楽しみにしていた『関ジャム完全燃SHOW』(テレビ朝日系)の特番、「令和に活躍する若手アーティストが選ぶ最強平成ソングベスト30」は期待通りの面白さだった。
特に昭和のおじさんである僕がこれまで「なんか嫌な感じ。気取っちゃって」と思っていた”令和に活躍する若手アーティスト”の選曲理由が、とても純粋で好感が持てたのである。
「思ってたより、いい子たちぢぁないか!」「これを選ぶ当たり、いいセンスしているよ!応援しちゃる!」「今度おぢさんとJ-POPについて語ろうぢぁないか!ぐはははは。」
僕は先週の先行放送を観た後に「これは面白くなりそうだぞ!」と思い、特番を楽しみにしていた。先行放送ではハラミちゃん、向井太一氏、shudou氏、Rei氏のランキングが発表されたのだが、彼らの選曲のうち僕が知っている曲が3分の1、歌手は知っているが曲を知らないのが3分の1、残りの3分の1が曲もアーティストも知らない曲で、この割合が実に心地よかったのだ。なんでも令和の若者はYoutubeやサブスクなどで様々なジャンル、様々な世代の音楽を聞いており、そこにこだわりがないのだそうだ。
丁度ええ!”令和に活躍する若手アーティストが選ぶ最強平成ソングベスト30!! - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)
ただそれでも僕はこの”令和に活躍する若手アーティスト”というのをなんとなく毛嫌いしていた。
今回選曲に当たったのはBiSHのアイナ・ジ・エンド、井上苑子、Aimer、神はサイコロを振らない、ちゃんみな、Baundy、緑黄色社会など平均年齢25.8歳のアーティスト48名。
なんか僕が知らない若造が”業界で注目の~””世界でも活躍する~””三か国語を操る~””現役大学生で~””PVは〇〇万回再生~”なんて仰々しい紹介のされ方をしているのを見ると、ちょっとイラっとするのである。
そんで『関ジャム完全燃SHOW』でも”天才・奇才””音楽の常識を変える!””必ず売れる!というかプロは既に注目している”なんて散々取り上げられてるのを見るとまたまた反抗したくなるのである。
でも実際に彼らが選んだランキングを観ていくうち、「あれ?なんか・・・いいぞ・・・」と思うようになった。
それは彼らの選曲理由のほとんどが”感覚的”なものだったからだ。
・学生時代にバンドを組んでコピーした。
・クラスの男子みんなが踊りをマネしていた。
・カラオケに行くと、必ずだれかが歌っていた。
・最強カワイイソング!
・初めて聞いた時、「なんだこれ!?」ってびっくりした。
・みんな真似していた。
・不朽のラブソング!
・僕らの世代のバンドマンはみんな彼らを通ってきた
・CDショップでたまたま聞いて、ドハマり!
みたいな感じ。
あ、そうなんだ。そんな感じで選んでくれるんだ?
僕はてっきり「コード進行がどうたらこうたら」「ヨナ抜き音階がどうたらこうたら」小難しい説明をしてくるのかと思ってた。音楽性とかを分析して面倒な解説を加えてくるのかとばっかり思っていた。
でも実際は彼らの感覚は僕ら視聴者と全く一緒。「いいものはいい!」「青春時代の思い出!」そんな感じで選んでくれていたのだ。だからアニソンあり、コミックソングあり、アイドルあり、ロックバンドあり、と実に楽しい。もちろん宇多田ヒカルさんや椎名林檎さんの楽曲のすごさについて語る場面もあったし、キリンジの「エイリアンズ」が2位に入るあたりはただのミーハーなランキングでもない。プロならではの選曲だ。
でも改めていいランキングだな。おもしろいな。令和の若者がジャンルも年代も問わず音楽を聴いているって、こういうことだったんだな。普段ボカロ曲ばかり作っているあの子も、もはやおじさんには聞き取れない早口で歌っているあの子も、顔も見せてくれないで迫力のある歌を歌っていたあの子も、やんちゃな格好して汚い言葉で相手をdisっているあの子も、平成のあのJ-POPを楽しんでいたんだな。おじさんは嬉しい。
今後彼らの音楽も聴いてみようかな。名前を憶えていられれば、だけど(泣)。