アカデミー賞って

ちょっと前の話題になるが、アメリカでアカデミー賞が発表され作品賞に『アルゴ』が選ばれた。

朝から各テレビ局がこぞってこの話題をトップニュースとして報じていた。

日本だけでなく、世界各国のメディアがアメリカに集結し、発表前からその興奮を伝え、

各賞が発表されるとそれはもう大騒ぎ

朝から晩までそのニュースでもちきり。

まったくもって、すごいことになっているのである。

が、僕は不思議なのだが

アカデミー賞って、そんなに騒ぐほどのニュースかね？

全てのテレビ局が「他局に遅れを取るまじ！」と皆 右へならえで伝えているが

日本人って、そんなにアメリカの映画賞に関心あるのかな？

もちろん、映画が好きな人にとっては1年に1度のお祭りなんだろうけど

ダニエル・デイ＝ルイスとか言われて、どの程度の日本人が知っているんだろうか？

僕が今回のアカデミー賞で思ったのは、

「これって、所詮アメリカ国内の映画賞なんだな」ということだ。

作品賞の「アルゴ」にしろ、他のノミネート作「リンカーン」にしろ、「ゼロ・ダーク・サーティ」にしても

いずれもアメリカの政治、歴史的なもので、それほど日本人が関心のあるテーマではない。

むしろ「アメリカは正義だ！」「アメリカはすごい」みたいな考えが裏に含まれていて、鼻につく。

アメリカ、もしくは白人に侵略されたり攻撃されたりした国の人からしたら、なんとも「一方的」で「都合のいいやつら」という感じ。

もちろん、アメリカ国内でそんな映画を作ったり、賞を与えたりする分には全然かまわないのだが、

このニュースって世界中が喜んで伝えるようなものかな？
（ま、イランあたりではこの賞に不満があったらしいが）

日本もイルカの捕鯨をテーマにしたドキュメンタリー映画に賞が与えられたことを忘れちゃったのかな？

ま、それは抜きにしても、アカデミー賞を獲った作品って、必ずしも世界中で大ヒットした映画とは限らない。

今年の「アルゴ」にしろ、昨年の「アーティスト」にしろ・・・

だから、アカデミー賞を獲ったからって、そのあと日本で空前の大ヒットになるってこともないし

アカデミー賞のニュースを伝えたところで

「私も『アルゴ』観てみたい！」なんて人がどの程度いるのだろうか？

お察しの通り、僕は映画はそんなに好きではない。

が、嫁に連れられて昨年は6回くらい映画館に行ったかな？

アカデミー賞ノミネート作品の中では「ライフ・オブ・パイ」と「レ・ミゼラブル」は観た。

ま、この二つのうちのどちらかがオスカーを獲ったら、「ま、そうだよね」と納得できたかもしれない。

でもアカデミー賞は興行収入だけで評価されるわけではない。

映画の専門家、評論家からみて映像や音楽、演技などの点から素晴らしいものが選ばれるのだろう。

だからこそ、そんなに日本で大騒ぎする必要はないと思うのだ。

もう一度言うが、アカデミー賞はアメリカのただの国内映画祭

日本で言えば「大賞は『桐島、部活やめるってよ』です！」くらいの規模である。

世界の映画作品を集めた映画祭ではないし、日本で一般公開されてない映画もよくノミネートされている。

そんなもんは映画チャンネルとか映画雑誌で特集を組めばいい

ワイドショーのトップニュース扱いするまでもないはずなのだが

なぜか日本のテレビは当たり前のようにこのニュースを伝える。

”ついに””今年も””あの””アカデミー賞の発表です！”

でもＣＩＡやらＦＢＩやら、アメリカの大統領やらの映画なんて日本人はそれほど関心を持たない。

それをマスコミもわかっているのか、なんとなく映画の紹介がなげやりだ。

伝えるのはこのイベントがいかにものすごいお祭りかということ、

授賞の瞬間のハリウッドスターのリアクションやスピーチがアメリカ人らしく大げさなこと

そしてアンハサウェイの乳首が立っていたことくらいだ。

同じようなものに、日本の「芥川賞」「直木賞」がある。

受賞者は「最年少」「最年長」「風俗通い」「人格破綻者」など、興味深い人が多く、下世話な話題になることはあるのだが、肝心の作品はほとんど読まれることはない。

毎回、ニュースで大きく報じられている割に、その作品は受賞前には全くの無名だし、

受賞後も10万部も売れない。タレント本のほうがよっぽど売れている。

なんでも、芥川賞や直木賞自体が文学の世界では「新人賞」にあたるものなので、本当にすごい文学賞は別にあるらしい。

が、いつでも話題になるのは芥川賞・直木賞だ。

そして日本人は受験生のようにその作品のタイトルと筆者の名前だけをワイドショーで話題にする。

アカデミー賞も、芥川賞も・・・・・もう結構です。

見ないから

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この人、知ってる？