吉川晃司さんと言えば、僕らの世代はみんな”あんな風に年を重ねたい!”と憧れてやまない「カッコいい大人」の象徴。もともとイケメンで背が高く肩幅の広い逆三角形のかっちょいい肉体であったが、加えて”芸能界最強”とも言われた喧嘩の強さ!東日本大震災の時の男気!寡黙な性格に映える銀髪!僕の8つ上だから今年57歳!なのにあんなにギラギラして、めちゃくちゃかっこいい。男が憧れる男!それが吉川晃司。
しかし、僕は吉川さんに謝らなければならないことがある。昔のことだがやはり今のうちに懺悔をして、残りの人生をファンとしてすっきりした気持ちで応援したい。だからこその告白である。
僕は子供の頃、自分の部屋に2枚のポスターを貼っていた。それはチェッカーズと吉川晃司のものだった(当時は小学生だったので吉川さんのことも呼び捨て)。雑誌『明星』の付録に入っていたポスターだったので顔に折り目がついてしまっていたのだが、小学生の僕から見ても吉川晃司はカッコよかった。毎晩毎晩「かっこいいなぁ」とニキビ面の小学生であった僕はポスターを見ながら思ったものだ。吉川晃司は僕の中では”アイドル”だった。本人はアイドル扱いされたくなかったようだが、僕にとってはまごうことなき”男性アイドル”だった。
もちろん『ザ・ベストテン』などで出演シーンはできるだけチェックしたし、毎日のように近所の土手で吉川晃司の歌を歌って踊っていた。「うぉ~お、せっくす!せっくす!せっくす!せっくす!もう2かぁ~い!」なんて意味もわからず歌っていたな。習い事のエレクトーンで「You Gotta a Chance!」を弾いたこともあった。とにかく吉川晃司にハマっていた。
高校生ぐらいになるとカラオケなんかにも行くようになったが、友だちがBOWYの「Only you」を歌っている中、僕は相変わらず吉川晃司を歌っていた。友だちがCHAGE and ASKAの「SAY YES」を歌っている中、僕は「MARLYNE」「すべてはこの夜に」なんかを歌っていた。というのは基本的に吉川晃司の曲は高音がなく誰でも歌いやすかったからだ。当時の僕は(本当に申し訳ないが)
・吉川晃司の歌は簡単。カラオケで歌いやすい。
・吉川晃司はたぶんアイドルだから、あまり歌がうまくない。よって事務所が簡単な曲を与えている
・吉川晃司は人に曲を書いてもらっていた時は良かったが自分で作曲するようになって売れなくなった。
なんてふうに思っていた。正直「アイドルだから年を取ったら売れなくなって消えちゃうんだろうな」とも思っていたし、COMPLEXが出てきたときも「え?まじで?」とちょっと小馬鹿にしていた。今の吉川さんの姿なんてとても想像もできなかった。吉川晃司さんを”所詮アイドル”と思い込んでいた田舎の少年ゆえの偏見だった。これを本当にお詫びしたい。申し訳ありませんでした。
もちろん、当時の見立てが見当違いであったことは今の吉川さんを見ればわかる。僕は大学の時には吉川さんのベストアルバム『beat goes on』とCOMPLEXのベストアルバム『COMPLEX BEST』を愛聴していた。あのちょっとクセのある歌い方はやがて”大クセモノ”となり個性となり、吉川晃司そのものになった。特にボーカリストとしての評価はゆるぎないものとなった。50代を超えてもその声量は衰えず、大クセの中で自由自在にアレンジしたり音を響かせたりできるようになった。それが特に他のアーティストとコラボをすると際立った。
【TV】吉川晃司&大澤誉志幸「La Vie en Rose」 2011 - YouTube
大澤誉志幸x吉川晃司 - そして僕は途方に暮れる 11年12月 - YouTube
吉川晃司×世良公則 KISSに撃たれて眠りたい 2017 FNS歌謡祭 第2夜 2017.12.13 - YouTube
歌だけでもカッコいいのに、ルックスがさらに渋みを増しているのが凄い。40代になっても50代になっても体形は変わらず、銀髪が似合いすぎるほど似合っている。僕もせめて髪だけは銀髪にしたいのだが、体型がおじさんだからな・・・。
それにしても、今のアーティストで吉川さんみたいに年を重ねられる人がどれだけいるだろう?
米津玄師さんは線が細いし、平井堅さんは男気を感じさせない。秦基博さんは体形が維持できるかが心配だし、藤井風さんはかなりいい線いくような・・・
とにかく現在アラフィフ男性の絶対的な”アニキ”、吉川晃司さんに近づけるよう僕もがんばらねば。とりあえず明日の通勤はカーステレオで「BE MY MABY」を歌おう。