ただなんとなく。
僕は来年、40歳を迎える。
この年代は週刊少年ジャンプの黄金期を知っている世代だ。
「キン肉マン」「ブラックエンジェルス」「ハイスクール奇面組」「銀牙」「魁・男塾」「北斗の拳」「キャプテン翼」「ドラゴンボール」「スラムダンク」「ジャングルの王者ターちゃん」「ろくでなしBLEUSE」…
ありえないほど大量の大ヒットマンガを算出し、テレビアニメ界を席巻した。
その影響は20年たった今も全く陰りがなく、愛蔵版となり、リバイバルとなり、ドラマとなり映画となり、『アメトーーーーク』の「○○芸人」で取り上げられることになった。
が、やがて僕も大人になり「週刊少年ジャンプ」から離れることになった。
幸い、『こち亀』にそれほど思い入れがなかったので、すっぱり別れることができた。
僕が読まなくなってからも時々アニメ化されるようなヒット作もあったようだが、別に後追いするほどではなかった。
マンガはあくまで子供の読み物。
いくら話題になってたって、大人がいちいちチェックするようなものではない。
そう思っていた。
が、どうも『One Piece』だけは様子が違っていた。
なんか、大人も騒いでいるのだ。
芸能人も騒いでいるのだ。
で、どうやら「国民的アニメ」になりつつあるらしいのだ。
もう日本人として知らないとおかしいような感じなのだ。
「OH!Yes!ワタシモ『キャプテン翼』見テマシタ!」とかいってごまかせると思っていた。
が、今はもう、『One Piece』らしい。
『One Piece』を知らないと、世間では大分肩身の狭い思いをするらしい。
僕は2000年ごろ、「俺が生きている間はワープロだけでも大丈夫。パソコンは普及するだろうが、パソコンが使えなくても30年くらいは社会で生きていける」なんて思っていた。
が、承知の通り、その見通しはとんでもない間違いで、僕は2001年にやっとパソコンを習い始めたのだ。
もしあのままパソコンをなめていたら、今ごろとんでもないことになっていた。
『One Piece』もアラフォーの僕がわざわざチェックしなくても、社会についていけないなんてことはないとは思うのだが、もしかしたら!
いやもう、本当にもしかしたら『One Piece』を知らないとまずいことになるかもしれない。
そう思うようになったのだ。
が、いざ読もうと思ってもなかなか踏ん切りがつかないでいた。
敵はもう60巻を超えているらしいし、しかもキャラクターがものすごく多いらしい。
設定も結構複雑で、字も多くてちょっと面倒らしい。
仕事をしながら、そんなことに労力を使う意味があるだろうか?
でも僕の周りにも『One Piece』ファンが結構いて、ものすごい勢いで勧めてくるのだ。
ものすごくうれしそうに、ものすごく興奮しながら『One Piece』の良さをアピールしてくるのだ。
それを見ているとなんか相当おもしろそうだし、しかも ものすごく泣けるんだそうだ。
テレビでも色んなところで特集とか組んじゃってるから、一回も読んだことがない僕でもなんとなくキャラクターとかストーリーを知っていたりする。
なによりもわが嫁が結婚以来、『One Piece』の素晴らしさを語り続けているのだ。
先日も、頼みもしないのにチョッパーとかいうトナカイの悲しい過去を30分も僕に説明し続け、続けて別のキャラクターの悲しい過去の話を説明しようとしたので遮ったところなのだ。
近所のTSUTAYAでは、マンガを20冊1000円で借りられる。
60冊でも3000円だから、買うよりはずっとお得だ。
そして4月30日
僕は『One Piece』を読み始めた。
で、2日かけて20巻を制覇したところである。
いやまあ~~~疲れた。
1週間で60冊読むためには、1日10冊は読まなければならない。
もはやノルマをこなす感じで読み進めていく。
朝から晩まで、僕は『One Piece』を読み続けた。
で、わかったことは・・・
ということだった・・・。
申し訳ねぇっす。
本当なら「感動で涙が枯れるかと思った!」とか、逆に「つまんない!どこがおもしろいのかわからない!」っていうふうな感想が持てれば良かったんだけど、素直に
「まあまあ、おもしろかった」
のである。
”おもしろかった”のは、まあ少年漫画の王道を行っていて、80年代の少年漫画を彷彿させるからだ。
主人公は無邪気で能天気で、しこたま強い。
アラレちゃんか、悟空に通じるところがある。
主人公の仲間は冷静で冷たくて強かったり、ちょっとドジだったりで、実に魅力的。
『幽々白書』みたいな感じ?
現れる敵の個性的で、冷徹な感じもいい。
あとはメディアでも語られているような「友情」「冒険」「正義」みたいなものがストレートに表現されていて・・・・うん、いいんじゃない?
ただ、”まあまあ”と感じさせる点は
まず、絵がわかりづらいこと。絵の問題なのか、構図の問題かわからないが、コマが急に飛んだような錯覚を覚える。
「あれ?いつのまに相手を倒したの?」「あれ?これ、どっちの手と足だ?」
と思ってページを見返すようなところが結構あった。
また、あまりに事前に話を聞きすぎたのもいけなかった。
「誰にも心を開かなかったナミが泣きながら初めてルフィに助けを求め、ルフィが『当たり前だ』って叫ぶシーンは泣けるよ!」
「孤独なトナカイのチョッパーが、初めて自分を認めてくれたお医者さんの病気を治すために命がけで獲ってきたキノコが実は毒キノコで、お医者さんが毒キノコと知っていながらチョッパーの気持ちを汲んで食べてしまうところ!それをチョッパーが知ったところ!もう号泣だよ!」
もうここまで話を知っていると、読んでいても
と思うくらいで、意外に心が動かないのだ。
やっぱり感動ってのは、自主的にするもので、人から教えられてするものではないな。
最後に、自分の楽しみで読むというより、自分への課題として読んだことも良くなかった。
時間と冊数を計算して、ノルマも立ててるし、
20巻の段階で「これって、まだこの世界の4分の一の場所で起きている出来事で、出てきた敵もごくごく一部なんだよな。まだこの場所での戦いが5~10巻は続きそうだし、全部終わるのにどんだけかかるんだ・・・」と思うとため息さえこぼれた・・・
で、20巻読み終えて、僕はこのまま一時休戦しようかと思っている。
続きはまた夏にでも読めばいい。
というのは、僕があまりにも朝から晩までマンガを読んでいるので、嫁があきれ出したからだ。
嫁は最初に僕に『One Piece』を熱心に勧めた張本人であるが、いざ僕が読み始めると、嫁の話も聞かず、家でゴロゴロとマンガを読み続ける姿にイライラしてきたらしい。
一方僕のほうも、これまでは僕が仕事をしているからこそ嫁に「飯を作れ、皿を洗え、掃除をしろ」と偉そうに言えたのだが、
この2日は嫁がパートに行っている間もマンガを読み続けているので、なんとも肩身が狭く、なんとも申し訳ない気持ちなのだ。
ま、僕は海賊王にはなりたくないが、せめて”一家の主”ではありたいと思っているので
続きはまたいつか!