俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

おひとり様

A「マスター、ジントニック、お代わり」

B「かしこまりました」

A「ねえ、マスター。今ね、『お一人様ブーム』なんだってさ。知ってた?」

B「さあ?結婚しない人のことですか?」

A「違う違う。つまりさ、今まで友達とか恋人とかとしていた娯楽を、一人でするのがブームなんだよ」

B「はあ。例えば、一人旅みたいなものですかね?」

A「ま、一人旅は昔からあったけどね。確かに一人旅というのはその先駆けかもしれないね。マスターは旅行は友達と行く派?」

B「そう・・・ですね。学生時代の友達と自転車で北海道に行ったりしましたね」

A「へえ。いいねえ。僕は昔から一人旅が好きでね。細かい計画なんか立てないでブラブラするのが好きなんだ。」

B「はあ」

A「京都あたりもいいけど、社会人になって2~3年経ったころだったかな~。アジアを一人で旅してね。」

B「寂しくないんですか?」

A「一人がほうが自由でいいね。気を使わなくてもいいから気楽だし。あくせく旅をするなんて俺には考えられないね。気ままに休み、風任せで進む。気に入った場所があったら好きなだけそこにいる。日本人の団体旅行なんて正気の沙汰じゃないね。旅の楽しみってもんを知らないんだな」

B「そうですね・・・」

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A「今はいい時代になったね。一人でいることがふつうになったもの。”一人焼き肉”って知ってるかい?」

B「一人で焼き肉をするんですか?」

A「そうさ。今や、そんなに珍しい話じゃない。ちゃんと一人用の席を用意している店も増えてきたし。」

B「ひたすら肉を焼いて食べるんですね」

A「まあね。でもほかの人と焼き肉屋に行くと焼き加減にうるさいやつとか、生なのに食い始めるやつとかいて面倒だし、自分は3枚食べたから、相手もそれくらい食べてもらわないといけないのになかなか食べないやつとかね。あと野菜を焦がすやつはイラつくし、”ホルモン、中まで焼けたかどうか自信ないから人に勧めにくい・・・”なんて気を使うのもわずらわしいしね」

B「意外と細かいんですね」

A「まあね。だから焼き肉は今や一人に限るね」

B「ほかにもあるんですか?」

A「ああ、一人カラオケとかね」

B「ああ、なるほど。聞いたことがあります」

A「今や専門店ができるくらいだからね。バレンタインデーの時なんか、予約がすぐに埋まったらしいよ」

B「なんか・・・寂しいですね」

A「いや、そういうもんじゃない。カラオケもまた気を使うものだからね。上手くもない仲間の歌に拍手をしなきゃいけないし、興味のない歌をずっと聴いていなければならない。選曲にも気を使うし、歌わないでいると周りがしらける。アニメソングなんて歌っても誰も知らないし、たいして楽しくなくても盛り上がらないといけない。飲み物の注文も面倒だし、割り勘も面倒。割引券がもらえるのはお金払った幹事だけだし。今やカラオケは一人に限るよ。」

B「疲れるでしょうね。みなさんとご一緒だと」

A「そうそう。だから俺なんて一人カラオケでアニソンだけ2時間歌うんだよ。気分壮快だね!」

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                      一人焼肉ブース


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                      一人カラオケブース



B「・・・まさか、ほかにもあるんですか?」

A「ま、一人飯は当たり前だし、映画も買い物も基本一人だね、僕は。群れるのが嫌いなんだよ。誰かと一緒にいないとなにもできないなんて、自立してない弱いやつのすることさ」

B「・・・なるほど。するとほかにもいろいろできそうですね。一人ディズニー」

A「・・・ディズニーランドを一人か・・・ま、できないことはないけど」

B「一人ファミレス」

A「・・・だ、大丈夫さ」

B「一人ラブホ」

A「・・・ま、休憩するためなら・・・」

B「一人エッチ」

A「それは得意」

B「一人じゃんけん」

A「・・・してもいいけど・・・楽しくなさそうな・・・」

B「一人AKBごっこ

A「・・・というか、それ友達がいてもするか?」

B「一人スタバ、一人回転寿司、一人牛丼」

A「・・・日常茶飯事だけど、改めて言われると・・・」

B「一人マリオ、一人ラブプラス、一人モンハン」

A「だから、いつもやってるよ!」

B「一人寝、一人シャワー、一人便所」

A「うるさいよ!一人、一人って!もういいよ。俺は一人酒を楽しんでんだ。静かにしてくれ」

B「失礼しました。ところで、いつもどなたとおしゃべりになってるんですか?」

A「ん?」

B「このブログ、会話みたいになってますけど?」

A「いや、あの・・・・・・・・一人会話だけど・・・」

B「・・・・・楽しいですか?」

A「・・・・・ま、それなりに」

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