妻「ねえ、あなた!」
夫「ん?なんだい?」
妻「昼間、ワイドショーでやってたんだけど、今、受験グッズが流行ってるんだって」
夫「受験グッズ?ハチマキとか?」
妻「古い古いダサい臭い。今時ハチマキなんかしないわよ」
夫「ま、そうだな。じゃあ~・・・お守りとか?」
妻「つまんないダサい汚い死んで~。そういうのじゃないのよ」
夫「どうでもいいけど、その返しやめてくれない?」
妻「今はたとえばハンカチとか、たこ焼きとか」
夫「ハンカチ?たこ焼き?なんでそんなのが受験グッズなんだ?」
妻「だからあなたは頭が悪くて足が臭くて禿げるのよ。ハンカチは~」
夫「ハゲは関係ないだろう!」
妻「うるさい黙ってて。ハンカチは”勝ち”って言葉が入ってるでしょう?」
夫「ああ、そうね。たこやきは?」
妻「タコは英語でオクトパスだから、試験に”パス”するように」
夫「ああ~なるほどね。よく考えてるな~」
妻「でしょう?あと、お菓子なんかも受験シーズンはネーミングを変えたり、パッケージを変えたりするのよ」
夫「ああ、俺が大学受験する時も正門の前でキットカットを配ってたな~」
妻「・・・なんで?」
夫「きっと勝つぞ!みたいな?」
妻「うっそ~~~くそつまんない~耳が腐る死んで~」
夫「・・・・ま、第一志望は落ちたけど」
妻「でしょうね。だからあなたは安月給でメタボで会社の同僚から嫌われてるのよ。あ、あと『コアラのマーチ』とか・・・」
夫「ちょっと待って、俺、嫌われてるのか?」
妻「コアラは寝てても木から”落ちない”からね」
夫「なあ、俺、同僚から嫌われてるのか?」
妻「あと、ポッキーは”吉報”と音が似てるとか、カールの前に”う”をつけて『うカール』とかね」
夫「いや、そんなことより、俺は会社で嫌われてるのか?」
妻「うるさいわね。会社だけじゃないんだから今更ぐだぐだ言わない!あ、あと『TOPPO』も『TOPPA』に変えるのよね」
夫「ちょ、ちょ、ちょっと待って。なあ、会社だけじゃないって、あとどこなんだよ?なあ?」
妻「実家と町内会と犬からよ。そんなことよりうちの子の受験のためにも今からオリジナルのものを考えましょうよ!」
夫「いや、待て待て!先に行けるかよ。なんで実家に嫌われてんだよ!お前の両親になにも悪いことしてないだろ!!」
妻「あたしの実家じゃなくてあなたの実家よ。それよりあなたなりになんか考えて・・・」
夫「待て待てぇ~~い!俺がなんで実の両親に嫌われてんだよ!実の息子を嫌う親なんているかぁ~~い!!」
妻「だって禿げてて臭くてキモいんだもの。しょうがないわよ。それより、なにか”落ちないもの”とかない?」
夫「しいていうなら俺の評判だね。これ以上落ちようがないもの」
妻「大丈夫。まだまだ下がるわよ。あきらめないで。惑星探査機はやぶさ、なんて使えないかしらね?」
夫「・・・使えるね~!それよりお前は俺のことどう思ってるの?」
妻「そんなの決まってんじゃない短小包茎ダーリン。頼りにしてるわよ。」
夫「ははは~。涙出てきました」
妻「余計なものは出さなくていいから、アイディアを出して」
夫「・・・・はい、そうします。えっと・・・キシリトールで”きっちり通る”・・・・ダメ?」
妻「すでにあるしパクりだしバカだしキモいし生理的に受け付けないし」
夫「『雪見大福』を『夢見大福』に変えてみるとか?」
妻「夢に見るだけなら意味ないし、しょうがないし、あんたに興味ないし」
夫「ミルクセーキをもじって”見る奇跡!”」
妻「あ、意外に悪くないのが逆にムカつく」
夫「なんならタバコの”ホープ”をそのまま吸うってのはどうだ?」
妻「あ、それだめ。あたしタバコ吸えないし」
夫「そんな理由?」
妻「ほら、ほかにないの!使えないわね~」
夫「っつーか、うちにまだ子供いないだろ!」
妻「いるわよ!」
夫「どこに!」
妻「あたしのおなかの中に!」
夫「え?そうなの?」
妻「うん」
夫「まじで?」
妻「うん」
夫「がんばります」
妻「イエス!」 夫妻「フォーリンラブ!」