俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

夫婦だもの・・・その1

嫁が急に不貞腐れ出した。

ある日曜の午後のことだった。


その日、僕は朝からパソコン作業をすることにしていた。

すると妻は「あれ?仕事?じゃあ私はなにすればいいの?」

などと聞く。

「なにをすればいいのって・・・なんでも好きなことすれば?ほれ、録画した映画だってまだ観てないのあるじゃん」

そもそもその日は別に二人で何かをする約束はなかったのだから、嫁の質問自体が不思議なのである。

嫁がおとなしくテレビを観始めると、僕は作業に没頭した。

うちには書斎なんて上等なものはなく、6畳の和室で妻はテレビを観、僕は部屋の端に備え付けたパソコンラックに向かうことになった。

が、テレビの音など気にならないくらい作業に集中していた。

2時間ほど経ったころだろうか?

妻がふいに「お昼、何時に食べる?」と聞いてきた。

時計を観るともう11時半である。

僕は「まあ、何時でもいいけど、そうだな、12時半くらいかな?」と答えた。

あと1時間あれば、もう少し仕事が進む。

小腹も減ったことだし、なかなかナイスなタイミングで飯が食える。

こうなったら昼から缶ビールも空けちゃって、そのまま昼寝もしちゃおう。

そうなると残りの作業も俄然やる気が出てきた。

ノリノリで作業が進めたからか、45分で一区切りがついた。

が、ふと妻を観ると、まだテレビを観ている。あと15分で飯の用意ができるのだろうか?

やや不安になったところに、今度は電話が鳴った。

どうやら国からの電話だ(ちなみに妻は韓国人)

話が盛り上がっているのか、電話がなかなか終わらない。

時間は本日の昼飯予定時刻の12時半

僕はわりと細かい男なので、ここらへんはきっちり守ってもらいたいタチなのである。

僕は黙って台所に立ち、実家から送られてきた夕張メロンゼリーを開け、食べることにした。

するとまもなく、妻の電話が終わり、妻は僕にこう言った。

「あ~~!なんで私に隠れてこっそりそんなの食べてるの?」

その瞬間、僕は確実に「イラっ」としていた。

僕は”こっそり”なんてしていない。

むしろ嫁にわかるようにわざとドタドタと歩き、乱暴に冷蔵庫のドアを閉めたくらいだ。

僕は嫁の言葉には応えず、むすっとして黙っていた。

すると妻は「あ、ご飯の時間だったね。ごめん。すぐ作るから!」

と台所に立ち、20分後、無事僕のご飯が運ばれてきたのである。

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が、おかしい。

明らかに今、妻は不貞腐れている。

僕は妻が「ごめん」と言ってすぐに飯を作ってくれたことで、機嫌は直っている。

が、今度は妻の方が怒っているのである。

おかしい・・・・ふつう、怒ったのは僕の方なのだから、妻は落ち込んだり、すまなそうな顔をするものなのだ。

が、昼飯を食べ始めた直後にはもう

ヘラヘラとテレビを観て笑いながら飯を食う男と

不機嫌そうに表情を固め、さっきから僕の顔も見ず、会話もしようとしない嫁という構図になっているのである。


しかし、こんなことは以前にもあった。

妻は「言いたいことがあるなら言ってくれ!」という性格なのである。

一方僕は、腹が立つと黙るタチなのである。

だから妻は僕が腹を立てて黙り込むと、申し訳なさとショックと恐怖と怒りと、いろんな気持ちがこみ上げてきて、僕と同じようにふさぎ込むのである。

前回は新婚1ヶ月の時

その時は僕のほうからすぐに謝って、関係を即座に修復することに成功した。

が、今回は妻がどういうつもりなのか

妻から話してくれるまで様子を見てみようと思った。


が、これがまた後々後悔の素になるとは

恋愛経験なしに38才で結婚した僕にはまだわからなかったのである。

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