俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

訪韓日記(12月31日)「クリスチャンの年越し」

年越しの瞬間

みなさんはどのように過ごしたでしょうか。

僕は例年になくファンキーな年越しを過ごしたのでご報告したい。


ちなみに、例年だと大晦日

1.一人暮らしのアパートでTBS『Dynamite!』を観ながらダラダラと飯を食い、NHKの『ゆく年くる年』で年越しを迎える。

2.自宅でNHK紅白を観ながら両親が作ってくれた料理を食い、さらに年越しそばを食べながらNHK『ゆくとしくる年』で年を越す

3.祖父母の家にお泊まりし、年越しを迎える前に力つきて就寝

4.海外脱出


こんな感じだ。

子供の頃、実家は自営業で、12月31日も夜までちゃんと営業しているようなまじめな店だったので年末年始は祖父母の家に預けられることが多かった。

「年末はおばあちゃんの家」というのは、子供心に1年で最大のイベントでもあった。

僕の兄弟、従兄弟を含め4人の子供が祖父母の家で年を越すのだが、それだけでも興奮して眠れない状況である上に、次の朝にはお正月が待っているのである。

あの!

おせちが出る!(特に栗きんとん!)

お雑煮が食べられる!

そしてお年玉がもらえる!

あのお正月が待っているのである。

そりゃあ眠れなかったさ!
(まあ、実際は小学生のころは11時頃には力尽きていたのだが)

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また、海外で過ごす年越しは、親に申し訳ないと思いつつも、なかなか味なものがある。

仕事で海外に行っていた時もあったのだが、その時は仲間の日本人宅に集まって、紅白歌合戦を観ながら日本を懐かしんだものだ。

海外で観るNHK紅白歌合戦

日本にいたときは「紅白つまんね~」「もう終わったな・・・」という感じで観ていたのだが、

海外駐在員、日系人、国際結婚で海外にすんでいる日本人にとって、紅白歌合戦は1年に1回、センチメンタルな郷愁を味わわせてくれる”日本人の心の生命線”なのだ。

知らない歌手が出れば「オレがいないうちに日本も変わってしまったな~」という悲しみに打ちひしぎられ、

知っている歌手が出れば「よっ!小林幸子!待ってました!」と喝采を送る。


さらに僕は、タイ(プーケットバンコク)での年越しも経験しているが、これはキチガイだった。

タイは完全にプライベート。しかも欧米人がいっぱいいるような繁華街やバーで年越しを迎えたのだが、

酒に酔ったバカ外人がそこら中で大量に爆竹をならし、本当に息ができないくらいものすごい煙が発生し、死ぬ思いをした。

実際、年末年始のバカ騒ぎで何人か死んでるんだが、『ゆく年くる年』の静謐で年越しを迎える日本人と欧米人は根本的に相入れないものなんだな、と思った。

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で、2010年の年越しはどう過ごしたかというと、

僕は韓国の教会にいた。

嫁(←この日の午後に入籍したのでもう”嫁”呼ばわり)の家族・親戚一同が通う教会の年越し礼拝に連れて来られたのだ。

ちなみに、この2日後、僕は本当にクリスチャンになってしまう。

もちろん、いきなり毎週日曜日に教会へ通いだしたり、十字架のペンダントを首にかけたりするわけではない。

まあ、彼女の教会の牧師さんに結婚式の証人になってもらうために、仮にでもクリスチャンにならなければならないというのだ。

まあ、クリスチャンの仮免をもらったようなものだ。

基本、僕は無宗教なのだが、別にキリストが嫌いなわけではないし、

彼女の一族みんなが非常に熱心なクリスチャンというわけでもない。

僕自身も今後これといって面倒なことをしなくてもいいというので、クリスチャンにしてもらった。

彼女の通訳を介して、牧師さんから簡単な神様とイエスのお話を聞き、牧師さんが「ところどころで『イエスを信じますか?』と聞いてくるので「イエ~ス」と答えていたら、見事認証された。


さて23時30分

年越し礼拝が始まった。

いつものように賛美歌をみんなで歌いまくる(これがこの教会のスタイルだ)

中にはベートーベンの第九をアレンジしたものまであって、年末気分が出まくり!

教会で年越しなんて、『ゆく年くる年』でちょこっと観たことがあるくらいだけど、なかなか神聖な気持ちになるな。

そしていよいよ年越し、という瞬間!牧師さんが何やらものすごい気合いを入れる。

「な、なんだ?」と思った瞬間、教会のいた僕以外の人たちがみな一斉にブツブツと唱え始める。

体を前後に揺らし、まるで念仏のように高速に、中には泣きそうな顔で何やらまくしたてている。

「なに?なに?どうしたの?懺悔?1年の反省?」


正直、ちょっと怖い・・・・・

が、みな目をつぶり、熱心に、やや狂気じみた様子で何やら嘆き続ける。

ビアノもジャンジャカ鳴り響き、教会中に響く念仏もいやがおうにもヒートアップ。

「どどどど、どうすればいいんだ~?とりあえずオレも反省すべきか?ええ~と、隠れてエッチなDVDばっかり観てごめんなさい。アパートの隣のエッチの声を盗み聞きしてごめんなさい。あと、あと、通販で嫁に着せるコスプレの衣装をこっそり買ってごめんなさいぃ!!!」


やがてビアノの音が大人しくなり、皆が静かになった。

そして牧師さんが

「新しい年を迎えました。みなさん、あけましておめでとうございます」

みたいなことを言い、みなが笑顔であいさつをしあった。

その後、牧師さんが小1時間くらいお話をされたのだが、さすがに深夜1時近くになると皆ウトウトしはじめ、まるで月曜日の朝礼で校長先生の話を聞く生徒みたいな状態になりはじめた頃、礼拝は終わった。

いやはや、これがクリスチャンの年越しか・・・。

ちょっとびっくりしたけど、一生に一度くらい、こういうものを経験できて良かった。

帰りに嫁に、「あの年越しの瞬間、みんな何を言ってたの?」と確認したところ

「2011年のお願いね。家族が健康でありますように、とか、北朝鮮が攻めてきませんように、とか・・・」



余計な懺悔をして損した・・・・

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