俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

令和おじさんのプール事情

先日、家族でプールに行った時のこと、僕はあることに気づいた。上半身裸の男性がめちゃくちゃ少ないということだ。あれ?いつの間に?実は我が息子は生まれた時からずっと上半身も水着を着ていたので「小学校に入ったら上半身裸だぞ!今のうち慣れておいたほうがいいぞ」なんて笑って言っていたのに、気が付いたら僕の周りの大人はみんな上半身に水着を着ていたのである。乳首丸出しの僕はとたんに恥ずかしくなってしまった。まるで原始人が現代にタイムスリップして羞恥心を覚えた、みたいな。そんで嫁に頼んで買ってもらったのである。”ラッシュガード”なるものを。令和のおじさんはラッシュガードを着てプールに入るのである。

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昭和48年神奈川県に生まれ育った僕は、プールの作法は全て学校で習った。もっこりが目立たないようにきつめのサポーターを履き、緩めの水着を着用。泳ぐ前は念入りに準備運動。足首シャワー→蟯虫殺しの腰まで浸かる水槽→シャワーと徐々に体を慣らし、最後にプールの水を心臓にバチャバチャかけて入るという用意周到さであった。いきなりドボンと入れば教師の怒号が飛び、プールサイドは当然走ってはダメ、塩素臭いプールで目を開けて酷使し、水泳後は強烈な水圧の目のシャワーでさらに目を鍛えた。

夏休みに市民プールに行ったときでもこの手順を律儀に守っていたが、プールではしゃいで監視員に怒鳴られたことも結構あった。今思えばバイトの大学生だったんだろうけど、子供心に厳しくて怖い人に見えたな。市民プールなどは休憩時間も強制だったので全員がプールから上がらされ、その間プールサイドで母親が用意してくれた弁当のおにぎりとかウインナーを食べたりしてたな。今、弁当持ってプールに行くってのも珍しいんだろうけど、あれはあれでほのぼのして楽しかったな・・・。

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そして令和5年。僕は立派なおなかの中年男性となった。子供ができるのが遅かったもので、小学2年生のお父さんにしては年上の49歳。息子と同じ学年のお父さんはほとんど30代なので見た目も体力的にもきつい。でも子供をプールやら遊園地やらに連れて行かなければならない。で、水着になるんだけど「昔と変わってきたなぁ」と思うことが多い。

(*ちなみに僕は現在マレーシア在住なので以下はマレーシアのプール事情)

①運動、シャワーを省略

30代くらいまでは海外のプールでも律儀にちゃんと運動をして、シャワーを浴びてからプールに入っていた。運動をするのは心臓麻痺を防ぐため。シャワーを浴びるのは汗とか埃を落とすため。銭湯に入る時かけ湯するようなものか?でもここ数年、周りの人がみんな服を脱ぎ捨てるとすぐにプールに入っていることに気づいた。だから最近は僕も準備運動なし、シャワーなしでプールに入るようになった。プールに入る前に運動したりシャワーを浴びたりすると「昭和のおじさん」というか「律儀な日本人」みたいでカッコ悪く感じて恥ずかしくなったのも大きい。が、加齢とともにプールの水が妙に冷たく感じるようになったので、ガチガチ震えながらゆっくりゆっくり足から入るようにしている。これはこれでカッコ悪い。

②泳がず遊ばず

競技用の25メートルとか50メートルのプールならともかく、子供が遊ぶようなプールで泳ぐ大人はみっともない。ウォータースライダーなどもアラフィフのおじさんが笑顔で滑ってくる姿はみっともない。お父さんは子どもが遊ぶ姿を優しく見守り、子供が迷子になったり連れ去られたりしないように常に目を配り、おぼれたらすぐに助けにいける距離で水に浸かっているのが正しい。が、正直言うとウォータースライダーを思いっきり滑りたい気持ちはある。昭和のプールにはイマドキのスリル満点のやつはなかった。せいぜい波の出るプールとか流れるプールとか、飛び込み台くらいだった。正直大学生のようにはしゃぎながら遊んでみたい気もするが「アラフィフの大人としてそれはできない!」と自制してしまう自分がいる。8歳の息子は臆病でスピードが出るものを一切拒否してしまうのも歯がゆい!息子が「一緒にやろうよ!」と僕を誘ってくれて、僕が「しょうがねぇなぁ」なんて演技をしながら一緒に滑るのが一番都合がいいのに、息子はそれをしてくれない。おじさんのプールは浮かぶだけ、浸かるだけ。温泉か!

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③そして”ラッシュガード”!

水着は恥ずかしくないけど、腹の出っ張りは恥ずかしい。色白なのもちょっと弱弱しい。だから今までプールの時はちょっと腹を引っ込めていたのである。プールに来ているお父さんたちの筋肉、腹の出具合、水着のセンス、胸毛、腋毛、すね毛、乳輪の大きさなどを細かくチェックし「よし、勝ってる(?)」なんて訳のわからない評価をして無理やり納得していたのである。細マッチョな若いお父さんに負けないように、プールでは腹を引っ込めて胸を鳩のように膨らませて偉そうに歩いていたのである。なのに今度はみんなラッシュガードを着るようになったのである。「ケッ!カッコつけやがって!」とは思ったものの、最近では男性もほとんどがラッシュガードを着て、上半身裸派のほうが珍しくなってきたのである。僕はとたんに自分の乳首が恥ずかしくなった。そして腹が恥ずかしくなった。

んで奥さんに頼んで買ってもらったのだが、着てみるとこれが実にいいのである。黒地に蛍光黄緑の長袖のラッシュガードは派手で大げさかと最初戸惑ったが、まず日焼けの心配をしなくていい!僕はこれまで特に肩がバンバン日に焼けて剥けてしまいがちだったのだがその心配が全くない。そして乳首も腹もギャランドゥも隠れるのが実に良い!プールサイドを歩いていても人の目が気にならない!以前は「上半身裸は俺だけか・・・」という羞恥心でプールを楽しむどころではなく、手ブラで乳首を隠しながら歩こうとも思ったが、ラッシュガードを着てから妙な自信がついてきて、胸を張って歩けるようになった。いいな、これ。令和を生きるおじさんはラッシュガードだったんだ。息子よ、これでまたプールに連れて行ってやれるぞ!

モデルが素敵