俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

容疑者の自殺を防げ!

S田容疑者は、連続変死事件の首謀者と言われている。

S田容疑者はマインドコントロールのような手法で人を操り、自分にはむかう人々を次々殺していったとされている。

しかし、赤の他人を養子にしたり、その親類縁者が犠牲者となったり

また大の大人がS田容疑者の暴力に抵抗できなかったりとこの事件には謎が多く、

S田容疑者の目的はなんだったのか、どのようにして人々をマインドコントロールしていったのか、今後の捜査の結果が注目されている。

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A「先輩、ちょっと相談が・・・」

B「どうした?」

A「Sがまた『死にたい・・・』なんて言ってます」

B「なんだって?またかよ・・・」

A「なんでも、生きて刑務所から出られないなら死にたいとか・・・」

B「どっちにしろ死ぬのになぁ」

A「いや、そういう問題じゃなくて・・・」

B「生きていればいいことあるのに」

A「そうですよね」

B「ゲームしたり、エッチなDVD見たり・・・」

A「先輩の生きる楽しみってそんなもんですか?」

B「ば、ばか。たとえばだよ。」

A「じゃあ、他に何があるんですか?」

B「それは~・・・あれだ・・・アイドルを応援するとか、ネットに芸能人の悪口書くとか・・・」

A「・・・・」

B「あ、俺のことはいいんだよ!とにかくS田だ!刑務所で自殺なんてされたらかなわんからな」

A「そうですね。」

B「とりあえず、1時間3回の巡回を6回に増やせ!」

A「10分に1回ですか・・・」

B「そうだ!それくらいやらないと」

A「少なくないっすか?」

B「え?少ない?だって、10分に1回だよ?」

A「ええ、でもやろうと思えば10分の間に死ぬことだってできますし」

B「いや~・・・無理ちゃう?10分で死ぬって。俺だったら死ぬまでに2~3日はかかるよ」

A「なんでそんなに?」

B「いや、なんか、今死んだらベッドの下に隠してあるDVDが見つかっちゃう、みたいな」

A「ま、S田はもう出られないんだから・・・」

B「でも、死ぬことを決断するのに結構ためらっちゃうな、俺なら」

A「だからS田は死にたいって言ってるんですから、もっと警戒しないと」

B「え~・・・でも1時間6回なら・・・十分じゃない?」

A「じゃあ、せめて、カメラがある部屋に移しましょうよ」

B「ん?それで?」

A「24時間監視ですよ」

B「S田を?」

A「はい」

B「あのばあさんを?」

A「先輩!仕事ですよ」

B「え~・・・何が悲しくてあんなばあさんを24時間監視しなきゃいけないのよ?」

A「だって、重大事件の首謀者ですよ!」

B「そうだけどさ~」

A「なんだったら、檻の前で24時間監視していてもいいくらいですよ。自殺を食い止めるためなんですから」

B「うそだろ?だってさ、他にもいるんだよ?監視しなきゃいけない人?」

A「そうですけど、S田は社会的にも関心が高い事件の首謀者ですから」

B「いや、だからって、S田だけ特別?おかしくない?」

A「おかしくない!とにかく、S田は特別なの!」

B「だってよ、S田を見てる間に他の受刑者が死んじゃってたらどうすんの?」

A「・・・・別に、それは事件にはならないし、世間にも知られないから」

B「・・・まあね・・・。でもさぁ~24時間監視は~・・・ほら、彼女にもプライバシーってもんが…」

A「刑務所にそんなもの要りません!」

B「君、すごいこと言うね。人権団体が知ったら大変だよ?」

A「・・・とにかく、やるんですか?やらないんですか?」

B「君ねぇ、考えても見なさいよ。君と僕とそれと交代の二人で、20人からの容疑者を見てるんだよ?一人にそんなに時間をかけられる?」

A「・・・まあ・・・」

B「夜勤手当もないんだよ?残業手当もないんだよ?」

A「いや、でも、これで自殺でもされたら『重大な過失』とか『警察の怠慢』なんて言われちゃうんですよ」

B「好き勝手なこと言ってんじゃねぇ!じゃあ、お前が24時間監視してみろよ!一瞬も目を離さずに見てみろよ!」

A「僕に言わないでくださいよ」

B「もっと監視官を増やせよ!もっと税金を投じてさ、警察官の数を増やせよ!俺たちの勤務時間をきっちり8時間にしてみろよ!そうしたらきっちり監視してやるよ!」

A「先輩、落ち着いて。ね、カメラのある部屋に移すだけで、本人も『監視されているから自殺もできない』って思わせることができるんですから」

B「それは無理!」

A「どうしてですか?」

B「今、カメラのついている部屋は、セクシー番長がいるから。寝姿が色っぽいんだよな~あの姉ちゃん」

A「いい加減にしろ!」

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