そして僕は
と唸ってしまった。

僕は基本ももクロのファン(コンサートに行かない程度の)で、AKBのアンチ
きゃりーに関してはこれまでは「いいんでないの?」という感じで接してきた。
基本「ギャル」とか「不思議ちゃん」「若い女の子のカリスマ」みたいのはあまり好きではないのだが、
きゃりーはテレビに出ると割と謙虚でおとなしく、常識的なのでそれほど嫌いではなかった。
ただ、あんまり大人気になるのもどうかな~、という思いもあった。
派手で奇抜なファッションは別にきゃりーが初めてというわけではないし
きゃりーの歌は同じフレーズの繰り返しで意味不明
きゃりーの歌で心が動かされることはない。
彼女が特別、才能があるとも思えなかったので、まあ、「すぐ消えておくれよ」「バカな女の間だけでウケればよい」ぐらいに思っていた。
あんまり「売れてくれるなよ」と。
が、僕の期待に反して、きゃりーは売れ続けた。
コマーシャル、ファッション雑誌、イメージキャラクターにも引っ張りだこ。
新曲が出るたびに話題になり続けた。
おじさんは困るのである。
こういうわけのわからないものが売れるのが、なんとなく苦々しいのである。
きゃりーの分際で、ワールドツアーをしたり、海外のランキングで1位になったり、スケールの大きなCMを作ったり、日本のKawaiiの象徴みたいに扱われるのはなんとなく嫌なのである。
ももクロより目立つのは耐えられないのである。
が、嫌なものほど見たくなるのが人間の性(さが)
「にんじゃりぱんぱん」のミュージックビデオを見てしまったが最後
これはもう・・・・認めざるを得ない感じなのだ。
まだ見ていない方はまずは見てもらいたい。
客観的に見て、今はきゃりーぱみゅぱみゅこそが
なのである。
日本のアニメ、漫画、キャラクターが好きな外国人にとって、きゃりーこそが現在の「The JAPAN」なのである。
出だしからきゃりーの踊りはまあ緩い
AKBが下手っぴなダンスをなんとかうまく見せようと頑張っているのを尻目に
きゃりーは”余裕綽々”
「みんなすごいね~」「がんばってね~」
という感じなのだ。
そういえば、これまでのミュージックビデオも印象的なものが多かったが、見返してみると初期のものは”奇抜”を前面に出しすぎて、悪ふざけ感も強い。
が、今のきゃりーは本当に肩の力が抜けている。
クリエーターもそうだし、きゃりー自身もいい意味で”遊んでいる”
ミュージックビデオの最後の最後まで”きゃりーワールド”全開だ。
見ていて無条件に楽しいし、ハッピーになれる。
日本好きの外国人が観たらまあ、萌えるだろうね。
21世紀の日本好き外国人が求める日本らしさ
それこそ”きゃりーぱみゅぱみゅ”なのだ。
世界を見渡してみてもこんなパフォーマンスを魅せられるのは他にいない
あんなに踊れなくて、あんなに歌えなくて、あんなに意味がなくて、色気がなくて、そしてあんなにふざけている
「なんだこりゃ?」「これでプロのアーティストと呼べるのか?」「他のアーティストに失礼!」と最初はだれでも思う。
なのにハマる。
知らないうちに「ふぁっしょん も~んすたぁ~」なんて口ずさんでいる。
悔しいけれど、いい。
レディーガガからすべての角を取り、力を抜いて、お遊戯をさせるときゃりーになる。
まさに今の日本を象徴するゆるさだ。
なぜか僕はきゃりーがうらやましい。
誰だってあんな風に生きてみたい。
周りと比べることもなく、自分のやりたいように生きる。
世間一般の基準に縛られることなく、自分を表現する。
驕ることなく、自分を蔑むことなく
ただ自分の楽しいことをする
自分にできないことを飄々と実現させていくきゃりー・・・
う~~む・・・目障りだ・・・
