あれは中学3年生の時だったか(1988年)。兄貴の部屋に置いてあった『明星』の“YONG SONG”(通称ヤンソン)を見ていてたまたま紹介されていた記事が目についた。大沢誉志幸がクリスマス・コンピレーションアルバムをプロデュースするという。僕は特段、大沢誉志幸さんが好きというわけではないが、クリスマスソングは大好物。それで少ない小遣いをかき集めて駅ビルのレコード屋に向かい、カセットアルバムを買ったのだった。そんでテープが擦り切れるほど何回も聴いたのだが、実にゴキゲンなアルバムだった。
1.『Dance to Christmas』
このアルバム制作に参加した大沢誉志幸、鈴木雅之&雅美兄弟、バブルガムブラザース、GWINKO、杏子(バービーボーイズ)さんらがそろい踏みで歌う表題曲。最初はR&B調、やや怪しいリズムで始まり、Bメロはメロディアスな優しい旋律でそれぞれのアーティストが個性を発揮、サビは典型的なクリスマスソングって感じでコーラス、みんなで歌ってハッピーな気持になること必然。僕の中では代表的なクリスマスソングの1つなんだけど、世間には浸透しなかった。いい曲なんだけどなぁ、今聴いても。
Dance to Christmas 大沢誉志幸、鈴木雅之、聖美、バブルガムブラザーズ (youtube.com)
2.『静かな夜 Black&White』
バブルガム・ブラザースが『WON’T BE LONG』で売れっ子アーティストの仲間入りをしたのが1990年。その前もとんねるずの『みなさんのおかげです』なんかに出てたから顔と名前くらいは知っていた。で、彼らの歌をこのアルバムで初めて聞いた時、度肝を抜かれた。いわゆるクリスマスソングの系譜ではないんだけど・・・カッコいいんだ。歌もうまいし、当時中学生だった僕の心には刺さりまくった。なんかニヒルで悪い感じ。先生の前ではいい子を演じながら混沌を胸に葛藤していた多感な中三だった僕はバブルガムブラザースの“悪い大人”の雰囲気と大沢誉志幸さんのラップの妖しさの虜になってしまった。今でも時々このメロディーが頭に浮かんでくるほどの”迷曲”。
大沢誉志幸 & バブルガムブラザース / 静かな夜 〜black & white〜 (youtube.com)
3.『クリスマスの一生』
正体不明、エル・タバスコスなるグループ(?)の楽曲。エル・タバスコスの情報はネット上にほとんど出ていないんだけど、どうも大沢誉志幸さんのサポートメンバーらしい。僕が彼ら(?)の名前を聞いたのはこのアルバムだけで、その後の活動もよくわかっていない。でもこの曲は本当に素晴らしい。楽しいんだ、これが。南半球の真夏のクリスマスがテーマなので、底抜けに明るい世界!しかも転調・転調でまるでボヘミアン・ラプソディ!ハチャメチャでめちゃくちゃだけどなぜか楽しい!こんなクリスマスソングがあってもいいはずなんだけど、南半球のクリスマスは需要が少ないらしく、日本のクリスマスソングの定番にはならなかった。かといって夏の曲にも入れられず、浮いた存在となっている。でも俺は忘れないよ、エル・タバスコス!
エル・タバスコス/クリスマスの一生 #Lyrics (youtube.com)
あのアルバムを聴いていたころから35年経ったか・・・