ものまね芸人の原口あきまささんが最近、ものまね業界の扱いとその未来についての提言を繰り広げ、話題になっている。
原口あきまさがまさかの告発…「ものまね界の松本人志」として改革なるか(木村 隆志) | マネー現代 | 講談社 (ismedia.jp)
ものまね芸人がもっと尊重され、若い世代が伸び伸びと活躍でき、ものまね業界が発展していくことを心から願っている原口さん。
ものまね番組が大好きな僕ではあるが、実は僕自身はものまねの未来にあまり明るい兆しが見えていない。テレビしか娯楽がなかった昭和なら「森進一のまね」を国民全員が共感できたが、「ヨルシカのsuisのものまねをします!」って言われる令和のものまねに未来はあるか???
原口あきまささんが勝俣州和さんや鬼越トマホークさんのYoutube動画で発したものまね業界の告発は以下の通り
・テレビでは新しいスター誕生を後押し。若い歌マネ芸人が押され、コロッケ・原口・ホリなどしゃべりマネを軽視
・コロッケさんの”功労者を見捨てないで”という言葉に涙した原口さんの姿が、若い歌マネ芸人が優勝した後に編集でいれられ、勝手にストーリーを変えられた。
・本人を知らない若いアイドルなどがものまねの審査員席に座っている。
・自分たちの世代が審査員席に座るような番組を作るべき。
などなど。
原口さんのものまねに対する熱い思いが垣間見える。
【原口あきまさ】モノマネ界の闇を大暴露・・・【鬼越トマホーク】 - YouTube
【鬼越トマホーク】知名度の割に登録者が少ない原口あきまちゃんねるを救え!!【コラボ】 - YouTube
【原口あきまさと勝俣州和】YouTubeとテレビとものまねの話【芸能界を生き抜いてきたふたりのテクニックを大公開!】 - YouTube
でも気になったことがいくつかある。一つは鬼越トマホークのYoutubeチャンネルでの出来事。登録者も再生数も伸びない原口さんが鬼越に「どうすればいい?」と相談。鬼越の二人は「原口さんのものまねは(Youtubeでは)古い」「Youtubeチャンネルでは、Youtuberに特化したものまねをしたらどうか?例えば加藤純一さんとか」と提案。原口さんはこの提案に頷くことはなく、定番の加藤浩次さんのものまね等で返してその場は笑って終わった。
僕は”加藤純一”さんを知らなかったので調べてみたら、人気のゲーム実況者でYoutube界隈ではとても有名な方らしい。確かにYoutube再生数を上げたいと本気で考えるなら、鬼越の提案は的を得ている。若い視聴者、テレビを観ない視聴者も食いつくだろうし、ものまねされた側からもコラボの依頼も来るかもしれない。再生数は一気に伸びることは容易に想像がつく。
しかし果たして原口さんは思い切ってそちらのほうへ舵を切れるだろうか。原口さんとほぼ同世代の僕は原口さんの葛藤がよくわかる。Youtuberのものまねはできたとしてもテレビや営業では使いづらい。原口さん自身が「この人好き!ものまねしてみたい!」と思える人がYoutubeの世界にどれだけいるだろうか?
若者にウケるために好きでもない人のものまねをするべきだろうか。自分のポリシーを捻じ曲げてまでYoutubeの再生数を増やすべきだろうか。いや、テレビのものまね番組に出なくなった今、家族を養うためには何でもやらなければ・・・でも・・・誰やねん!加藤純一って!好きになれるのか??
僕はおじさんだが、そんな僕でもYoutubeやってみようかなぁ、インスタやってみようかなぁ、TikTokやってみようかなぁなんて考えたことがないわけではない。再生数を気にせず、自分の好きなこと、得意なことを気楽に発信できる図太い神経があればやっていたかもしれない。でも僕はお金がほしい。やるなら稼ぎたい。でも若者に迎合するのは・・・プライドを捨ててまで、他の人と同じようなことをして、再生数が伸びるノウハウに則って動画を作るのは・・・・たぶん耐えられない。
”有名なのにいまいちYoutubeの再生数が伸びない芸能人”はきっとそういうジレンマと戦っている。
原口さんといえば、さんまさん、東野さん、加藤浩次さん、高田純次さんら、その人の人間性まで憑依させ、本人なら言うであろうセリフを自然に出せる天才ものまね芸人。ここまで本人になれる人はプロのものまね芸人でもそういないし、今後もそう出そうにない。同世代の僕は原口さんのレパートリーはみんな好きなのだが、今後こういった人は出て来ないような気がする。
というのは、”若者のテレビ離れ”と”SNSでものまね発信”、”テレビの視聴者ターゲットをF1層へ”という傾向は今後も続くと思われ、「誰もが共感できるものまね」というのが減少していくことが予想されるからだ。
例えば僕は以前、こんなことを書いた。
フジのものまね番組を卒業す - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)
つまり、アラフィフの僕はYOASOBIのIkuraさん、「うっせぇわ」のAdoさんくらいならまだなんとかついていけるが、”緑黄色社会のボーカル”とか、”ずとまよのボーカル”とか言われても本人の声がわからず、”呪術回線のキャラクターを一人5役やります!”とか”ラブライブの●●ちゃんと▲▼ちゃんのまね!”とか言われても、もうお手上げ状態。審査員席のインフルエンサーが「似ている!すごい!」なんて言うのを今後は白けた目で見ていくしかないのだ。これでF1層がたくさん見てくれ、スポンサーが喜ぶなら企業としてはそうするべきだと思うが、テレビ大好きおじさんは悲しい・・・。
というか、SNSが発達し、若い人がそれぞれが自分の好きなものだけを見ていくようになると、もう自分の興味の対象外の歌手やキャラクター、俳優は「知らない存在」になり、ものまねをしても”共感”がしづらくなるのではないか。国民だれもが知っているアーティスト、俳優、キャラクターが減れば、ものまねの世界も細分化され、スターが出にくくなっていくような気がする。
個人的には原口さん、ホリさん、神無月さんらはマスターズみたいなものを作って、おじさん層を喜ばせてくれないかな?無理に若い人と一緒にやろうとすると、どちらにとっても中途半端なことになると思うんだけどな。松浦航大君も松山千春はやらんでいいよ。若者はきっと求めてない。