ここは某大手飲料メーカーの開発部
部長「う~む、なるほど」
珍太「どうしたんですか、部長。All Aboutの記事見て唸ったりして」
部長「これを見てみろ」
珍太「なになに・・・『市場を狭めたのにヒット、朝専用商品ブーム』?」
部長「最近、朝専用商品を謳った商品がヒットしてるっていうんだ。」
珍太「へ~そうなんですか。」
部長「その代表的なものがうちのコーヒー部門が出してる”ワ○ダ・モーニングショットだ」
部長「なんでも入念な市場調査の結果、現代のビジネスマンの8割が朝型生活を希望していて、朝の必需品はネット、メール、そして缶コーヒーという結果を引き出したらしい。それに実際に缶コーヒーを飲むビジネスマンは朝に飲む人が40%に上ったそうだ。そこから”朝”は缶コーヒーの隠れた大市場だということに気づいたそうだ。」
珍太「へ~すごいっすね。そういえば朝に缶コーヒー買う人って多いですもんね。」
部長「確かにな」
珍太「缶コーヒーを買う人の40%が朝買うかあ。この”40%”って数字が妙にリアリティありますよね。」
部長「ちゃんとした調査の結果なんだろう」
珍太「なんか、『調査の結果』なんて言われちゃうと、それだけでみんな飲んでるような気がして、『それなら僕も買おう』って思っちゃいますね。」
部長「まさに狙いどおりだな」
珍太「でも残りの60%は朝買わないんだったら、ターゲットは午後にしたほうがいいんじゃないですか?」
部長「ふむふむ、確かにな」
珍太「それにコーヒー飲料はもう飽和状態ですよ。もしうちが新商品を出すんだったら差別化をはからないと」
部長「例えば?」
珍太「『午後の紅茶』なんてどうですか!?」
部長「すでにあるよ!馬鹿なこと言ってないでお前も市場調査でもしてこい!ただでさえうちの部署は会社のお荷物扱いなんだから。なんか使えそうなデータ取ってこい!」
珍太「へ~い」
1週間後
珍太「部長!部長!調査してきました。すごいっすよ!」
部長「なんだなんだ。どうしたんだ?」
珍太「84%っす!84%の人が肯定的な評価をしました!」
部長「本当か!」
珍太「マジっす。もうワ○ダなんて目じゃないっす!なんたって84%ですよ!」
部長「くぅ~、我が社に入社して25年。ずっとコーヒー部門に負けていたが、ついにうちもヒット商品を生み出すときが来たな。これで特別ボーナスでも出れば家のローンも返せて、息子を大学へ・・・」
珍太「部長!なにごちゃごちゃ言ってんですか!もうCM作っちゃいますよ!」
部長「お、おう。頼むぞ!よっし、これがヒットしたら自分へのご褒美にキャバクラへはしごして、Melty kissの綺羅々ちゃんにプレゼントを買ってアフターもお願いして・・・」
珍太「部長!CMタレント、安めぐみさんでどうっすか?」
部長「OH!安めぐみちゃん、超好き!癒されんだよな~安ちゃん見てると」
珍太「実はもうポスターも作っちゃってんですよ」
部長「何だよ~先それ言えよ~。どれどれ?」

部長「・・・・・・」
珍太「どうっすか?84%ばっちりアピールしちゃいました。これでみんなつられて買っちゃいますよ。消費者なんてバカばっかりですから。こんだけみんなが評価していたら買っちゃいますよ」
部長「お前・・・84%って」
珍太「すごいでしょ?『健康水を飲むときれいさっぱりしてくれそう』って答えた人が84%もいたんですから」
部長「で、実際にきれいさっぱりになるの?」
珍太「それはわからないっすね」
部長「・・・これ、うちの商品を飲んだ人が『きれいさっぱりしてくれる感じがする』って答えてくれたんだよな?」
珍太「いえ、一般的にってことっすよ。一般的に健康水を飲んだらみんなきれいさっぱりしてくれそうな気がするみたいっすね。」
部長「・・・健康水って・・・何だよ」
珍太「え?健康な水っすよ。ミネラルウォーターみたいな?」
部長「・・・・」
珍太「それだけじゃないんですよ。下の結果を見てくださいよ!」
駅に着いたのにこのまま座っていたいと思ってしまった人には健康水がいいと思う 80%
お弁当のカロリーをチェックした人は健康水がいいと思う 84%
たくさん食べた時は健康水だと思う 74%
昼食の後は健康水がいいと思う 67.7%
珍太「もう軒並み高評価っすよ!」
部長「というか、みんな一般論だろーが!!実際、うちの商品飲むと健康になんのかよ!!」
珍太「そりゃ無理っすよ。ただのミネラルウォーターだもん!」
部長「死ねこりゃ!!」

*このお話はフィクションです。健康水は体にいい!と僕も思いますよ。一般論として。