俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

青春の詩

 3月30日に放送された『マツコ会議』(日本テレビ系)にて、令和の高校生のリアルな声を聴いたマツコ・デラックスさんは「人生で一番後悔していること何かなって言われたら(中略)青春というものをアタシはやってない」と嘆き、「本気で学校にも通ってなかったし、勉強もしてこなかったし、友達とも交流してなかったし」と語った。

 僕は年齢的にはマツコさんの1つ下だが、ほぼ同世代。確かに僕も高校時代の楽しい思い出がほとんどない。友達ともほとんど交流してなかったし、彼女ももちろんいなかった。部活は2年で退部し、その後は帰宅部、バイトもしてなかった。ついでに浪人までしてしまったが、不思議と後悔みたいなものはない。おそらく例えもう一度高校時代をやり直せたとしてもあまり変わらない結果になるだろうしね。

そもそも「青春する」という言葉は、すでにポジティブなイメージというか、「楽しい学校生活=青春」という意味で使われているような気がする。ま、僕も中学生とか高校生が部活をがんばっていたり、友情を育んでたり、迷惑をかけない程度にはしゃいでたりしているのを見ると「青春だなぁ~」なんて思ったりするので、概ね間違ってはいないのだろう。

でも学校には陽キャもいれば陰キャもいる。勝ち組もいれば負け組もいる。カーストでいえば下位の人のほうが多いのが普通だ。

つまり高校生のほとんどが高校時代は勝ち組の子をうらやましがったり、「自分はつまらない人間だ」なんて嘆いたりしながら生きていると思うんだけどな。

番組でも紹介されていた「TikTok強豪校」とか「一生友子」みたいなキラキラした青春を送る子もいれば、「友達が少ない」「恋人もいない」「見た目も普通以下」「SNSは見るけど発信はしない」「普通に勉強・部活がメイン」なんて言ってる子もいて、それを全部ひっくるめて”青春”と呼ぶような気がする。

僕は結局浪人したけど、高校時代勉強はした。楽しい思い出はなかったけど”青春”はしたように思う。暗い青春。

で、昔そんな歌があったなぁなんて思って調べてみたらありました。吉田拓郎さんの『青春の詩』(1970年発売)。もちろん内容は‘70年当時のものだが、エピソードを令和に置き換えても十分通じる。

 

(以下、創作令和版)

マックに彼女と二人で入って フラッペを食べること ああ それが青春

カラオケに彼女と二人で入って キスだけで止めること ああ それが青春

K-popに熱中して 大声上げ叫ぶこと ああ それが青春

友達みんなで小さな画面に向かって そろいのダンスを踊ること ああ それが青春

SNSインフルエンサーを街で見かけて SNSにUPすること ああ それが青春

行列に並んで流行りのスイーツ 映え写真を撮ること ああ それが青春

勉強一筋 他にも目はくれず 我が道を行くこと ああ それが青春

チームワークこそ一番大事 それぞれの甲子園目指すこと ああ それが青春

都心の路上で大人に買われ 推しのために貢ぐこと ああ それが青春

一日中を規則通りに生きて 他に何もしないこと ああ それが青春

オンラインサロンで夢を語り合い 何かができると思うこと ああ それが青春

孤独になって一人で悩み 一人の世界に入ること ああ それが青春

無敵の人生 ひょんなことで ネットで晒されて謝罪すること ああ それが青春

歌ってみた 踊ってみた UPしてみたらプチバズり ああ それが青春

自由気ままに 思ったとおり 何でもやってみること ああ それが青春

 

さて青春とはいったいなんだろう?その答えは人それぞれだろう

ただ一つこれだけは言えるだろう 僕たちは大人より時間が速い

大人よりたくさんのツールを持っている

大人が今の流行りに気づいたら 僕たちはそれに飽きているだろう

この貴重なひと時を僕たちは 何かをしないではいられない

この貴重なひと時を僕たちは 青春と呼んでもいいだろう

ただ今急いでやらなければならないことはないし 続けてやらなければならないこともない

このひと時も僕の青春

 

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