俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

なかよしテレビ

フジテレビの『なかよしテレビ』という番組を見た。

この番組は日本、中国、韓国の代表団(日本在住のタレントや知識人など)が、さまざまなジャンルのテーマについてお国自慢をする番組だ。

ネットでもマツコデラックスの発言(「K-POPはアメリカのパクリ」「嫌なら日本から出ていけ!」など)が話題となっているし、番宣の煽りCMでも何度も流されていた。


日本在住の外国人をスタジオに呼んで意見を聞くような番組は、古くは『ここがヘンだよ、日本人』から、現在放送されている『世界番付』に至るまで、昔からよくあった。

日本人として「ムカッ」とするようなことを言われることもあるが、基本ぼくはこのテの番組が好きだ。

僕自身、海外に仕事で住んだり、旅行で行ったりすることも多かったし

今も韓国人妻を娶っていることもあるからかもしれない。

そんな番組を見ながら、「自分ならどう説明するか」「どうすれば論破できるか」「どうすれば理論的に、知的に見えるか?」なんてことを考え、

その考えがまとまらないと次の日も通勤電車のなかでずっと「男前の回答」を考えていたりする。

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で、番宣で煽っていたのですごく楽しみにしていたマツコのシーンであるが、実際の放送ではそれほど大したものではなかった。

マツコは今やご意見番としてある程度認められ、みなが”説得力”というものを知らないうちに期待してしまっていると思う。

しかし今までマツコが存在感を発揮できていたのは、くりぃむしちゅーネプチューン、さんまや有吉ら、芸人に囲まれたリラックスしたバラエティ番組や、自分より弱そうなアイドルや局アナと絡んだときであり

その内容も「毒を吐く」「自虐」「うまくオチをつける」といったことに限定されている。

もっと言うなら、「大声で吠える」ことが笑って許される状況である。

だから『朝まで生討論(?)』みたいなものに呼ばれ、政治について意見を求められたとしてもおそらく大したことは言えないだろうし

報道バラエティのコメンテーターとして呼ばれても、せいぜいスポーツ・芸能コーナーくらいしか発言できないだろう。


で、『なかよしテレビ』のマツコであるが、

『K-POPはアメリカのパクリ』と言ったまではいいが、そのあと韓国人タレントが「アメリカのビルボードにも・・・」「EUでも・・・」と説明を加えようとすると大声で

アメリカで成功することがすべてなの?」「EUって漠然としてるわね!もっと具体的に言ってよ!」

とがなりたて、相手の発言をつぶそうとする。

なんか、小学生の男子が「だれがそんなこと決めたの?何時何分何秒?地球が何周したとき?」と聞くような攻め方なのだ。

で、しまいには「嫌なら出ていけ!」発言だ。

僕は日本応援団として「ああ、あのやり方ではだめだ・・・」とため息をついてしまった。

あれがマツコのキャラなのかもしれないし、あの状況で即座に意見を求められて僕がマツコのようにはっきり意見が言えるかと言えば無理だろう。

しかし、韓国や中国の代表団の中には「知的に」「冷静に」「論理的に」意見が言える人もいたので、マツコの浅はかさが浮き彫りになってしまう。

日本人の議論のカッコよさは、中国、韓国と違い、決して興奮せず、冷静かつ論理的に話をするところではなかったか?

マツコのやり方はヒステリックにがなりたてる中国人ゲストとさほど違わない。

アグネス・チャンでさえ「韓国は土地が狭く、国内だけではマーケットが成り立たない。だから日本やアメリカの市場に耐えうるものを作る。それでレベルが高くなる」というようなことを笑顔で話せるのだ。
(もっともアグネスは博士号も持っているし、結構な知識人なので、「アグネスでさえ」なんていうのも失礼だが)

マツコの発言は日本のネットで称賛されたとか、韓国のネットで叩かれたとか、いろいろ話題にはなったが、

正直、僕は日本人としてマツコの話の説得力のなさ、大声でがなりたてて相手の話をつぶすやり方はガッカリだった。

ま、それでも中国・韓国相手に吠えまくったマツコにはネットやテレビ界から称賛が贈られるんだろうけど・・・

ま、議論は「声が大きいほうが勝つ」というのもまた真理か・・・


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さて、この番組の中で、僕が一番おもしろかったのは

「日本、中国、韓国、嫁ぐならどの国が一番か」というのを話し合うコーナーだった。

VTRでは「韓国人男性に嫁いだ日本人妻」「中国人男性に嫁いだ日本人妻」「日本人男性に嫁いだ韓国人妻」を紹介

主に姑との関係について紹介されていた。


この中で一番幸せそうだったのが「中国人男性に嫁いだ日本人妻」で、中国では結婚したら男性の両親が家をプレゼント、中国人男性は日中韓の中では家事を手伝う率がダントツに高く、しかも男性の両親が息子夫婦の家事や育児を手伝うのが当然なのだそうだ。

VTRでも、嫁が仕事に行っている間に掃除や子供の幼稚園の送り迎え、夕食の用意をしている姑の姿が紹介されていた。

これについては嫁も「う~む・・・生まれ変わったら中国人と結婚するか・・・」と唸っていた。


一方、「韓国人男性に嫁いだ日本人妻」(←どうやら在日の人らしいが)の大変さに激しく同意していたのもわが嫁。

韓国では、女性が結婚したら姑に毎日「安否電話」をしなければならないそうで、特に話す内容がなくても毎日「ご飯は食べましたか?」「今日は寒かったけど風邪ひいてない?」というようことを話すのだそうだ。

また、韓国人男性は基本マザコンで、嫁姑関係ではやはり自分の母親の方を持つことが多く、これが離婚の原因になったりするそうな。(嫁談)

それ以外にも毎年キムチづくりの手伝いをしたり、実家に毎週のように遊びに行ったり、親戚づきあいも日本より濃密だったりする。

VTRでは「最初は面倒臭かったが、今は自分から姑に電話もかけたいし、親戚が集まるのも楽しい」との日本人妻の声。

実はわが嫁の友だち(韓国人)も、よく電話で「姑との関係が大変。あんたはいいわね~。相手が日本人で」と愚痴をこぼすのだそうだ。

たしかに、毎日姑に電話するのが義務というのはね~

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そして最後に紹介されたのが「日本人男性に嫁いだ韓国人妻」、つまり我が妻と同じケースである。

番組では「なんといってもカジュアルな嫁姑関係」というのをプッシュ

VTRで姑とため口で話す韓国人妻の姿や、友達のように一緒に旅行したりカフェに行ったりする姿を紹介

そんな韓国人の嫁を舅は「まるで実の両親のようにフランクに接してくる。平気で『私にもビールください』と言ってくる。(色々な意味で)自分の娘のよう」と語っていた。

VTRで紹介された日本人男性には弟がいて、その弟の嫁もなんと韓国人

二人の韓国人嫁は声をそろえて

「恋人にするなら韓国人。でも結婚するなら日本人!」と語っていた。

もちろん、お金のこともあるかもしれないが、

確かに嫁姑関係を見ると、日本へ嫁入りというのは気持ちも楽なのかもしれない。

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ちなみに我が妻は、この番組を観終わった後、思い出したかのように姑(僕の母)に電話をかけた。

「今日、雪が降ったんですけど、大丈夫でしたか?」


僕が実家の両親に連絡をするのは結婚前でも年に2~3回。帰省する直前くらいだった。

今は妻が母にメールや電話をしてくれるので、僕が直接連絡するのはさらに少なくなった。

結婚当初から妻は母にメールや電話をよくしてくれていたので、「いや~、よく気が利くいい嫁をもらったな~」と私も両親も感心したものだが、

韓国人の妻にとってはもともと月一の電話など全く問題ではなかったのだ(週一でも楽勝だろう)。


逆に、実家にほとんど連絡をしない僕のことが腹立たしいらしく

「信じられない!」「冷たすぎる!」

「両親が風邪でも引いていたらどうするの!」「大変なことがあったら後悔するよ!」

と怒っている。


うむ、確かにその通りだ。

我が両親ももう高齢の部類に入るし、病気になったり、けがをしたりすると大事(おおごと)になりかねない。

「両親が心配だから、これからは毎日実家に電話してやってくれない?」

なんて妻に言ったら、妻は怒るだろうな・・・・

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