「(市役所の)中へ入れ」というジェスチャーをしているが、レオ君はガードレールに腰掛け、ポケットに手を入れ、顔はうつむいていた。
ちなみにこの日の気温は-8度
僕「寒いのにね~」
ジュン「心も寒そうね~」
僕「てっきりレオ君は国へ帰ったと思ったよ。レオ君は逃げるところがあるからね」
ジュン「あの女・・・・・・・妊娠してるかもね・・・」
僕「な、な、なんで?!その心は?」
ジュン「ふふふ・・・・女の勘ね」
その後、彼女はロッテホテルへ用事をしに行くのだが、市役所からロッテホテルへは歩いて15分。
寒いので大通りからタクシーを拾ったのだが、なんとタクシーは渋滞を避けるため、再び市役所のほうへと走り出した。
僕「なんか・・・歩いて来て損したね・・・」
ジュン「そうでもないわよ。ほら!あれ!」
僕「あ!ブー子とレオ君・・・・」
ブー子は電話ボックスで誰かに電話。 レオ君はその近くでポケットに手を入れ、うつむいていた。
僕「結婚破棄かな?」
ジュン「延期かも」
僕「ブー子は誰に電話をかけてるのかな?やっぱり親かな?『あたし、結婚なんてしない!』とかね」
ジュン「甘いね。自分の親なら携帯電話を使うんじゃない?」
僕「なるほど、じゃあレオ君の両親に・・・やっぱり結婚できない・・・・とか?」
ジュン「わからないけど、どっちにしろ・・・あんな女と結婚したら絶対不幸になるわ」
その後、ロッテホテルで用事を済ませ、歩いて会社へ帰った。
ジュンちゃんはその後、4時までオフィスの大掃除をするそうである。
僕はまた1時間ちょっと、時間をつぶさなきゃいけないのだが・・・・気になるのはレオ君&ブー子である。
僕は彼女がオフィスに入ったのを確認してから、再び市役所へと向かった。
さすがに30分経ったのでもういないだろうなと思いつつ、市役所の周りを探したが見つからず。
せっかくだから中でトイレでも借りようと思ったら、なんとそこにいたのである。
僕「やや!これは・・・やっぱり入籍するのか?」
僕は思わずレオ君&ブー子の真後ろに座り、二人の様子をうかがってしまった。
ブー子は何か言ってるようだが、韓国語なので僕にはわからない。レオ君の表情は曇ったままだ。
どうやら二人は手続きが終わったらしく、5分ほどで外に出てしまった。
これはもう・・・・・・・・・・・・・後についていくしかないでしょう?
ブー子とレオ君に続いて外に出る僕。
韓国まで来て何してんだか、と思いつつ、気分は市原悦子
二人と一定の距離を保ちつつ、二人が止まれば僕も止まる。
まったく尾行というのはスリル満点だ。
レオ君は一人スタスタと前を歩く。
その1メートル後ろを、携帯で話しながらブー子が続く。
もう一度市役所に戻ったということは入籍はしたのだろうが、とてもラブラブな雰囲気には見えない。
むしろレオ君の背中には男の哀愁というか、後悔すら見える。
「この先、オレはこの娘とうまくやっていけるのだろうか?」
レオ君、無理だと思うよ。
一度入籍しちゃったら、ブー子は絶対に離婚してくれないし。
離婚したらブー子の戸籍だけ赤線(日本で言う”バツ”)がつくからね。
その後、ブー子は携帯電話をレオ君に渡し、レオ君がブー子の携帯で誰かと話し始めた。
これはブー子の両親と話しているのだろうな。
二人は市役所近くのカフェに入っていった。
このまま僕もカフェに入って尾行を続けても良かったのだが、なんとなく時間の無駄のようにも思えたのでここで尾行をやめることにした。
最後にもう一度振り返ると、レオ君の表情はやはり曇ったままであった。
なんか・・・・・・自分の入籍より、よっぽどインパクトのある出来事だった・・・・