俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

仕事が趣味の人は不幸か?

最近、思うことがある。それは“仕事に行けるってつくづくありがたいな”ということ。趣味がないおじさんにとって、仕事って唯一の救いであり、癒しである。なんだったら“趣味”かもしれない。“仕事が趣味”というとなんかものすごく仕事がデキる人か、プライベートの時間が全くない社畜かといったイメージだが、僕の場合は本当に健康維持・リラックス・充実感・ご褒美、などを兼ね備えたものが”仕事“だ。

使いたい・・・使いどころが分からない「いらすとや」のイラスト20選 | 笑うメディア クレイジー

そもそも、趣味ってなんのためにするのだろう?

草野球、フットサル、ゴルフ、マラソンなんかのスポーツは、「健康維持」や「ストレス解消」「社交」なんかが目的なんだろうな。もしかして“記録”を狙うことでチャレンジ精神や向上心なんかを磨いているのかもしれない。

映画・ドラマ鑑賞、カラオケ、絵画、バンド活動なんかの芸術系はどうだろう?やはり「ストレス解消」というのが目的になるんだろうな。仕事や勉強のストレスも趣味をしている間は心が静かに安らかなったり、反対に思いっきり表現することによって発散させたりできるしね。

アイドルやアーティストのファン活動、ゲーム、SNS投稿なんかは今っぽいな。“現実逃避”っていうのもあるかもしれない。それに没頭している間だけは何もかも忘れられる、みたいな。一人でしてもいいし、仲間と趣味について話し合っても楽しそうだ。業界に詳しくなったり、歌や踊りが上手くなっていくのも自尊心が芽生えていいかもしれない。

食べ歩き、旅行、風俗巡りなんかは刹那的だがそれをしている間は幸せだろうし、家庭菜園・料理・習い事なんかは実益も兼ねてそうだ。

ただ、僕はこれらに一切興味がない。もちろんいくつかはやったことがあるが、趣味として継続したことはない。なんか・・・ハマらないのだ。「何が面白いんだろう?」と思う時さえある。が、僕が趣味を持てない一番の原因は「お金がかかるから」ということだろう。僕は生まれついての貧乏性で、”本当に価値があるもの“以外にお金を使いたくない性分なのだ。

心を病む人のイラスト(男性) | かわいいフリー素材集 いらすとや

が、さらに厄介なのは「実は趣味を持っている人を羨ましがっている」ということだ。これが実に厄介で、他の人が仲間と楽しそうにスポーツをしたり、ゲームをしたりするのを遠目に観て「いいな・・・」と思うことがよくあるのだ。それなら同じ趣味を初めて仲間に入ればいいのにと思うかもしれないが、「そこまで1つのことにハマりたくないんだよな」「俺は正社員じゃないから将来のために貯金しなきゃならんし、自由に使えるお金もないし」「仕事より趣味を優先できる独身者とは違うし・・・」などと言い訳ばかりしてブレーキをかけるもう一人の自分がいるのだ。

そんな僕が一番困るのが“長期休暇”である。趣味のないおじさんにとってはこれが一番困る。家族と2泊くらいの旅行の予定が入っていればなんとかなる。問題はせっかくの長期休暇なのに息子は部活の合宿や学校の友だちと遊びに行く約束、妻はママ友とランチや習い事なんかで誰も僕の相手をしてくれないときである。

僕は酒もほとんど飲まない、ギャンブルもしない、趣味がないから友だちもいない、つまりほとんど時間をつぶせないのである。なんとなく掃除をしたり、なんとなくテレビを見たりスマホをいじったり、なんとなく昼寝をしたり散歩をしたりして時間をつぶすのだが「この間に仕事をして稼いでいる人がいるというのに、俺はなんて無駄な時間を過ごしてしまったんだ・・・」と後悔ばかりが頭をよぎり、結局休暇を充実させることができないで終わる。

無気力な人のイラスト(中年男性) | かわいいフリー素材集 いらすとや

こんな時僕はいつも「ああ、長期休暇なんかなくていいのに」「平日に半休をくれるだけでいいのに」なんて思ったりする。別に仕事が大好きなわけでもないし、優秀なわけでもない。でも仕事に行くのは好きなのだ。「勉強は嫌いでも学校は大好きな小学生」みたいな感じか?

だって仕事があるといいことづくめだ。

まず朝早起きして朝ごはんを食べる。外出をして日の光を浴び、外の空気を吸う。実に健康的だ。また職場で食べるお菓子とインスタントコーヒーはそれなりに旨い。家で飲むインスタントコーヒーはひもじい感じがするが、デスクだと「仕事をやってる感」が出る。そして昼飯までのワクワク感がいい。「今日は何を食べようかな」と考えている時間は楽しいし、愛妻弁当は弁当で中身を予想しながら過ごせていい。午前中は時計ばかり見ながら「早くお昼にならないかなぁ~」なんて過ごしている。

昼飯を食い終わってから見るYoutubeは家のソファで見るYoutubeと全く違う。「昼休憩が終わるまであと12分!俺が観るべきものは・・・」と真剣に選び、真剣に観る。ダラダラ見ないから充実している。会社で見るSNSは禁断の果実だ。このスリルがたまらなくいい。

仕事は仕事でそれなりに楽しい。上司や部下の顔色をうかがい、事なかれで会議が終わった時の安堵感。たまに仕事がうまくいったときの興奮!そして仕事と関係ない話をしている時の妙な盛り上がり!仕事だけでつながってると思っていた同僚に妙に親近感が湧いたりして、「ああ、仕事と関係のない話ができるっていいなぁ」「仲間っていいなぁ」と勘違いをさせてくれる。

通勤もいいな。満員電車はスポーツのようでもあり修行のようでもある。あのぎゅうぎゅう詰めの数十分を目を閉じ、何も考えず・何も感じず・無の境地を保ち続ける感じがいいね!電車から降りて会社まで歩くときに「街路樹が色づいてきたな~」とか「このビル、新しいテナントが入ったな!」「むむ!蝉の死骸!」なんて発見をするのも素敵だし、たまに缶コーヒーを飲みながら「あのOLさん、キリっとしてんな~、仕事できるんだろうな~。付き合いてぇなぁ」「あのカップル、不幸な別れ方せんかな~」「あいつ若いのにいいスーツ着てんな~」「俺も大企業の幹部ってもんになってみてぇなぁ。どんな人生になるんだろう?」「あの爺さん、生気ねぇなあ。俺も年を取ったらこんなみすぼらしい爺さんになるんだろうなぁ~」なんて人間観察するのも楽しい。

しかもこれらがほとんどタダで楽しめるのである。タダどころか、仕事に行けばお金がもらえちゃうのである。

これらは全て仕事に出ていなかったらできないことだ。僕が仕事に出ることは「健康維持」「ストレス解消」「社交」「現実逃避」「実益」すべてを備えている。だから僕にとっては“仕事が趣味”。仕事に行けるってことはつくづく・・・・ありがたい。

おじさんサラリーマンのイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや