俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

幸せも束の間?

先日、仕事から帰ると妻が

「いいニュースと悪いニュースがあるよ。どっちから聞きたい?」


などと聞いてきた。

こんなおしゃれな聞き方ができるのはアメリカ人くらいだと思っていたが、妻もなかなかやるな、と思いつつ、とりあえず”いいニュース”の方を聞いた。

今月のパート代、7万円くらいになりそうだよ!!


なるほどなるほど。

それはいいニュースだ。

妻のパート代は毎月5万程度だが、今月は大目に仕事に入ったのでいつもより2万程度多くもらえるのだそうだ。


結婚以来、妻は僕が家に帰るとイの一番に一日の報告を始める。

韓国から来た妻は、まだ日本に友達が少なく、平日は寂しく過ごしていることが多い。

だから僕が帰ってくると、「待ってました!」とばかりに話を始めるのだ。

それは「今日は鳥肉が安かった!」とか「スーパーのポイントが1000円分たまった」とか「チューハイを買おうとしたら年齢確認をされた」とか

本当に些細な”いいこと”なのだが、それを嬉しそうに報告してくる妻がとても愛おしい。

36歳の時に妻と付き合い始めるまで、僕は「金なし、運なし、女なし」という絵にかいたようなダメ男だったが、

いや~・・・・・途中で自殺とかしなくて良かった・・・。

妻の話を聞きながら、僕は「ああ、これが人並みの幸せというやつか・・・」と感じていた。

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いいほうのニュースがこれだから、悪いほうのニュースもたかが知れている。

「で、悪い方は?」と聞くと、妻はニヤリと笑い

雑誌『素敵な奥様』の付録の家計簿を開きながらこう言った。














このままいくと、来年1月に貯金がなくなるよ


ん?

ん?

どういうこと?

妻「今、銀行に10万円しか入ってない。で、お給料が入ったとしても、それ以上に出ていくから来年には借金生活だ・・・」

ん?ん?

ま、マジ????

僕は目が点になり、スーツを脱ぐのも忘れ、かろうじて脱いだ靴下をなぜかゴミ箱に入れようとしていた。

嫁が「あ!靴下は洗濯かごへ!」というので我に返り、洗面台へ向かった。


貯金がなくなる?うそ?なんで?

確かに元々お金はたくさんはなかった。

今年の初め、中古のマンションを買おうとしたが頭金が用意できず、

正社員でもないため収入も不安定、身分も不安定で1500万のローンも組ませてもらえなかった。


が、それでも僕はお金が底をつく生活をしたことがないのが些細な自慢だった。

今年4月、なけなしの50万円が入った口座を妻に渡し、そこに毎月23万円ずつ振り込んだ。

当初妻は「これでやりくりできる。大丈夫」と言っていたはずだが・・・



居間に戻ると妻は僕を落ち着かせるため、特売のミルクティーを用意して待っていた。

そして我が家の支出について説明を始めたのである。


我が家は家賃が73000円

食費、雑費(洗剤やトイレットペーパーなど)が7万程度

公共料金(ガス、水道、電気)が1万5千円程度(二人で)

携帯電話、ネット代で1万円ちょっと。

これは結婚前からある程度覚悟していた金額だ。

が、それ以外の部分がかなり痛かった・・・


国民健康保険 約2万(二人分)
生命保険   約3万(二人分)
国民年金   約3万(二人分)
国民年金基金 約1万2千円(僕だけ)
都民税    約1万2千円

結婚に向けて用意した家電のローン 約3万円(あと2か月)


これで毎月7~8万程度の赤字となり、その結果、貯金がなくなるのだという。

で、思わず

「健康保険高くない??」

「都民税高くない??」

「東京都だからか?おかしくない?みんな払えてるの?」

と思ってネットで調べたが、税率も保険料も日本全国ほとんど同じ

しかも前年の僕の所得から割り出された額なので文句は言えないことがわかった。

また、「このままじゃ飢え死にしてしまう!減免措置をしてもらおう!」とも思ったが

僕はそれなりに仕事もしているし、国民年金基金や生命保険など、任意で加入しているものもあるので「まずそれを辞めろ」と言われるのがオチだ。

いや~~~それにしても・・・・

僕は大丈夫なのか?

生きていけるのか?

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その晩、僕はお金のことがぐるぐる頭の中をかけめぐり

妻が何か話しかけてきても「う~」とか「あ~」しか答えられず

胃がきりきりと痛くなり、

布団に入ってからもなかなか寝られなかった・・・


電気の消えた部屋で、隣にいる妻の寝息を聞きながら、僕は今後の対策を立てた・・・

このままいけば、貯金が尽きて借金生活になる。

それだけは避けたい。

今、できることは・・・


1 国民年金基金や、生命保険を解約する。(これまで払ったお金がかなり無駄になるが・・・)

2 転職してどこかの正社員になる。(ま、かなり難しいが、それができれば会社がかなり負担してくれる?)

3 このまま仕事を辞めて生活保護をもらう

4 ものすごい節約をする

5 バイトを増やし、収入を増やす(年金や保険の額も上がってしまうか?)

6 脱税する

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翌朝、目が覚めたが、依然として僕は悩んでいた。

妻が明るく仕事に送り出してくれたが、僕の気持ちは暗かった。

僕は奥さんを幸せにできないのか・・・・・・・・・・・・?

僕はそんなに無能なのか・・・・・・?


満員電車に揺られながら、夕べ考えたことを反芻した。

そして

「やっぱりできるのは・・・・節約と仕事だな・・・」という結論に達した。


僕はまだ限界まで頑張っていない。

夜は家でゆっくりしているし、週末も家でゆっくりしている。

夜も週末もアルバイトをすればなんとかなるかもしれない。

たとえそれで体を壊して仕事ができなくなっても、生活保護がもらえる。

たとえそれで過労死しても、嫁には生命保険が下りる。


死ぬほど働く


これしかないな・・・・

でも・・・・

面倒臭そう~

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