俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

年賀状は書かなかったけれど・・・

それは今年の元旦の話。朝からパソコンに張り付いている僕を見て、嫁が「なに?正月から仕事?昼飯どうすんの?」と聞いてきた。時計を見るともう12時近い。気づけば2時間半もお年賀メールやお年賀SNSを打っていた。

あれ?おかしいぞ。年賀状を出す枚数は年々減ってきて、今年はとうとう年賀状を1枚も出さなかったというのに、いつもより忙しくあいさつをしている気がする・・・

あけおめスタンプ2023「おみくじ」の引き方を解説! : LINEスタンプ公式ブログ

僕はここ数年、仕事で海外を転々をする生活をしている。郵便事情もあるが年賀状替わりのハガキが日本にちゃんと届かないこともあり、その数も減らしていき、昨年はこのブログで「年賀状は5枚しか出さなかった」ということを書いた。

人間関係リセット症候群 - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)

その代わりといってはなんだが、メールやSNSで簡単にあいさつを済ませることにしたのだが、それがかえって面倒なことになっている。

調べてみると、LINE(日本にいる知り合い)は2通だが、メール(恩師やそれほど親しくない知り合い)が9通、SNS(海外での仕事仲間)が26通と、年賀状より全然多くの人に挨拶をしているのである。

お昼のお雑煮を食べながら僕は考えた。

「もしかしてまたやってしまったかもしれない」「『年賀はがきを送ることはもはや嫌がらせ。相手に迷惑をかけているかもしれないから年賀はがきをやめよう』と自分に言い聞かせたはずなのに、今度はメールやSNSのメッセージで同じことをしているのでは?」

僕は普段から人付き合いが悪い。律儀だが無口。そんな男から正月早々メールやメッセージが届くのである。仕事仲間といっても今年50歳になる僕には部下にあたる人たちもいる。そんな人から先にメッセージが届くのである。もちろん皆返信はしてくれるが「めんどくせー」「返事しないのも哀れだしな、あの人友達少なそうだから拗ねるかもしんねーし。しゃーねーな」なんて思いながら返信をしてくれたのかもしれない。

正月の午後になってからも僕のスマホはメッセージ受信をつげる音がピンピンと鳴り続けたが、それが来るたびに申し訳ない気持ちになってきた。中には「ここ数年、新年のあいさつを辞めてしまったのでメッセージをくれたのはあなただけです。嬉しかったです」なんてことを書いてくれる人もいた。これを本心と取るか社交辞令と取るか、はたまたイヤミと取るか・・・。鬼ごっこの鬼となっていた僕は息子を本気で追いかけながら思い悩んだ。

みんなはどうしているんだろう?年賀状、書いているのかな?それともグループLINEとかで簡単に済ませているのかな?はたまた「今時、新年にあいさつなんかしない」なんてことになってるのかな?僕はリビングで8歳の息子にカナディアン・バックブリーカーをかけながら考えた。

そういえば、年賀メッセージを送った相手はもう業務上の付き合いはなく、年に1回(か2回)あいさつするくらいの浅い付き合いの人が多い。仮に今後一切連絡が取れなくても大きな問題はないのだ。向こうもそう思っているだろう。でもねぇ、元々友達が少ない僕は、年に1回のご挨拶がなくなってしまったら、本当に孤独な老後になっちまうんだよな。

夜、お風呂に入り、天井から落ちる滴を見ながら「しょうがない。これはもう”自己満足”と割り切ろう。相手には少し迷惑をかけるかもしれないけど、あいさつをしなかったらしなかったで『本当にそれでいいのか?』っていつまでもウジウジ後悔することになる。俺はそういう奴だ。だから自分のために挨拶を送る。それでいい。返事も求めない!」

皮をかぶった息子のちんちんを洗いながら「お前はいいな。年賀状がない世代だし、スマホもまだないし。」「俺みたいな面倒な大人になるなよ」と声をかけ、風呂上がりのヤクルトで乾杯した。

世論調査のトリセツ)年賀状離れ…大切だとは思うけど:朝日新聞デジタル