『関ジャム完全燃SHOW』(テレビ朝日系)という番組が好きで毎週見ているのだが、どうも最近、気になることがある。
それは「みんな・・・知ったかしてない?」
ということだ。
『関ジャム完全燃SHOW』は音楽情報バラエティ番組で、様々なアーティストや音楽の専門家をゲストに呼んで、アーティストや楽器、楽曲や歌声のすごさなどを楽しく紹介してくれる番組である。
僕はサブスクで音楽を聴きまくるようないわゆる”音楽好き”ではないのだが、物事を小難しく考えることが好きなので、「なぜこのアーティストが売れているのか」「何がすごいのか」ということをちゃんと専門家の目線で分析して説明してくれるこの番組が大好き。
例えば昔「この秦基博って人、顔もぱっとしないし曲もそれほど売れてないし、歌もそれほどでもないのになんでいろんな所に出てるんだ?なんでミスチルの桜井さんが嫉妬するんだ?」と思っていた時期がある。
そんなある時『関ジャム完全燃SHOW』で「秦基博さんは『鱗』という曲のサビでは息継ぎなしで一節歌い上げる。息継ぎをしてしまうとそこに意味や断絶が生まれてしまうからだ」と解説されていた。で、VTRを見てみると確かにサビの
”あ~きみに~いまぁ~会いたい~んだぁ~会いにゆ~くよ~”
までは息継ぎなく歌われていて、それが真似してみるととてもじゃないが一息で歌いきることはできず、とんでもない歌唱であることがわかったのである。
またある時はクラシックピアニスト(清塚信也氏)とポップピアニスト(紺野紗衣氏)とジャズピアニスト(山中千尋氏)が共演し、それぞれの演奏法や曲調の違いを説明し、最後にセッションをしていたのだが、まあ刺激的な回だった。ピアノなんか全く興味はなかったしピアノなんて眠いだけと思っていたけど、それぞれが超絶テクニックの持ち主で、かっこいいのだ。
あいみょんや藤井風がすごいすごいというので聴いてみたら本当にすごかったし、髭男やKing Gnu、YOASOBIを知ったのもこの番組だったと思う。
SNSに疎いおじさんにとって最新の音楽の魅力をわかりやすく説明してくれるのはありがたいし、昭和や平成の名曲・スーパースターの魅力を聴くのはなんともいえず嬉しい。
それ以外にも珍しい楽器の紹介、音楽の教科書に載っている曲のすごさ、ダンスパフォーマンス、音楽家の部屋作り、歌唱法講座、演奏家の生活、プロが選ぶランキングなどテーマは多種多様。
だからこそ毎週欠かさずに見ているのだが、どうも最近「ん?」と思えるところが出てきた。
2021年6月6日(日)放送の内容は「スリーピースバンドのギターボーカリスト特集」
Triceratopsの和田さん、Base Ball Bearの小出さん、SHISHAMOの宮崎さんがスリーピースバンドのギターボーカリストの苦労やあるある話を披露していた。
3人は「手の動きと口の動きがバラバラなので難しい」という話をし、VTRではギターとボーカルの音階が載った楽譜を見ながら演奏の様子を見る、という流れになった。
(ま、主旋律とギターの楽譜が違うのは当然だよな…でも、ロックバンドだとみんな普通にギター弾きながら歌ってるよな…このVTRだけだとギターボーカリストならではの難しさがわからないな…)
なんて思って見ていると、VTRが終わったとたんスタジオの関ジャニメンバーは「あ~なるほど!」「うぉ~すげぇ!」と皆一様に驚くのだった。
うそ?みんなはわかったの?
そんなにわかりやすいVTRだった?
他の視聴者もみんな同じ反応なの?
実はこういう戸惑いがこの1年の放送回で増えた気がする。
2年くらい前は横山君あたりは知ったかぶりしないで「よくわからなかった」という顔をしてくれたのに、ここ最近はみんな「なるほど~!」「わかりやすいわぁ~!」なんてリアクションになる。特にMCの村上君がイの一番にリアクションを取るのだが、彼が一番嘘くさい。絶対わかっていないと思うし、少なくとも視聴者には違いが微妙すぎて伝わっていないと思うのだが…。
その8人がみんな同じ反応をするなんてこと・・・ま、テレビだからあるのか。
でももし「違いがあんまりよくわからんな」という人が僕だけじゃないとしたら、視聴者を置いていってるよな…
ちなみにギターボーカリストはギターとボーカルに加え、プロモーション、他のメンバーの録音立ち合い、ドラムとベース以外の楽器演奏、編集作業などにも参加することが多く「平等じゃないよな」と思うそうである。
SHISHAMOのメンバー二人はきっとこの放送を見て思ってるだろうな。
「はぁ?あんたが好きでやってんでしょうに」
「あたしらはこのままでいいと思ってるのに、勝手に音を足したがるのはあんたでしょ?」
「文句言うならサポートメンバーでも募ってギターやらせれば?自分でやっといて”不平等”なんて言われても困るんですけど?」
宮崎さん曰く「他のメンバーが今日の収録を見ないことを祈ります」とのこと。
合掌。