俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

おじさんの生涯学習

『関ジャム完全燃SHOW』(テレビ朝日系)の人気企画「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」。毎年楽しみにしている企画なのだが年々知らない曲が増えてきて今年はほとんど知らない曲・アーティストばかりで辛くなってきている。今回は音楽プロデューサー・蔦屋好位置さん、作詞家のいしわたり淳治さんに加え、シンガーソングライターの佐藤千亜妃さんが2022年のマイベストを選曲。

3分の2は見たことも聞いたこともないアーティストで、知っている曲が「Habit」「KICK BACK」「ミックスナッツ」の3曲のみ。ああ、ここまで来たか。

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今年50歳になるおじさんには辛い現実だが、全てを拒絶して老害まっしぐらになるのもなんだしな。ボケ防止のために少しは頭に入れておこうかな。

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とはいえ、まあ眠たい曲が多い。よく言えばChillなんだろうけど。

なんでもコロナ禍で外出しにくい中、部屋の中でなんとなく作曲してTikTokかなんかにあげたらバズっちゃってすぐにタイアップなんかがついちゃうみたいなことがここ数年多いらしい。部屋の中で作るからボソボソしゃべるように歌う歌が多いようだ。

昭和生まれのおじさんはロックとかJ-POPで育ってきたもんだから、イマドキの眠たい歌が苦手。「TikTokでバズった!」「○億回再生!」と言われてもTikTokをやっていないおじさんには寝耳に水だし、「これは恋か?」とか「SNSに振り回される日常!」なんてことを若い人が歌っても共感ができない。おじさんは通ってきた道なので「まあ、若い頃ってそういうもんだよね」くらいにしか響かない。さらに音楽もやっていない普通の大学生がなんとなく曲を作ってSNSに挙げたらバズって1~2年後には大金持ち!という流れもなんとなく癪だ。おじさんが若い頃は売れないバンドはライブのチケットを売って、少ない客の前で歌って、バイトしながらオーディション受けたりデモテープを事務所に送ったりしてやっとデビュー!みたいな感じでみんな苦労してたんだよ!それなのにイマドキのやつは簡単に売れやがって!しかも歌っている内容が眠たい!

もうおじさん、おばさん、じっちゃん、ばっちゃんは音楽の世界からは相手にされてないんだな、もう昔の曲を聴くしかないんかな、とつくづく思った。思ったのだがこの2日間なんとなく考えてみた。

「そういえば数年前に『関ジャム』の同企画であいみょんや藤井風、髭男なんかが出てきたときも”だれだコイツ?””なんでこんなに評価されてるんだ?”と思ったものだが、今では3名とも僕のお気に入りでカーステレオからガンガン流している。もしかしたら今年ランクインした人も数年後にはそうなるのか?」

で試しに水曜日のカンパネラの『エジソン』とasmiさんの『PAKU』をYoutubeのTHE FIRST TAKEで観てみたのである。そうしたらこれがもう・・・「なるほど、これは・・・売れるわ」と言わざるをえない代物だったのである。

asmi - PAKU / THE FIRST TAKE - YouTube

水曜日のカンパネラ - エジソン / THE FIRST TAKE - YouTube

いやぁ・・・すごいね。水曜日のカンパネラの詩羽さん。どこに隠れてた?今まで。

思わずWikipediaで調べてしまった。

詩羽 - Wikipedia

水曜日のカンパネラのプロデューサーは前ボーカルのコムアイさんの時と同様、オーディションではなく雰囲気や人間性、考え方でボーカルを選んだそうで、歌を聴かないまま採用したという。内気で人見知りでコミュニケーションが苦手な女の子(詩羽さん)が精神的な辛さを乗り越え、見た目を一新して自己肯定感を高めて今に至るというが、現在のパフォーマンスを見ると、そういう過去を乗り越えた人にしかできない感じだ。反対のほうに大きく振り切っている。

歌がうまいのはもちろんなんだが、とにかくセルフプロデュース能力と表現力がずば抜けている。奇抜なファッションも英語っぽい発音も、表情の作り方や振り付け、立ち回り、カメラへの映り方も全部、デビュー1年半とは思えないほど堂に入っている。一発撮りのTHE FIRST TAKEがまるで編集後のPVのように最初から最後までバシッと決まっている。おじさんはもう詩羽さん劇場にくぎ付け。動画を観ながら「うわ!なんだこの子!ピアス怖ぇ~。あ!でもいい表情!なに?発音!これもすごい!う~む、あざとい!でもいい!同世代の女の子から支持されるのもわかるな。モデルもしてるからかな?見られ方のうまさよ・・・」。本当にこの子の表現力は天才的。こんな即戦力、よく見つけてきたな。曲といい審美眼といい、プロデューサーもすごい人なんだろうな。

そしてasmiさんの『PAKU』。なるほどな。これも・・・バズるのわかるわ。僕はTikTokなんてやらないが、曲や歌唱だけでも惹かれるものがある。この曲を作った人もすごいな。歌詞も曲もキャッチー、転調したラップもかわいい。歌はもちろんうまい。なんか力を抜いた感じで歌っているのがイマドキなんだけど、抜き加減が絶妙。昭和や平成の歌姫はいかにパワフルに、POPに歌うかに力を入れていたように思うけど、令和の歌姫の脱力感はこれはこれですごい。あんなに転調したり早口で歌ったり裏声になったりって相当難しい技術だと思うけど、それをいとも簡単に軽やかにこなしてしまう感じ。鼻歌を歌うようでもあり、独り言を言っているようでもあるのに、難しい曲調を淡々と歌いこなしてしまう。ラップってもっと激しく気を張って歌うもんだと思ってたのに(詩羽さんもそうだが)気負いがまったくなく、軽やかに、スキップを踏むような気楽さでケロッとこなしてしまう。若いのに古武術の達人のような力の抜き方だ。なんなの令和の若者って?なんでこんなことができるん?

とりあえずこの二人の曲はカーステレオに入れておくことにしました。

んで今回わかったことは・・・俺、なんだかんだいって”あざとかわいい”女の子に弱いな。気持ち悪いおじさんだ・・・。