先日、中央線に乗ったときのこと
土曜日の昼すぎだったので車内はすいていたが、僕は健康のためあえてドアの横に立っていた。
すると、とある駅でびっくりするくらい「オバケのQ太郎」に似た女性が乗ってきた。
白い肌、はれぼったい二重、大きな唇、マシュマロのような丸い顔・・・
そして何よりもその女性には眉毛がなかったのだ!
そう、まずそれに気づくべきだった。
その女性が電車に乗った瞬間、「あっ!オバQ!」と認識してもらったため気づくのが遅れたが
なんといっても眉毛のない女性が電車に乗ってきたきたときのインパクト!
すごいな~、気合入ってるな~と思いながら、僕はその人に釘付けになった。
しかしもしかしたらその人はそういう体質の人(毛が薄い人)なのかもしれない。
白血病かもしれないし(?)
そう思うとなんか髪の毛もズラに見えてきた・・・
ま、あまり眉が薄いことを言うのも悪い
僕はまた窓の外を見ながら、「世界の車窓から」のテーマ曲を鼻歌で奏でた
ふと視線を車内に戻すと、例のオバQは空いている座席に腰を下ろしていた。
そしておもむろにバックを開け、中から化粧道具を出した
そして鏡を一睨み
まゆげのない目で鏡を睨みつけるその表情に並々ならぬ気合を感じる
そしてそのオバQはなんと眉毛を描きはじめたのだ
「え!もったいない!」
僕は即座に思った。
しかしそんな僕の思いをよそに、オバQは、それはそれは真剣に眉毛を描き始めた。
真っ白なキャンパスに、少しずつ描き加えられる黒いライン
僕は5mほど離れたところからその様子をじっと見ている
一本、二本、三本、四本
みるみるうちに太くなっている眉毛
「おい!おい!もうええやろ!おい!まだいくか!?おい!バケラッタ!!」
電車の揺れで思ったとおりに決まらなかったのだろうか
まるで”珍獣ハンター井本”のように、徐々に太くなっていく眉毛
しかし僕以外の乗客はまったくオバQに興味がない様子
おいおい!なんで?こんなおもしろいのに?
オバQは僕の視線などまったく気にならないように鏡の中の自分を凝視している
「ずいぶん気合が入ってるな。まさかコンパ?しかしまだ昼の1時過ぎだし。デート?オバQがデート?」
う~む、しかしシャワーを浴びた瞬間、眉毛が落ちて彼氏もびっくりするだろうに・・・。
それとも今日はシャワーまでいかないのかな?
初めてのデートかな?
実は眉毛が生えてないって、意外に気づかないもんかな?
でもキスするような場面になったら顔も近づけるだろうし・・・
電車が新宿に着くころ、オバQの眉毛は完成していた。
あの真っ白い顔に、くっきりと書かれた眉毛
確かに改めて眉毛のある顔を見ると、オバQには見えない。
もともと色白だけに、ファンデーションいらずだし
身だしなみもばっちり。
たとえコンパでも、デートでも大丈夫!
やっぱり一人前の女性ならすっぴんじゃ恥ずかしいもんね。

というか、
うちから駅までオバQのままで恥ずかしくなかったんか!
乙女心は難しいっす・・・