俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

私的日韓関係

僕は国際結婚をしている。

僕は日本人、嫁は韓国人である。

幸い、僕は辛い食べ物も好きだし、生活習慣などの違いも微々たるもの、国同士も近いということでわりと異文化の衝突なくすんなり結婚生活ができている。


が、今年はロンドンオリンピックでいろいろあったので、周りの人がいろいろと心配をしてくれることが多かった。

ロンドンオリンピックは日本と韓国に関連する話題がけっこう多かった。

まず、柔道で日本人選手と韓国人選手が対戦。

延長戦の果ての旗判定では、最初に韓国人選手の勝ちとなったが、会場からのブーイングと、ビデオ判定員からの指示によって再度判定が行われ、今度は日本人選手の勝ちとなった。

当然、ネット上では大騒ぎとなり、「審判を買収した!」「会場に日本人ファンが多かったからだ」「当然の判断だ!」などのコメントが両国で殺到した。

(ちなみに僕は日本のサイト、奥さんは韓国のサイトを見ている・・・)


また、サッカー男子と、バレーボール女子はともに銅メダルをかけて争い、サッカーでは韓国が、バレーボールでは日本が銅メダルを獲得したのだが、

やはり試合前からマスコミは日韓戦を煽りに煽り、

試合が始まってからも選手、マスコミ、ネトウヨらが大興奮

試合が終わった後も選手自身が(日韓ともに)負け惜しみ

さらにオリンピックが終わった今も、いろいろと問題が続き、

その結果両国の政治問題にまで飛び火し、不要な緊張関係を生んでいる。

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だからか、僕たちはあちこちで

「あんた達は大丈夫なの?」「喧嘩にならないの?」と聞かれることが多い。


僕はオリンピック期間の半分は韓国の妻の故郷にいて、妻の叔母さんたちに焼肉をごちそうになったのだが、そこでも叔母さんたちから興味本位でいろいろと聞かれたそうだ。

僕は韓国語が話せないのでわからなかったのだが、叔母さんたちは割とストレートに領土問題などでもめないのか、などと聞いてきたらしい。

妻は「叔母さんたちは昔の人だから」と僕をなだめ

「ああいうのは政治家の問題」「私たちには関係ない」と相手にしなかったそうだ。

さすが我が妻、といったところである。


で、韓国から帰国し、パート先のスーパーで仕事をしていると、また同僚らに

「ご主人とは、日韓戦なんかでケンカになったりしないの?」などと聞かれたそうである。


庶民はこういう下世話な話が大好きなのである。

なんだったら、ちょっとぐらいは喧嘩になっていてほしい、ぐらいの期待を持っていたりする。

「そのほうがすっきりする」とかね。

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しかし残念ながら、妻はあまりスポーツに興味がないのである。

で、オリンピック放送のせいで、好きなバラエティやアニメが流されないと知ると

「(オリンピック)邪魔!早よ終われ!」とずっと言い続けていたのである。


僕がオリンピック大好きなので、テレビはずっとオリンピックにチャンネルが合わせてあるのだが

妻はそれを横目で見る程度で、すぐにアメーバ・ピグに専念する。


もちろん妻にも愛国心はある。

が、妻は金メダルを取った人ばかり注目され、マスコミに取り上げられる傾向や、同じ場面を何度も流す報道が嫌いらしい。

そして睡眠をこよなく愛する妻は夜中の3時に起きてまで日韓戦を見る気持ちは皆無だった。

僕はこっそり見たけど・・・

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で、オリンピック以外でも、正直、領土問題、歴史問題、政治問題などでけんかになったことは一度もない。

というより、それが話題になること自体がほとんどない。

国際結婚をした夫婦なんてそんなもんだ。

わざわざ喧嘩になるような話題に触れるようなことはしないし、

お互い気分が悪くならないように気を遣うものだ。

両国の問題が解決できなければ夫婦になれないというわけでもないしね。


もちろん、お互いに愛国心はある。

両国の問題について無関心でいられるはずもない。

が、それをお互いにぶつけ合う必要はない。

それは政治家や専門家がやってくれればいい。


で、もっというなら、お互いの親戚同士も我々の結婚を実に肯定的に受け入れてくれており

少なくとも僕らの周りの対国感情はとてもいい。


僕は韓国に行くと、嫁の家族、親せき、義母の友人らからものすごい歓待を受ける。

「あたしにおごらせろ」「いや、あたしにご馳走させろ」と、冗談抜きに集まってきて

昼夜は全ておごられ飯、なんてことが普通だ。


妻が通っていた教会に行くと、これまたすごい歓迎ぶりで、牧師さんも全体の講和の中で「今日は日本からお客さんが来てくれて・・・」なんてわざわざ紹介してくれ、教会全体で歓迎の歌なんかを謳ってくれ、逆にこっちが恐縮してしまうくらいなのだ。

で、知らない親戚の叔母さんから「私は毎週、あなたたちに子供ができることを神様にお願いしている」なんてことも言われてしまうので、

「ど、どんだけ愛されてるんだ俺は??まだ5回くらいしか来たことないのに・・・」と戸惑ってしまう。

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嫁は嫁で、これまたうちの親戚たちの歓迎ぶりがすごい。

僕がほとんど話したことがない親戚のおばちゃんは実は韓国ドラマの大ファンで、実家に帰ると僕抜きで嫁を家に招待しちゃうし

親戚の叔父さんも僕抜きで嫁を花見に連れて行ったり、茶菓子を大量に用意したりと浮かれまくっている。

もちろん、そこに至るまでに、嫁は実家への連絡をこまめにしたり、バレンタインデーに親戚中にチョコレートを配ったりと、努力をしているからなのだろうが

今では両親でさえ荷物を送ってくる際には宛名を嫁の名前にするし、

母は嫁と長電話した後に僕が変わると「あんたとは特に話すことはない」と電話を切ってしまう始末。


まあ、嫁が僕の家族や親せきに受け入れられるのは喜ばしいことなのだが、

僕自身、家族ウケ、親戚ウケが悪いので、取り残された感じがハンパない。


ま、とにかく、個人レベルでは意外に日韓関係はうまくいっているのである。

そうそう、それが言いたかったのである。

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