久しぶりに3人会が開かれた。
3人会とは、高校時代の友人A、B、そして私が集まって思い出を語り、人生を語り、世の中を憂う、非常に高尚な集まりである。
この3人には共通点があった。
それは共に
1 志望大学に入れず
2 就職もまともにできず、
3 彼女もできない
というものだった。
だから我々の集まりは常に陰気臭かった。
高校卒業後18年も経っているのに、まるで昨日のことのように「あいつ、もう結婚したかな~」とか、「そういえば、野球部の合宿でおまえゲロ吐いてたべ~」などと話してはしゃいでいた。
そして「金ほし~よな~」「女ほし~よな~」と愚痴を吐き、最後は
「ま、なんとかなるべ~。がんばるべ~」と傷を舐めあって終わるのが常であった。
しかし、お互いが依然、不幸であることを確認し、安心したかったのかもしれない。
いつまでもこのままじゃいけないと思いつつ、我々はもう18年以上、年に2~3回は3人会を開き、依然負け組であることを祝うのであった。
しかし、今年の冬、ついに僕に彼女ができてしまったことで、様相が一変した。
僕は今まで通り、3人でたまに会って飯を食うことはできると思っていたが、僕は突然の「卒業」を言い渡された。
まあ、いつかは誰かが卒業するだろうと思っていたが、まさか僕が一番になるとは。
僕は半年前までは「このまま一生独身かな?」「孤独死ってリアルだよな~」などとあきらめに近い気持ちを持っていたし、おそらく3人会のメンバーはだれも似たような気持ちを持っていたと思う。
だからこそ、僕は彼らの気持ちがわかるのだ。
抜け駆けされた悔しさが、わかるのだ。
彼らの無念が痛いほどわかる。
特にA君は、ちゃんと婚活をして、女性との出会いを積極的に求めている努力家である。
だからこそ、自分からは何もせず、「棚ボタ式」に彼女ができた僕へのジェラシーは相当なものがあるだろう。
彼ほど中島みゆきの「Fight」という曲が似合う男はいない。
「戦う君の歌を 戦わない奴らが笑うだろう Fight!」
僕はなるべく彼らの気持ちを逆撫でないように、
けっしておのろけたりしないように、最後の三人会へ向かった。
しかし会が始まって1時間後
「いや~、恋っていいよな~」
「あれ?お前ら、彼女作らないの?」
「彼女に頼んで、女友達、紹介してやろうか?」
「大丈夫。お前なら絶対すぐ彼女できるって!俺が保証するよ!」
「ああ、これからは彼女とのことで忙しくなってお前等には会えないかもな~」
「ま、俺、彼女と結婚するから。結婚式にはきてくれよな」
気づくとこんなことを口走っていた。
グレープフルーツサワーの威力は恐ろしい。
おそらく僕らの友情が復活するのは、3人それぞれにパートナーが見つかる時であろうが・・・・
なるべく早くそういう日が来てほしいものだ・・・
*ちなみにA君曰く「彼女ができてからブログが面白くなくなった」そうな。
ふふふ。ま、それはそうかもしれない。