それは朝のワイドショーで見た、とても小さな、そしてとても衝撃的なニュースだった。
「RAG FAIRが活動休止」
詳しい理由や経緯の説明はなく、また別の芸能ニュースが流れる中、僕は頭の中が真っ白になった。
一般の人にとっては何でもない「売れなくなったグループがまた1つ消えた」ぐらいのニュースかもしれない。
振り返る必要もないニュースなのかもしれない。
が、僕にとってはそれはそれは大きな衝撃だった。
そもそも、RAG FAIRって、どのくらいの認知度があるんだろうか。
僕が彼らを知ったのは2002年ごろだったか?
当時僕はマレーシアに赴任していて、日本のテレビなんてNHKしか見られなかった。
そして日本のPOPが聞ける唯一の番組NHK『POP JAM』に出てきた彼らのパフォーマンスを見て、なんともウキウキしたのを覚えている。
歌った曲は「ラブラブなカップル フリフリでチュー」
それまでにもコーラスグループはあったけれど、RAG FAIRほどPOPなグループはなかった。
見た目はボーカルの土屋礼央以外はなんとも純朴そうな青年達。
が、実に楽しそうに歌う姿が印象的だった。
そして、派手さはないがちょっとしたステップや振り付けがなんともオシャレだった。
たまたまビデオに撮っていた僕は繰り返しその映像を見ていた。
その後も『POP JAM』に出てくる彼らをずっとチェックしていた。
彼らがフジテレビ『力の限りゴーゴゴー』に出ていたこと、「ハモネプ」というコーナーに出ていたことなどは後から知った。
とにかく当時、僕が彼らの歌う姿を見られるのはNHK『POP JAM』だけだったのである。
『POP JAM』に彼らが出るたびに、彼らの魅力にますますハマっていった。
ゴスペラーズのような直立不動、無表情な歌い方ではなく、
常に笑顔で、そしてちょっとした振り付けを混ぜながら歌う姿がいかにも「歌を楽しんでる!」という感じを伝えてきた。
もちろんコーラスの上手さ、美しさも素晴らしいし、おっくんのボイパ(ボイスパーカッション)も超絶なのだけれど
僕がRAGが好きな一番の理由は、とにかく彼らの歌は”ご機嫌!!”なのである。
”ハレ”の歌とでも言おうか。
底抜けに明るい曲調とキャラクターが、聞いてる者を自然にハッピーにしてくれる、
そんな曲ばかりなのだ。
セカンドアルバム『AIR』を買う頃にはすっかりファンになっており、
金曜日になれば自然に「明後日はSUNDAY」が頭の中で流れ、
唾しか出ないボイパを通勤の間ずっと出しているほど、僕はラグにのめり込んでいった。
(もっともコンサートに行くほどではないが)
(もっともコンサートに行くほどではないが)
その後、ライブDVDを買ったり、ベストアルバムを買ったりと、しばらくはRAGを追いかけてはいたけれど、日本での仕事が始まると忙しさにかまけてだんだんと見る機会が少なくなっていった。
時々テレビで彼らの姿を見ていたが、やはり彼らのコーラスは本物だったし、”ハレ”のイメージもそのままだった。
不思議だったのは、何故 彼らがもっと売れないのか、
何故 彼らがもっと評価されないのか、ということだけ。
一時期、深夜ながら看板番組も持っていたし、内容も悪くはなかった。
「第二のクレイジーキャッツを目指す!」と意気込んでいたのだが・・・・かなわなかった。
今もフジテレビで年に2回ほど開かれる学生参加の「ハモネプリーグ」
参加する大学生らのほとんどは少年時代、RAG FAIRの姿を見て影響を受けている。
特におっくんのボイパは、見ているものにマネをさせずにはいられなかった。
僕なんて未だにボイパの練習をしながら歩く癖が抜けないのだが、未だに唾しか出ないのである。
そのハモネプでしか姿を見なくなったな~なんて思っていた矢先の「活動休止宣言」である。
なんだよ・・・もう・・・
世の中、いて当たり前だと思っていた人が急にいなくなった途端、その人の価値に気づいたり
今まで疎遠にしてたことを悔やむものだ。
僕は「ラグフェアー売れて欲しいのにな~」とずっと思いつつ
「アルバムはベストが出たら借りればいいや~」なんて思っていたのである。
”引退”ではなく、”活動休止”で、再結成の可能性も含めていたのが御の字だが、
それにしても・・・・・・哀しい・・・
実は僕はRAG FAIRと微妙な接点を持っている。
ボイパのおっくんは僕と同じ出身大学だし
彼らがアマチュア時代、ストリートライブをしていた駅は、僕が海外から日本に戻って最初に住んでいたところ
さらに、今現在住んでいるところはラグフェアーのメンバー二人の出身地であったりする。
今、聞いても・・・・なんで売れないのかが本当に不思議
嵐やAKBもいいし、EXILEもいいんだけど
それだけでいいのかい?
本当のHAPPYを知りたくないかい?
本物の音楽ってやつを聴かないと・・・・大人になってものすごく損をするような気がする。