先日、テレビで『これが定番!世代別ベストソング ミュージックジェネレーション』(フジテレビ系列)を観ていて、おもしろい場面があった。
この番組は昭和、平成、令和の3世代の定番ソングをテーマ別に調査。アンケート結果からみる“世代別ベストソング”を貴重映像とともに発表していく映像バラエティーで、年に数回スペシャル番組が放送されている。
世代別ベストソング4時間スペシャル! 今回のテーマは旅・ダンス・カラオケ・バラエティ番組! - フジテレビ (fujitv.co.jp)
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で、今回のテーマ「旅に出たくなる曲」のランキングを発表していた時のこと。最近は”昭和がエモい”とか言われて昭和歌謡やCity Popがもてはやされたり、TikTokで昔の曲が掘り起こされていたりしているので、昭和や平成の「旅に出たくなる曲」の紹介VTRが流れても令和世代代表の藤田ニコル、村重杏奈、ゆうちゃみ(古川優奈)ら若い女性ゲストも反応が良い。
米米CLUBの「浪漫飛行」が流れれば「これ知ってる!」、奥田民生の「さすらい」「イージュー★ライダー」が流れれば「おじさんたちカラオケで歌ってる!」、ミスチルの「終わりなき旅」が流れれば「かっこいい!」とリアクションをしてくれる。群雄割拠の女性バラエティタレントの中で勝ち上がってきた子たちはテレビのことをわかっている。昭和・平成の曲でこれだけ楽しんでくれたらおじさん・おばさん視聴者からの好感度もばっちりだ。
なのに唯一、小沢健二の「僕らが旅に出る理由」のVTRが流れた時だけ令和世代はリアクションできず、全員頭の上に「?」が出てしまい、無言・無表情でワイプに映ってしまったのである。これがあまりにおもしろくて笑ってしまった。
確かに小沢健二は難しい。リアルタイムで見ていた僕だって評価が難しかったのだ。令和の女性タレントがリアクションできなくても仕方がない。
ルックスも”イケメン”ではないし、かといって不細工でもない。ファッションも髪型も特別おしゃれという感じでもないが、ダサいわけでもない。フツーだ。
歌も下手じゃないんだけど、うまいか?って聞かれたらちょっと返事に困る。令和のアーティスト、歌い手さんはみんな本当に歌がうまい。素人Youtuberでもメチャメチャハモってきたり、カラオケで100点を取るような歌のうまい人はたくさんいる。そういう人たちの歌声に慣れている令和の若者がいきなり小沢健二の歌唱を聴いたらそりゃあキョトンとするだろう。「ん?どういうこと?」「歌手なの?」「本当に売れたの?」「え?大学生のカラオケ?」そんな反応をするに違いない。「なんでこの人が売れてたの?なんでこの歌が支持されてたの?」って聞かれたら、こちらとしても返答に困る。「ん~~~~~・・・なんでだっけ?」
でもこの曲は本当にすごい曲なのだ。ちょっと調べただけでも、Bank Band、フジファブリック、Official髭男dismなんかがカバーしているし、ぼくらの世代が「旅に行きたくなる曲は?」って聞かれたら絶対にこの曲は思い浮かべる。もう「僕らが旅に出る理由」というタイトルを付けただけで大勝利なんだけど、印象的なフレーズやリズム、アレンジも随所に散りばめられている。
というか、小沢健二自体が本当はすごいアーティストで、当時から「カローラⅡに乗って」「ラブリー」「今夜はブギーバック」など印象的なヒット曲をたくさん出していたし、多くの曲が有名アーティストによってカバーされているのだ。(特に「今夜はブギーバック」をカバーしているのは宇多田ヒカル、Kreva、加藤ミリヤなど大物揃い!)。
小沢健二 今夜はブギー・バック ("DISCO TO GO" LIVE) featuring スチャダラパー - YouTube
これだけ名曲を残しているんだから、本当にすごいアーティストなんだろうけど、じゃあその凄さを令和の若者に説明できるかということ、これがまた難しい。
歌詞がものすごく良くて共感できる!というわけでもないし、カリスマ性があって人を惹きつける!というよりはキャラクターが面白すぎてよくダウンタウンにいじられてたしな・・・。「とりあえず聴けばすごさがわかる!」かというとその自信もない…。
だから令和の若者には理解できないかもしれない。ま、僕もそれほど熱心に小沢健二の凄さを伝えたいというほど彼のファンでもないから別にいいんだけど。
でも昭和・令和を過ごした人にとってオザケンの中毒性はすごいのだ。僕は未だにふとした時に「僕らが旅に出る理由」「ラブリー」「今夜はブギー・バック」を思い出してしまうし、思い出してしまったら最後、しばらくの間その曲のフレーズがリフレインしてしまうのだ。3日くらい。
きっと本当の天才の凄さは言葉で説明できない、ということで「コレよくない?よくないコレ?よくない なくなくなくなくない?」