あれは2か月くらい前のことだった。
トイレで大の方をして、お尻を拭いた時のことだ。
僕は尻を拭いた後、必ず紙を見る習慣があるので、その日もしっかり確認していた。
ちゃんと尻のしわまできれいにふき取れているか、ケツ毛にからまった大便までふき取れているか
そうしたことをチェックするためには拭いた紙を見るのが一番だ。
完全にふき取れればトイレットペーパーはきれいなままになるはずである。
が、その日はなぜかトイレットペーパーの真ん中に赤い点が一つあった。
一瞬「やや!血便か!肝臓か何かの病気か!?」とあせったが、別段心当たりもない。
身体も健康だし、仕事のストレスも大きくない。
食生活も安定しているし、生活もそれほど不規則ではない。
年齢だけは今年40歳だが、タバコも吸わない、酒もそれほど飲まないのに肝臓が悪くなるはずもない。
「ま、そんないいトイレットペーパーじゃないから、赤いチリかなにかが混ざってたんだろう」
とそのままにしておいた。
![イメージ 1](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/Y/Yamazy2019/20191012/20191012010207.jpg)
そして3週間ほど前のことである。
僕は夜、シャワーを浴びていた。
で、頭、腕、背中と泡を流し、最後に尻の間の泡を軽く手で洗い流そうとした時だった。
何か指に当るものがあるのである。
僕は「な、なに!これはまさか、コロコロうんこでは?」とあせってしまった。
あれだけ大便のあとはしっかり尻を拭いているのに、僕は1日中ウンコをケツに挟んだまま過ごしていたのか?
と悔しくなり、シャワーの水圧で流し落とそうとした。
が、これがなかなか流れない。
おそるおそる指でさっとふき取ろうとしたが、それでも流れない。
そこで初めて、「やや!こ、これは・・・うんこではない。僕の尻にくっついているのだ!」とわかったのだ。
そして頭の中を整理しているうちに、これが噂の「痔」というやつなのではないかとわかった。
でもちょっと待てよ・・・痔というものは痛くてイスとか座れないんじゃないの?
座った途端飛び上がるほど痛くて、しかも大便もするのが怖くなるほど痛いもんじゃないの?
僕のは全然痛くないぞ?
でもこのコロコロとした異物は確かに・・・・
僕は途方に暮れた。
僕は禿げてないことと、痔ではないことだけが誇りだったのだ。
それなのに30代の終わりについに痔を発症、これで頭が禿げあがったら名実ともに”オヤジ”決定だ。
なんてこったい・・・。
僕はその夜、ネットで痔について調べてみた。
痔には「切れ痔」「イボ痔」があり、痔になった人のことを「痔持ち」とか「痔主」と呼ぶらしい。
う~む・・・そうか、僕は賃貸のアパートに住んでいながら「じぬし」になっていたのか・・・。
イボ痔にはさらに肛門の外側にできるものと内側にできるものがあるらしい。
僕のは肛門の入り口のやや内側だ。
さらに進行具合により、ほとんど肛門の内側にあるもの(1度)、排便時に出るもの(2度)、排便時に出て、指で押し込まないと戻らないもの(3度)、常に外に出ているもの(4度)に分かれる。
僕のは基本、引っ込んでいるタイプ(2度)なので痛みはないが、残便感とかゆみが少しある。
さらにネットで肛門科のある病院について調べてみる。
僕は東京都内に住んでいるので病院は割と見つかりやすい。
今は手術しないで日帰り治療も可能らしい(ジオン注射療法)。
なんか、名前はガンダムのキャラっぽくて格好いい治療法だが、これだと再発の可能性もやや高いとのこと。
再発の可能性を低くするならやはり手術がよく、手術になると最悪数日入院することにもなるらしい。
う~む・・・これだと仕事を休まなければならなくなるし、周りの人にも痔であることがバレてしまう。
できるなら穏便に済ませたい。
最悪、夏休みと週末をあわせて隠密に済ませたい。
どうしたものか・・・
![イメージ 2](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/Y/Yamazy2019/20191012/20191012010214.jpg)
結局僕は、市販の薬で様子を見ることにした。
それでなんとか夏まで様子を見て、だめなら夏に手術だ。
運が良ければ市販の薬と生活習慣の改善で治る可能性もある。
痔を治すためには
「辛い食べ物は控える」
「湯船にゆっくり浸かる」
「座りっぱなしにならない」
「トイレは3分以内」
「便秘や下痢にならないように気をつける」
「湯船にゆっくり浸かる」
「座りっぱなしにならない」
「トイレは3分以内」
「便秘や下痢にならないように気をつける」
などが必要だという。
僕の場合、嫁が韓国人なので辛い料理が頻繁に食卓に並ぶし、入浴はシャワーだけ。
家でも職場でも座る時間は長いし、トイレは異常に長い。
だから生活習慣で直すのはとうてい無理そうだ。
ま、とりあえず近所のマツモトキヨシに行き、痔の薬を捜すことにした。
有名どころはボラギノールかプリザSだが、この店のおすすめは「G4L」か。
しかもそれぞれ「注入軟膏」「座薬」「軟膏」の3つのタイプがあるらしい。
注入軟膏って、確かイチジク浣腸みたいなのを尻の穴に入れて、ちゅ~って注入するやつだよな・・・。
そんで座薬って・・・・入れるんだよね・・・・
なんか想像するだけで怖いというか、気持ち悪いというか・・・・
なんか変態プレイを要求された女の人の気持ちがわかるような・・・・
すぐに直したいならやっぱりちゃんとしたヤツを買ったほうがいいんだけど、やっぱり・・・怖い。
結局僕は「G4L」の軟膏タイプを買うことにした。
これを使ってみて、効果がなければ注入軟膏でも座薬でもやってみよう。
それにしても・・・これから僕は日に3度、尻の穴に指を突っ込み薬を塗る生活が始まるのである。
ああ、憂鬱だ・・・。
僕はかばんの奥底に薬をしまって家に帰った。
家に帰ってシャワーを浴びると、その間にカバンから弁当箱を取り出していた嫁が僕の薬に気が付いてこう言った。
あんたも黙ってたくせに・・・
![イメージ 3](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/Y/Yamazy2019/20191012/20191012010217.jpg)
*・・・女性は便秘になりやすく、よくふんばるので痔になりやすいのだそうです。