結婚してわかったことだが、女性というのはテレビを見ながらいろいろ言うものである。
きれいな景色などが出れば「あ～行ってみた～い」
おいしそうな料理が出れば「あ～美味しそ～～～」
芸人がどっきりに引っかかりそうになれば「あ～～どうしよう～～～」
中でもうちの嫁がよく使うのが「あ～～ん、かわいい～～」であるが、まあ、これは世の女性もたいがいはそうだろう。
うちの嫁が思わず「かわいい～～」と漏らすものは大体決まっていて
一つは猫や犬など、かわいい動物の映像
そしてマツコデラックスとミッツマングローブである。
動物はわかる。
が、太った女芸人が「かわいい～」というのはどういう了見なのか。
動物扱いなのか？
妻は「柳原加奈子はお肌つるつるで、なんか、フランスの人形みたい！」と悶える。
フランス人形ってこんなにふっくらしてたっけ？と首を傾げるのだが、
とにかく妻にとってはかわいくてかわいくて仕方がないらしい。
でもこの「かわいい～」は多分に「上から目線」が入っているような気がする。
つまり、”こんにコロコロ丸くなっちゃって、かわいい～”
もっといえば「子豚ちゃんみたい～～」という感覚のような気がする。
が、世の女性がお互いに放つ”かわいい”は大抵こんな感じで成り立っている。
次にマツコデラックスである。
マツコデラックスがテレビに出ると、妻はいつも
「あ～！！マツコ大好き！」
「マツコ、かわいい！！」
ともだえる。
さらに、最近メイクに手を抜き始めたマツコに対し
「あ～、マツコ今日は化粧が薄い！どうしたのかな？肌の病気かな？」
などと細かい指摘を入れたりする。
妻はマツコがフルメイクじゃないと嫌なのである。
「マツコはお化粧をするとすごくきれい！」
などと真顔で言うのだが・・・・・
と心の中で思う。
マツコがきれいなわけないのである。
それは明らかに上から目線なのである。
自分がマツコと同じ体型だったら間違っても「マツコ、かわいい～」なんて言えないはずである。
少なくともマツコ自身が「かわいい」と言われることに
と思うだろう。
が、妻は今日もテレビに映るマツコデラックスを見てもだえる。
僕はそれに対して、とりたてて追及することはしない。
わざわざ「マツコがかわいいわけねーだろ！」なんて言ってどうなる？
夫婦の平和のためには話を合わせてやることも大切なのだ。
人の悪口を言うより、お互い褒めあったほうがいい。
世の女性はそうして保険をかけながら平和を保っている。
妻は今日も上機嫌である。
そして食後、だらしなく膨れた僕の腹を撫でながら「かわいい～」と褒めてくれるのである。
ま、僕は何も言わないけどね
